太陽光の話になると絶対に出てくる話題が
何年でもとが取れるか!?
ですよね。
もちろん太陽光パネルの設置の目的は利益や儲けだけでなく
災害対策(地震や台風で停電しても電気が使える)
の目的もありますが、ほとんどの人が金銭的に得ができそうかどうかで判断していると思います。
はっきり言いますが、もとが取れる=元本割れしなかった
と同意語です。つまり、とある個別株を購入して、10年後に同じ価格で売却できれば、もとが取れた
ということになります。つまり投資という観点で見れば全くうまみがないのです。
もちろん10年後に屋根に中古の太陽光パネルが残るので、そのあとも自家消費として、または格安で売電して少しの利益を得ることはできますが、大部分の保証もなくなり、メンテ費用も嵩みますので、大きなメリットにはならないです。
ちなみに中古のパネルは、格安でネットで販売されていて、10万円もあれば買うことができます。中々いないと思いますが、中古を設置しても総額30万円程度でできるでしょう。つまり10年以降の価値は30万円程度の可能性が高いです。実際はパワコンなどのその他部品がないと動かないですが、10年後の時点では既にパワコンは耐用年数を超えて、保証も切れていると思うので、どのみち交換が必要です。
つまり政府の補助が充実している最初の10年(FIT期間)にいかに利益を得るかが重要であり、一般的に後付けの場合、もとを取るのに10年かかると言われるので、大きな利益は期待できないことになります。
ネットでは、数年でもとが取れたとか、絶対にお得などという情報で溢れていますが、実はほとんどの場合が新築時に設置しています。既存住宅に太陽光を設置する例も多くありますが、ネットで情報を流すインフルエンサーの多くは、実は高所得の若年者層がかなり多く、新築に関する情報発信に派生して太陽光発電について情報発信している例が極めて多いです。
もちろんですが、住宅を販売する側としては、太陽光無料や太陽光が5キロワットで50万円などの謳い文句で客を引き付けたいわけです。2800万円の住宅を販売するより、2900万円の住宅を販売して100万円相当の太陽光を無料でつけるほうがお客にとっては魅力的に見えるのです。新築時は、家の値引きと太陽光への値引きの線引きが曖昧になり、太陽光を安く設置できたと勘違いしている人が多いです。もちろん、既存住宅に比べ、新築時にまとめて設置したほうが工事費が安くなるため設置費用自体も安くできるので、お得であることには変わりないですが。
では本題に移りますが、現在100万円手元にある場合に、そのお金を太陽光発電に使うか、S&P500に投資するかで10年後にどうなっているのか検証してみます。
まず、太陽光の場合は、1キロワットの相場が25万円なので、4キロワットを屋根に100万円で設置することを仮定します。一般的に10年でもとが取れるように政府の補助金(FIT)は計算されていますので、10年間の総利益が100万円と仮定します。つまり年利10%の投資商品を10年持つと考えられます。但し10年後の太陽光パネルの価値は30万円程度と考えると、元本割れによる損失が70万円となります。
※実は10年後の価値が30万円というのも、かなり高めの設定です。中古住宅で太陽光パネル搭載の家の場合、設置後10年経過していれば、評価額にプラスにすることはほぼないです。むしろ、売電できない太陽光パネルかつ家全体や屋根への負担、将来のメンテや処分費なども考慮して、マイナスに評価される場合もあります。
つまり、10年後は売電等の収入100万円と30万円相当の太陽光パネルが残り、総資産は130万円になります。
次にS&P500に投資する場合ですが、アメリカの某教授が過去200年の平均利益を計算したら年平均6.8%であったとの報告がありましたが、近年の状況を見ていても年リターン4%は期待できそうですので、年4%のリターンで10年経過したときの累計を見てみましょう。
10年で100万円の元本は150万円程度に増えます。
一見すると、S&P500の方が20万円高いように見えますが、1点落とし穴があります。S&P500の場合は、毎年入ってくるリターン分も再投資しているため複利効果が出ています。
太陽光投資の場合も同様に毎年入っている売電収入と自家消費分による電気代節約の累計10万円を毎年S&P500に投資すれば、複利効果で10年後は100万円より多くなるはずです。
売電収入等は毎月発生するので、月平均8333円を毎月S&P500に積立投資すると仮定します。
では、そのシミュレーションを見てください。
複利効果で20万円程度増えています。
つまり、結論としては、
太陽光に100万円投資したら、10年後120万円の現金と30万円程度の太陽光パネルが残り、
S&P500に投資すれば、10年後に150万円が残ります。
偶然にも、両者共に価値は150万円に増えることになります。
形は違えど、どちらに投資しても、10年後には1.5倍程度まで資産が増えることになるため、現金で持っておくよりもずっと良いです。
もう少し踏み込んで考えてみましょう。
20年目まで考えると、太陽光パネルとS&P500でだいぶ違ってくるはずです。
太陽光の寿命が20年と仮定して、10年目から残り10年は今まで通り自家消費と売電で続けることを仮定します。しかし政府の補助はなくなるので、半額以下の売電価格になると仮定します。自家消費分は変わらないので、毎月の収入は6割程度の5000円になると仮定します。
シミュレーション結果は、120万円を10年間一括積立と、毎月5000円の積立投資の合わせ技になります。
累計250万円となります。ここから撤去費用や後半10年間にかかるメンテ費用などを加味して30万円必要とすると最終的に220万円が手元に残る形になります。
次にS&P500にさらに10年投資を続けて合計20年投資を続けた場合ですが、
同じく220万円程度となります。
つまりどちらも期待される収益は同じくらいということになります。
それぞれ違いはありますが、以下のことを想定するなら太陽光がお勧めです。
・将来的に電気代が高騰する。
・太陽光を相場より安く設置できる。
・日中在宅率が高く、自家消費を多くできるため、よりお得に太陽光発電を利用できる。
・将来的にS&P500などの大幅な下落を予想している。
・災害時の非常用電源としての重要性を感じている。
・20年より多く使用できると考えている。
・例え壊れても家の解体まで撤去せずに屋根に設置するため撤去費用を大幅に下げることができる。
逆に以下のことを想定するならS&P500で投資することをお勧めします。
・今後電気代が下がる。
・持ち家が日当たりが悪い、屋根の大きさや形状が良くないなどで太陽光設置の条件が悪い。
・日中不在が多く自家消費率が低くなる。
・将来的にS&P500などの投資商品の値上げが期待できる。
・太陽光設置の重みによる屋根や家への負担や火災が心配。
・メンテなどの手間と費用が心配。
・将来的に太陽光パネルの設置費用の暴落を期待している。
結論:どちらでもある程度同等の利益が見込める
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