会社で勤めている方で家賃補助などが出ている方は結構多いと思います。さすがに10万超えは稀だと思いますが、5万円程度までなら、例え補助がなくなっても購入した方がお得です。
まずは、補助があるから賃貸の方がお得と考える方がよく陥る落とし穴を3点見てみましょう。
1.あまりにもレベルの違いすぎる住宅を金額のみで比較している
まず、持ち家として購入するレベルの物件は賃貸で住むことは稀です。投資家目線で言えば、賃貸用の借家やアパートの住宅性能って建築基準で見れば最低水準のグレードがほとんどです。断熱性能は低いですし、キッチンなどの設備も最も安い物です。また基本部屋が狭いことが多いと思います.例えば今住んでいるアパートが家賃8万円で補助が5万円出て、実質3万円だとすれば、住宅ローンで8万円組むよりもお得だと思うことでしょう。
ここで1つ断定できることは住宅ローン8万円で買う住宅を賃貸で借りようと思うと、まず存在しないか存在しても14~15万円程度になる可能性が高いということです。
具体的な例で見てみましょう。
東京都小平市の建売で土地30坪、建物面積86平米の家が4380万円で販売されています。同じく小平市でほぼ同じ広さの87平米の借家が21万円で掲載されています。
4380万円の家は
こんな感じです。
対して21万円の家賃の賃貸は、
こんな感じです。
見た目同じように見えると思いますが、食洗器がついていたりと購入物件の方がグレードは高そうです。
写真では中々分からないですが、断熱性能や建具などのグレード等、全般的に建売住宅の方が借家よりも良いものとなります。賃貸っていかに安く建てて、家賃多くとるのかが最大の目的になりますので当然だと思います。
では気になる月々の支払額ですが、4380万円の住宅を購入するにあたり、諸費用として220万円かかったとして、以下のとおり大手メガバンクで変動金利、35年ローンで借りたとすると
毎月の支払額は12万円程度となります。
21万円の家賃の家を賃貸し、家賃補助5万円もらっても毎月16万円かかります。
両者の差額は毎月4万円です。年間に直すと、48万円です。また、さらに家賃補助サイドに悲報なのですが、家賃補助にも所得税、住民税、社会保険料等がもろもろかかります。年収が500万円程度の場合、少なくとも凡そ20%くらいは持っていかれるので、実際手取りの補助額は4万円になってしまいます。つまり両者の差額は年間60万円になるということです。
持ち家になると、固定資産税の支払いや修繕費等も必要になるわけですが、持ち家にすることで毎月5万円も積立ができるので、賃貸より不利になることは絶対にないです。
さらに持ち家は住宅ローン減税という制度で、年間30万円程度税金が返ってくるので、このうま味も大きいです。
では続いて2つ目の大きな持ち家のメリットです。
2.土地が残る
長く住んでいれば、住宅はどんどん古くなっていき、価値は0になっていきます。よくローンを返し終える35年後は住宅の価値は0円になっていると言いますが、あながち間違っていないです。但し、立地の良いエリアの場合ならば、土地にかなりの価値が残っている可能性が高いので、この点はかならず確認が必要です。
今回比較した小平市の地価を確認するため、小平市の坪単価を調べると凡そ90万円と出てきました。今回の物件は30坪なので、地価は2700万円となります。地価は変動するので、35年度にどうなるか分かりませんが、
ここ15年程度の地価はほぼ横ばいでした。例え少し下がったとしても、35年後に2500万円程度の資産は残るということです。
また実際の取引事例で見れば、築35年の家でも、まだまだ住めることが多く、中古市場では土地値+300万円以上はつけて売買される例が非常に多いです。
つまり、35年後に3000万円程度で売却できる可能性は高いということになります。
どうですかね。
同グレードか性能面では劣る賃貸より良い家に住めて、例え家賃補助を入れても毎月5万円安いうえに、35年後には3000万円の資産が残ると言われれば、かなり家を購入することって魅力的ではないですか。
ここで賃貸派からの反対意見を想定して、持ち家派を弁護いたします。
反論1:借家なら引越しをして、常に新築に住むことができる
持ち家は大きな2つのデメリットを抱えています。1つ目が、簡単に引っ越しできなくなること、2つ目が年数が経つにつれどんどん古くなることです。
まず簡単に引っ越しができなくなることですが、これは賃貸でもほぼ同じことだと考えています。というのも、子供ができて、小学校などに通い始めると、校区の問題もあり、簡単に引っ越しってできないです。これは賃貸でも同じだと思います。実際周りの方の話を聞いても、仕事の都合で転居を伴う場合は、家族で移動というより単身赴任を数年される方が非常に多いです。また、賃貸派が常に新築への引っ越しを求めているかと言えば、これについても現実的ではないです。例えばご家族がいて、子供が学校に通っていれば校区の問題もあるため、狭いエリア内での引っ越しになります。そのエリア内に新築の条件の良い借家が出てくる可能性は非常に低いです。また出てきたとしても、インフレが進む日本において、今住んでいる家より家賃がずっと高くなる可能性もあります。引っ越しするとなると、退去に伴う費用、引っ越しに伴う費用、入居に伴う費用で、家賃20万円規模の借家になると、軽く100万円程度はお金が必要になる可能性もあります。ただ新築に住みたいという理由でここまでする人は稀です。
反論2:賃貸なら自然災害や子供の悪戯で家を傷める心配がない、もしくは修理費を自分で支払う必要がない
まず、勘違いされている方が多いですが、子供のいたずらやうっかりミスで床や壁などを傷つけた場合の修理費は賃貸の方が高くつく場合がほとんどです。多くの場合、賃貸物件は借家人賠償保険に入っていれば、無償で修理ができるのですが、持ち家の場合も家財保険に入っていれば、基本修理費は全額でます。10万円以上の大きな修理になると、持ち家の場合おつりができることもありますし、保険金をまるまるもらえることもあります。というのも、壁のらくがきを保険で直そうと思えば、壁一面のクロスなどの貼替となり、その分の保険金が出ますが、例えば保険金5万円をもらった後に、直さなくても良いです。代わりに専用の溶剤などで拭いて、ある程度きれいにしても良いです。持ち家なら賃貸と違い原状復帰しなくても自分が満足ならセルフ補修で良いです。保険金は損害を受けたものに対して支払われるものなので使わなくても良いのです。
もちろん自然災害も火災保険にしっかり加入しておけば、全額、もしくは修理費以上に保険が下りる場合も多いです。
つまり、多くの場合、賃貸より持ち家の方が、災害や事故による保険は手厚いのです。
反論3:持ち家はローン破綻するリスクが高い
これは、持ち家の最大のリスクの1つかもしれません。しかしながら無理のない範囲の予算で購入すれば恐れることはないです。しかも10数年ローンを払い続けると、ある程度ローン残債は減って、土地などの資産額の方が多くなるので、このタイミングなら例えローンが払えなくなっても、家を売って、そのお金でローンを全額返済できるので、最初の10年ちょっとさえ乗り切れれば、問題ないです。
ざっと思いつく反論を列挙してみました。
最後に、金銭面で絶対に持ち家がお得と言える客観的な理由を述べます。
まず借家を提供する大家さんも、その家を持ち家同様に買うわけです。この大家さんは居住用ではなく、賃貸用としてローンを借りる必要があるため、金利は、居住用よりかなり高くなります。
居住用の住宅ローンって国の後押しもあり、かなり優遇されており、1人1棟まで、自身が住む場合しか適用できないんですよ。例えば先ほどシミュレーションした4380万円の家を賃貸用として、賃貸者向けローンで2%で4600万円を借りたとすれば、
となり、居住用で借りるより3万5千円程度高くなります。さらに住宅ローン減税などの税制控除も受けられないので、年間30万円程度負担が多くなりますし、ローン以外にかかる税金やメンテナンスなどもすべて毎月の家賃に追加して、さらに大家の利益も入れることになるので、やはり家賃は21万程度になるわけです。
つまり賃貸に住むということは、この割高な金利の住宅ローンや大家の利益なども含まれた割高な家賃を払うということなのです。
もし同じ家を持ち家として購入すれば、毎月の支払は3万5千円少なくて済むし、大家の数万円の利益は払わなくても良いし、35年後に3000万円程度の資産が残ると、金銭面ではメリットしかないわけです。
よってお金の面では、家賃補助5万円程度があったとしても持ち家に住む方が断然お得になるというわけです。
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