家の購入には複合的な知識が必要となる。家購入は土地を伴うものであり、不動産の知識が必要不可欠だ。そして家の性能の理解についても必要不可欠となる。さらに、ほとんどの人がローンを使って購入することになり、固定資産税などの税金もついてくるため、金融の知識も必要だ。
つまり住宅購入に必要な知識は大きく3つ、不動産の知識、住宅性能の知識、金融の知識となる。
住宅の営業担当者はこれら3つの知識を満遍なく習得しているものと思うが、どれも中途半端な例が多く、営業担当者に任せると失敗する例も非常に多い。
実際、住宅購入者のほとんどが、これらの知識すべてが不足していて住宅購入で失敗する例が多い。住宅は、普通の買い物とはレベルが違うほど難しく、売る側も他の商品と比較にならないほど利益額が大きい。つまり、油断していると簡単に騙されるし、失敗する可能性が極めて高い。
まるで大学入試で国語、数学、英語を勉強するように、住宅購入で合格するためにも不動産、住宅性能、金融の知識をしっかりつけてもらいたい。
本記事では、これら3つの分野において最も重要となる部分に焦点をあてて、解説する。もちろん本記事だけでは、完全なる知識の習得は不可能なので、本記事をきっかけにハピファミで学んでいただきたい。
住宅購入において最低限必要となる不動産の知識
まず、不動産という言葉であるが、皆さんが普段買うものは原則動産である。動産とは持ち運びできるもので、不動産とは動かせないものである。つまり、代表は土地と家である。まずは、土地と家で切り離して考えていただきたい。不動産において、最も重要なのは立地であり、家よりもまずは土地に注目してもらいたい。
特に見るべき点は、土地の形状、接する道路、隣の土地との境界線、接する道路が共有地になっていないか等の土地の権利問題、市街化区域かどうか、坪単価と近隣価格の比較、家を建てるに当たり追加で必要になる費用、近隣環境、学区、将来的な都市計画、ハザードマップ、日当たり、治安等々枚挙に暇がない。
さらに、不動産の取引については、直接取引と仲介取引があるが、高額な買い物である住宅購入において直接取引は、相手が業者の場合を除けば、仲介になる。基本新築は住宅会社との直接取引になるが、新築でも中古でも土地は個人から購入する例がほとんどなので、仲介取引になる。
仲介取引の基本は仲介手数料と片手取引なのか両手取引なのかの違いの理解が重要になる。さらに値引き交渉のやり方、不動産会社の選び方などのテクニカルな知識も必要となる。
住宅購入において最低限必要となる住宅性能の知識
住宅購入を検討したばかりだと、各住宅会社の販売する住宅の違いが分からない方がほとんどだと思います。知っている方なら、住宅の仕様や性能を見て、ある程度値付けの根拠が分かるものですが、住宅性能の知識がないままに住宅購入を進めると大きな失敗につながります。
まず住宅を選ぶ際は、家は大きく2つの種類に分類されていることを知っておきましょう。
1.見た目重視の住宅
とにかくデザインを重視した住宅になります。外観のイメージは以下のとおりです。
出所:https://maidonanews.jp/article/15070886
逆に外観にこだわりのない家は以下のとおりです。
出所:https://funs-life-home.jp/column/low-cost-housing
見た目に拘ると、特に生活に必要のない部分を作ったり、窓を大開口にしたり、外壁などの素材に拘ったりといくらでもお金がかかります。逆に見た目シンプルにいくなら、総二階と言って、1,2階が同じような箱型の家になりがちです。素材もすべて量産型の既製品を用いて、お安く家を建てることができます。見た目に拘ると、例えば、窓が大開口になったりすると、夏は日射で蒸し風呂状態、冬は寒くなるため、性能を犠牲にすることとなります。またおしゃれな家は、へんに尖った部分ができたり、素材も耐久性の低いものを使ったりするので、耐震性能、耐風性能などの様々な性能が犠牲になることが多く、往々にして見た目重視だと性能を犠牲にすることが多くなります。
また内装に関しても見た目重視だと
出所:https://www.klasic.jp/cover-story/open201902/
誰しも憧れる最高な内装だと思います。家を買いたいと思った時、多くの方がこのような家に憧れるものではないでしょうか。私もそうでした。勝手に夢が膨らみ、おしゃれな空間でソファに座り優雅に読書をするような生活もいいですよね。しかしながら、この家だと夏場は、日射で蒸し風呂状態、冬場は窓がキンキンに冷えて、部屋は冷蔵庫状態になりかねません。どんなに断熱頑張っても性能はかなり落ちます。耐震性能も窓が多いと不利ですし、維持管理費もかかります。少なくとも空調代はバカ高くなることだけは覚えておきましょう。
対して以下のような家の場合、内装は決しておしゃれとは言えないですが、かかる費用はかなり抑えられ、その余った予算で性能を求めることもできます。
出所:https://colton-home.com/blog/4877
ほとんどの人にとって、住宅にかけられる予算というのは限られています。見た目も性能も求めれば、かなり高額となり、高級な住宅になるので、お金持ちでないと買えません。そもそもローンが組めません。
見た目は分かりやすいと思いますが、対して性能重視の家とはどのような家なのでしょうか。
家の性能と言えば
・耐震性
・気密断熱性能
・耐久性能
・設備の充実
となります。
耐震性能が高ければ、例え大地震が来ても、家が一切壊れない例もあります。命を守るために最も重要な性能ですので、最重要項目でしょう。目安は耐震性能3を取得していることです。
次に気密断熱性能ですが、これは、壁、屋根、床の断熱材の種類・厚み、窓性能によってほぼ決まります。要は夏涼しく、冬暖かい家になり、光熱費もかからない家になります。
耐久性能は、家を構成する柱などのすべての材料によって決まります。要は高耐久な素材を使って、技術力の高い大工さんが建てれば性能は上がります。特に屋根や外壁は常に雨や風、日差しなどのダメージを受けますので、高耐久が望ましいです。安い外壁材を使うと、10年で塗り替えが必要となり、余分に100万円以上かかることもあります。屋根も安いものは10年程度で塗り替えが必須となりますし、費用も50万円程度はかかります。何よりも安い素材の屋根を使って、メンテを怠ると最悪雨漏り等が発生し、家がだめになるかもしれません。
購入時に100万円高くなっても瓦屋根を使ったほうが、長い目で見たら費用はかからず、雨漏りなどのリスクも格段に減るのでおすすめです。
外壁も高耐久のタイルにすれば例え200万円高くかかっても50年間メンテ不要ならば、10年おきの塗り替え100万円で総額400万円節約できるので、逆に200万円お得になります。このように購入時にお金が余分にかかっても長い目で見たときにお得になることはよくあるので、知識が重要となります。
設備面は、家の性能向上や維持費削減に大きく貢献します。特にこだわってほしいのは水回り4点と太陽光発電です。
共働きのご家庭は特にそうだと思いますが、とにかく忙しいと思います。平日なんて朝ごはん、晩御飯作って、お風呂入って寝るという生活が基本になると思いますし、休日も外出していると同じになると思います。つまり、家の中で使用する場所ってほとんどがキッチンやお風呂、洗面所やトイレという水回りになるんですね。これらを安物で済ませると、日々の利便性も悪くなりますし、トイレは節水に対応していない安物だと1回で使用する水の量が多くなり、長い目で見ると、水道代が何万円も変わってきます。キッチンは特に使用頻度が高いと思いますので、使い勝手が悪いものだとストレスもたまりますし、時間もかかります。食洗機などのオプションの有無はとても重要で、皿洗いの時間を激減させます。50万円程度する海外製の大型食洗機を導入すれば、鍋なども含め1日の洗い物がまとめて一気に洗浄できるので、毎日30分から1時間程度は家事の時間を短縮できますし、使用する水の量も減るので水道代も節約できます。人によっては数年でもとが取れてしまいます。毎日1時間とすれば月30時間、年360時間も時間を節約できるわけです。時給2000円程度の人も多いと思いますので、年間72000円相当の時間を節約できるというわけです。さらに少なく見積もっても水道代も8000円程度は節約できるとすれば、食洗機を使うことで年間8万円も節約できます。6年程度使用すれば50万円のもとが取れてしまいます。めちゃくちゃコスパいいですよね。
お風呂や洗面所もハイグレードになればかびが生えにくかったり、掃除やしやすかったり、収納が豊富だったりと日々の生活に役立つものが多数含まれており、購入時に数十万円高くついても20~30年使うことを考えれば、一日当たり数十円の負担で、快適な生活を送れる可能性が高いので、予算が許す限り、水回り設備は良いものを選びましょう。
最後に太陽光ですが、光熱費を下げるための必須項目となります。特に新築時に設置する場合は、割引が最大限に受けられますし、設置費用もかからない場合が多いので、ほぼ太陽光パネルの原価に近い価格で設置できる例が多いです。これくらい安く設置できるならば、ほぼ間違いなくもとは取れますし、何十年も使えるので、生涯の収支で見れば何百万円の黒字になります。
太陽光投資は、通常の投資と違ってほぼ確実なリターンが期待できますので、新築購入者はほぼ全員つけるべきだと思います。
住宅購入において最低限必要となる金融の知識
先立つものはお金です。購入後に後悔することが最も多いのもお金です。よくある失敗例が、値引きできるのに、値引きできることを知らなかったから交渉しなかった、金利0.1%なんて大した差ではないと思っていたが、後々計算すると、100万円以上の違いが出た、固定資産税を安くする設備にすればよかった、住宅ローン減税のことを良く理解せずに、頭金を多く入れてしまい損した等等です。
住宅のすべての悩みはお金の悩みに収束すると言っていいくらい、身も蓋もない話ですが、結局お金なんです。
ざっくり知っておくことは、
・土地や住宅価格の相場の調べ方
・家にかかる税金の知識
・住宅ローンについて
土地や建物には相場があります。土地については、坪単価というものが、エリア毎にある程度決まっており、ネットで「●●町 坪単価」などと調べると、おおよその数字が分かりますし、実際に希望エリアの住所を調べると、売り出し中の土地情報が出てきます。基本は坪単価がベースになり、その他の立地条件で価格の上下が決まります。日当たりが良い南東の土地は高くなりますし、目の前の道路が大きい、アクセスが良い、真四角の良い形状などのプラスの要素が加われば加わるほど単価は上がっていきます。逆に、目の前の道路が狭い、三角のような土地、高低差があるなどのマイナス要素が加わると安くなります。一番確実なのは、近所の不動産に行き、希望のエリアを伝え、どのような土地が販売されているか聞いてみましょう。さらに成約事例を教えてもらえることもあり、より具体的な相場を知ることもできます。
ちなみや土地や中古住宅をネットで調べると販売価格が出てくると思いますが、基本販売価格で売買が成立することは稀です。買主は原則指値をしてきます。例えば3000万円で売り出された中古住宅があるとします。売主は相場が2800万円くらいの物件に200万円程度上乗せして販売することが多いです。売主もできるだけ多く利益がほしいので、欲を出して高く値付けをすることが多いです。一方買主側はできるだけ安く買いたいので、相場を調べ、それよりも安く買おうとしてきます。例えば買主が凡その相場を把握していて、2800万円が相場だと分かれば、相場より安い2700万円で指値をしてくることがあります。売主は、売りたい場合、販売価格の3000万円が相場より高いことは知っているので、相場付近より少し高めの2850万円などで提案してくることがあります。買主がこの条件に納得すれば、2850万円で取引が成立します。この場合、販売価格が3000万円で、成約価格が2850万円となります。一般人には、この成約価格は公表されないので知りようがないのです。不動産業者が利用するレインズというサイトなら成約価格を調べることができます。手っ取り早いのは、不動産屋に行き、成約価格の相場を教えてもらうことです。
ちなみに一般人でも国交省が公開している以下の情報なら、凡その情報ですが、成約価格を調べることができます。
例えば東京都武蔵村山市の成約価格は以下のとおり検索したら分かります。
拡大すると
このような形で取引総額が分かります。これは、中古住宅の売買を一覧にしたものです。成約価格になっているので、求めるエリアで実際に取引された価格が分かり非常に便利です。
ちなみに土地や中古住宅等の相場ってどのように決まるかお分かりですか。土地は完全に近隣の過去の取引事例から相場を算出しています。実際の取引価格の平均が相場になっているので、人気エリアになれば、過去の相場より高くても買う人が増え、人気がなくなれば、相場より安くしないと買い手がつかず、値下がりします。建物の価格も、1棟1棟丁寧に状態を見ているわけではなく、土地と同じく近隣の取引事例と築年数で見ています。内装が綺麗だったり、リフォームしていたり、日当たりが良かったりとプラスの要素をベースの価格へ追加するような考え方であり、基本は近隣の過去の取引価格と築年数です。逆に言えば、中古住宅を買う時は、できるだけリフォーム歴があり綺麗なものや、有名ハウスメーカーが建てたもののほうがお買い得感があります。お買い得な買い物をするための鉄則は、許容できるマイナスポイントを受け入れることと、中古住宅の査定にあまり影響しない要素をなるべく多く含んだ家を選ぶことです。昨今流行りの高気密・高断熱などは、ほぼ中古住宅の査定には影響しませんので、選ぶなら高気密・高断熱のほうが良いですし、キッチンなどの設備も良いものを使っていても金額に大差が出ないのでお得です。たまに床材が無垢のオークなどの家もありますが、表面を削れば新品のようにできますし、新築で導入しようとすれば100万円以上するのでお得です。素人ほど単純に築年数と立地のみで見てしまいますが、手荒に扱われたローコストの築10年よりも丁寧に使われた築20年の高性能住宅の方が、綺麗で住み心地も良いことが多々あります。比べればほとんどの人が築20年の家のほうが良いと思うのですが、実際売出の家を検討する際は築年数を重視するので築10年の方が築浅物件として高く売り出されておりますし、実際先に売れることも多いです。築20年の家はむしろ掘り出し物となります。
次に住宅にかかる税金についてですが、
出所:https://house.home4u.jp/contents/budget-45-10000
ざっくりこれくらいあります。購入時にかかる印紙税や登録免許税、不動産取得税は一回限りのものなので、大きな負担にはならないですが、固定資産税と都市計画税は毎年かかります。ざっくりですが、平均的な住宅なら10万円~15万円くらいかかると思っておくと良いです。
良い話は、住宅ローン控除で、申請すれば毎年一定額が還付されます。多くの新築購入者は20~30万円程度年間還付いただいているはずです。この分を固定資産税に充てるのも良いです。もちろん条件を満たせば中古住宅でも適用されます。
税金の話で注意が必要なのは2点です。
1.固定資産税が上がるような設備はできるだけ控える。
例えば、屋根一体型の太陽光パネルは家庭用で使用する場合でも固定資産税の対象となり、年間1万円程度税金が増える可能性があります。家庭用で屋根の上に載せるタイプなら税金はかかりません。
また屋根材や外壁材、床材や水回り設備なども固定資産税が高くなるものがあるので要注意です。
新築を購入すると、初年度の税金決定までに、自宅に調査員が来ることが多いです。調査員は家の仕様を調べて、すべての設備等に点数をつけて、税金を決めます。つまり、できるだけ点数の低い設備ばかりの家になれば、毎年支払う税金は安くなります。何十年も支払い続けるものなので、安くするに越したことはないです。
以下のとおり総務省が各設備等の点数を記載しておりますので、参考になります。
出所:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/ichiran13/pdf/kaoku.pdf
かなり長くなりましたが、ほぼすべてを網羅しております。調査員の方々は、この点数をもとに住宅を調査し、総合点を算出し、税金を決めるわけなので、素直にすごいと思います。
主要なところを見てみると、
屋根
瓦:17000
スレート・ガルバなどの金属:13000
屋根一体太陽光:23000
やはり屋根一体型の太陽光は高くなりますね。太陽光発電で収入があっても、一部固定資産税でなくなってしまうので、売電の試算をするときに、税金の分も考慮したほうが良いです。
外壁も
サイディング:7500
ガルバ:6600
タイル・漆喰:約12000
やはりタイルや漆喰は高級品ですね。ガルバと比べると2倍近く違います。
内壁も
クロス:5200
塗り壁:17000
3倍以上違いますね。
床材も
安いフローリング:3000
無垢床などの高いフローリング:9000
畳:7000
カーペット:4000
トイレなどに使う塩ビ床:2500
やはり無垢材は贅沢ですね。建売などに使われるフローリングは安く済みそうです。
また、天井にはめ込むエアコンや床暖房などの設備もしっかり点数を取られているので、基本的に何か設備を追加すればその分固定資産税も上がると考えた方が良いでしょう。
ちなみにほとんどの人は無縁でしょうがホームエレベーターは180万程度あるので、まさにフリーザ様くらいの点数をお持ちです。エレベーターがある家庭は電気代もメンテナンス費もかかり、さらに設置に400万円程度かかるとのこと。聞いた話では、固定資産税も年2万円程度は上がるようです。本当のお金持ちしか使えないですね。
家を建てる時は、購入時に支払う金額だけではなく、購入後に発生する税金まで考慮して設備等を選定できるとなお良いです。
なお、施工の程度によって、割増や割引があるようだが、一般的な住宅の場合、適用される例は少ないようです。但し、調査員の主観も入る項目なので、あまり好ましくないですね。
最後に住宅ローン控除ですが、賃貸か持ち家かの議論で、よく取り上げられる持ち家のメリットです。
最大13年間、年末時点のローン残額の0.7%相当の所得税もしくは住民税が減額される制度です。
例えば4000万円のローンがあれば、上限28万円が減額されることになります。厳密なルールがありますが、年収がある一定以上なければ、支払う所得税、住民税も多くありませんので、上限以下の税金しか支払っていない場合は、その税金分しか返ってきません。
一般的に住民税から引かれる上限額は97500円なので、上限28万円の場合、少なくとも所得税が182500円以上なければ、上限金額はもらえないことになります。
控除の額が違うので一概には言えないですが、凡そ年収600万円程度の方の所得税が20万円程度なので、ざっくりですが、4000万円の住宅のローン控除をフルにもらうためには、年収が600万円程度必要となります。
住宅購入時に、税金のことを考えながら話を進めると後悔の少ない取引ができると思います。
税金の話が長くなりましたが、最後は住宅ローンです。
考えることは以下の2つです。
・変動、○〇年固定の変動金利、完全固定金利のどれで借りるか
・どの銀行で、どのようなオプションをつけて借りるか
世間で良く言われる固定か変動かの話ですが、これは正解がないです。
簡単に言うならば、確率的には、支払総額は変動の方が安くなるが、万が一金利が上昇した場合、支払額が青天井になるということです。固定は、当初から返済額が決まっているので、どんなに金利が上がろうと、支払額は一定のままです。現在変動金利は過去最低水準を長期間続けておりますので、今後上がることはあっても下がることはほぼないと思います。変動金利は過去最低水準でも固定金利は変動プラス1%程度の金利となるため、2024年6月現在、両者で4000万円の借入をすると、金利差は以下のとおりとなります。
変動の場合
固定の場合
毎月の支払額は2万2千円ほど固定の方が高くなります。利息の支払い額が930万円程度異なるので、固定を選んだ時点で35年間で930万円余分に支払うことになります。一見変動金利の方がお得に見えますが、先ほど説明したときに将来日本の変動金利が上昇したら恐ろしいことになります。
例えば、10年後、変動金利が過去の日本もしくは現在のアメリカ並みに4%になった時の状況を見てみましょう。
10年後以降、金利が4%になると、毎月の支払額は5万円増えて15万7千円になります。固定金利の時よりさらに2万7千円増えることになります。
支払う金利の総額は、2100万円程度となり、固定金利の時の1430万円と比べても700万円近く負担が増えることになります。もし変動金利で借りて、金利が上がってしまったら固定金利が安く思える日が来る可能性も0ではないです。
アフターコロナにおいて、日本では円安が進み、金利を上げる動きも徐々に本格化しています。金利が上がるのも時間の問題という意見やすでに長期金利は上がってきている動きもあるので、今後金利が上がる可能性は非常に高いです。
変動か固定かを選ぶ1つの目安は、繰上返済できるか否かだと思います。極端な話、金利が上がればいつでも全額返済できるというのならば、変動でも良いと思います。逆に万が一金利が上がったら返済が厳しいかつ、繰上返済する余裕がないのならば、固定にしたほうが無難です。もし余裕がない方が変動を選ぶと、月々の支払が滞り、最悪住宅ローン破綻をしてしまいます。
次にどの銀行で借りるかですが、以下のような結果がございます。
メガバンクと地銀が圧倒的に多いですね。一見金利が安いネットバンクが人気と思いましたが、メガバンクと地銀が強いですね。メガバンクが人気の理由は、金利の安さと手数料の安さを兼ねそろえている点だと思います。デメリットは審査が厳しいことと近くにメガバンクがない場合は郵送や電話のやりとりになるところです。反対に地銀のメリットは、審査が比較的緩いところと対面で色々と相談できるところです。金利は少し高めになりますが、初期費用等の手数料はメガバンクより安いところが多いです。ネットバンクは、金利が安いという圧倒的なメリットがあるのですが、初期費用が高いというデメリットもあります。原則借入額の2%を手数料として取られるので、4000万円借りると、初期費用で80万円かかってしまいます。もちろん長い目で見れば、金利が安い分総額は安くなりますが、一括で80万円払うのは厳しいですし、繰上げ返済する予定のある方は、結果的に高くつくかもしれません。
最近は金利上乗せプランで医療保険やがん保険を追加する方も多いので、そのような相談が気軽にできる地銀は人気だと思います。
ちなみに信用金庫等も人気のようですが、信用金庫は金利が高いかわりに審査に通りやすい傾向があります。メガバンクも地銀も審査に通らない場合、信用金庫なら通るという方もいるようです。
以上長くなりましたが、住宅購入希望者が事前に知っておくべき知識をまとめました。
最終的には、これらの知識を参考にもっともっと多くの知識を得た上で住宅購入に挑んでいただきたいです。8割が後悔すると言われる住宅購入において、残りの2割の満足できる立場になりましょう。
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