ネットで言わない高気密高断熱住宅の真実

世の中、良いもの悪いものたくさんありますが、みんなが良いものばかり買えるわけではないです。

ほとんどの人には予算というものがあり、限られたお金で生きていかなければなりません。

もちろんですが、目の前に普通の家と高気密高断熱住宅があれば、間違いなく高気密高断熱住宅がほしいと思いますし、実際満足度も高いと思います。

しかしながら、実際は多くの人が買えないのです。初期費用がかなりかかるので、断念せざるを得ないのです。

高気密高断熱住宅を勧める場合、ほぼ間違いなく30~50年スパンで見た時の総費用が最も安くなるという理由で勧めます。結果的には正解かもしれないのですが、この理屈は間違っている可能性も高いです。

家を購入する場合、ほとんどの方が住宅ローンを組みます。残念ながら所得が低い人ほぼ金利は高くなる傾向にあり、固定金利で借りる傾向にあります。よく巷で金利0.3%とか言っているのは、ネットバンクの最低金利であり、この金利で借りられる方は相当所得のある方です。私も経験ありますが、ネットバンクって特に審査が厳しく、そもそも借りることができない場合も多いです。さらに所得が低い方や資産が少ない方が変動金利で借りると万が一、金利が上がった時にローン破綻する可能性が高いです。

結局変動金利を低金利で借りられる人って、高所得者でかつ万が一金利が上がっても繰り上げ返済できるくらいに資産リッチな方になります。

つまり、条件の悪い金利で高い家を買うと、結果的に高くつく可能性があるということです。例えば、両者でどれくらい違いが出るのか調べてみましょう。

3500万円の家を変動金利0.3%で35年ローンを組んだ場合

利息はたったの187万円程度です。

次は3500万円の家を固定金利1.8%で35年ローンを組んだ場合

利息はなんと1220万円になってしまいます。

金利が1.5%違うだけで、1030万円程度の差が出てしまうのです。

もし、住宅の仕様を300万円追加して、高気密高断熱仕様にした場合も同様に変動及び固定金利でシミュレーションすると、

3800万円の家を変動金利0.3%で35年ローンを組んだ場合

利息が203万円程度で、ほとんど変わらないため、支払総額も315万円程度増えるだけとなります。

恐ろしいのは固定金利の場合で

3800万円の家を固定金利1.8%で35年ローンを組んだ場合

利息が1324万円となり、利息だけで104万円も増えます。

つまり支払い総額は404万円も増えることになり、追加費用の300万円とは別に付随する利息分の104万円も余分に払うことを覚えておかなければなりません。

では、初期費用でそんなに多く払って、本当に光熱費の削減でもとが取れるのか考えた時に、基本現実離れした想定が出てきます。

ほぼ間違いないと思いますが、高気密高断熱住宅と通常の住宅の光熱費(冷暖房費)の差についてのシミュレーションは、高気密高断熱住宅を販売する会社が作成しております。シミュレーションというのは、前提条件を変えるだけでいくらでも結果を変えることができます。

たまに年間の冷暖房費が30万円も変わるというシミュレーション結果があり、目を疑うことがありますが、冷静に考えたらおかしいことに気づくと思います。どんなに高気密高断熱と言っても、年間数万円は必ず冷暖房費がかかるわけですから、比較対象の住宅は冷暖房費が年間30万円と数万円かかることになります。一般家庭では、冷暖房費で30万円以上支払うことなどほぼあり得ないと思います。普通冷暖房費以外の光熱費でも10万円くらいはかかるはずですので、光熱費の合計が40万円と数万円かかるという想定になります。金額がおかしいですよね。

これってシミュレーションの想定がおかしいことに気づきます。無断熱の家で、ほぼ1年間ずっと冷房もしくは暖房を24時間全館つけているという想定になっています。断熱性能の極端に低い家でこんな無駄な使い方をするご家庭は皆無だと思います。

しかも、比較するなら比較的断熱性能の確保された現在のローコストの新築と比較すべきです。実は、ローコスト住宅と高気密高断熱住宅を比較した場合の冷暖房費の差は年間5万円程度というデータが多数出ております。

ローンシミュレーションのとおり利息も含め高気密高断熱化の費用が総額400万円かかるとすると、冷暖房費の差でもとを取るのに、80年かかるという試算になります。

我が家がUa値0.49程度の少し高断熱な住宅になりますが、そこまで気にせずに冷暖房して、年間の冷暖房費が5万円くらいです。対して、同じ使い方を高気密高断熱住宅でした場合、冷暖房費は3万円程度になるようです。実は、Ua値0.49という数字は、ローコスト建売の新築の全館に高性能の内窓をつけられれば、達成可能な性能です。今は内窓の補助金が充実していて、50万円もあればつけられるようです。

もし、24時間全館冷暖房のような生活を想定せず、在宅時のみ在室のみ冷暖房するような使用方法にすれば、ローコスト住宅+内窓でも年間の光熱費は2万円程度しか変わらないコスパの良い住宅ができるわけです。

つまり、私の持論としては、高気密高断熱住宅は、お金に余裕のある家庭が、常に温度湿度が24時間365日管理された快適な空間を手に入れるために購入する贅沢品と考えています。

車でもそうですが、快適な走りやステータスを追求する高級車と燃費などのコスパ重視の軽自動車を比較する人は誰もいません。求めるユーザーも求めるものも全く違います。

はっきり言えば、高気密高断熱住宅が快適なのも冷暖房費が安いのも分かりますし、快適な暮らしにより生活の質が向上するのも分かりますが、お金のない大多数の家庭には手が届かないのです。

今はSNSが発達して、富裕層の情報発信が増えたことで、国民全体が高気密高断熱住宅に住むことが正義のような風潮があります。実際は、お金に余裕があり、かつ快適な暮らしがしたく、手持ちの現金に相当余裕があり、太陽光、蓄電池なども併せて、いかに総費用を安くしていくかなどの手法や実例を実施できるお金と時間に余裕のある家庭なんて一握りです。

その他大勢は、お金に余裕がないですし、快適性を多少犠牲にしても、冷暖房費はなるべく控えたいと考える家庭がほとんどなんです。

夏場だって、無理に全館24時間涼しくしなくても、リビングで扇風機併用して、少し暑くても熱中症にならなければいい、夜も寝るときだけエアコンつければいい、とにかく光熱費削減したいと考えているご家庭が本当に多いと思います。

絶対に、お得という観点で高気密高断熱住宅を背伸びして住宅ローンを組んで購入するのはやめましょう。

車や衣服、食事以上に、住宅は貧富の差が如実にあらわれるところです。

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