新築で高気密高断熱住宅を計画し、24時間全館冷暖房を考えている方へ重要なお知らせです。
24時間全館冷暖房は快適な場合と不快な場合があります。家中どこにいても24時間一定の温度というのは本当に快適ですが、そんな快適な生活の中で私が感じた大きなデメリットについて夏と冬に分けてお伝えします。
話を始める前に注意しておきますが、私が述べるデメリットはすべて数時間のモデルハウス見学ではほぼ間違いなく実感できないです。もし実際に体感したいと思うのでしたら高気密高断熱住宅の宿泊体験をしてみてください。例えば、一条工務店で検討している方でしたら、営業の方に相談すれば、ほとんどの場合で宿泊体験を契約前でもできるはずです。
【夏編】
夏のモデルハウスなどを見学していると、全館冷房は本当に快適だと思うはずです。そもそもほとんどの方が性能の低い賃貸住宅に住んでいることが多く、そのギャップになおのこと感動するはずです。実は今時の新築は例えローコストでも一般的な賃貸に比べれば圧倒的に高断熱で、夏場に冷房をつければすぐに涼しくなります。昔の家に比べればローコストでもかなり高断熱になっています。但し、24時間全館を冷房となると、ローコスト住宅では例え、実現できても高額な電気代がかかることになるため、現実的ではありません。そこで高気密高断熱住宅を建てることになるのですが、ざっくりローコストと比べれば予算は1000万円程度高くなります。
よく、高断熱にするのは、数百万円でできると言いますが、これは誤解を招きます。実はローコスト住宅を建てる方のほとんどが建売住宅か規格住宅を購入しますが、高断熱の規格住宅や建売住宅はほぼ存在しませんので、高気密高断熱住宅を希望する時点で注文住宅になります。基本的に注文住宅にした時点で高断熱にしなくても500万円以上は高くなります。
残念なお知らせになりますが、夏の暑さの原因は高気密高断熱のみでは解決しません。さらに遮熱の概念が必要となります。むしろ、遮熱なしで高断熱を追求すると、さらなる被害につながります。つまり、太陽熱が窓などからバンバン入ってきて、室温が上昇しますが、高断熱で熱が外に逃げないので、室内が蒸し風呂状態になります。これで24時間冷房をすれば、電気代が相当かかることになります。
前置きが長くなりましたが、夏の24時間全館冷房によるデメリットは大きく3つです。
・室温は下がって湿度が高い状態が続く可能性が高い
・寝るとき寒い
・毎日ほとんど使わない部屋があるが冷房し続ける
どれも結構致命傷です。
まず冷房の仕組みですが、室温と設定温度の差が大きければ大きいほど、エアコン内の熱交換器は低温になり、空気をより冷やすことになります。熱交換器が冷えれば冷えるほど結露が発生し、室内の湿気を減らしてくれるので、適度に乾燥するわけです。
エアコンをつけていて快適なのは、室温が下がるだけでなく、湿度も下がるからなんです。
室温は下がって湿度が高い状態って実はみなさんがよく経験しているんですよ。まさにエアコンを消した直後です。実はエアコンを消した後10分程度は室温は大きく変わらないことが多いのですが、湿度は急速に戻っていき、部屋は室温は低いが湿度が高い状態が続きます。このため、エアコンを消した後、しばらく部屋の空気が不快に思えたことはないでしょうか。この状態がまさに室温は低いが湿度は高い状態です。24時間冷房をしていると、部屋は常に設定温度に近い状態になるので、エアコンはこまめに冷房運転と送風を切り替えて、あまり熱交換器を冷やすことなく、部屋の室温を一定に保ちます。つまり湿度を取り除く機会がほぼなく、室温だけ下がる行為を行っているのですね。これで室温が低く、湿度の高い状態が続くわけです。
次に寝るときに寒い問題ですが、全館冷房するとリビングも寝室も同じ室温になるわけですが、基本寝るときは、動かないので寒く感じます。大人は布団をかければいいのですが、子供は寝相が悪いので布団を蹴ってしまい、冷えて風邪をひくリスクが高くなります。
そもそもが電気代かけて冷やして、布団かけて寝ること自体が電気代の無駄に思えてしまいます。
これも各部屋にエアコン設置すれば微調整できるので楽です。
最後に使わない部屋の冷房についてですが、我が家も2階はほとんど使わない部屋が2屋根あり、物置になっているか、週に何回か数時間のみ使用している例がほとんどです。つまり9割近くの時間は使っていないので、使用時だけエアコンをつければ、圧倒的に電気代は安く済みます。特段快適性には関係なく電気代を大きく下げることができます。
私の場合は、これら3点が快適性に大きく影響を与えるため、敢えて24時間全館冷房は使用せず、断続的な局所冷房の使用を続けています。
24時間全館冷房よりもずっと安く使用できています。
【冬編】
冬場のデメリットは大きく3つです。
・寝るとき暑い。
・乾燥するため加湿器必須。電気代が高い。
・使わない部屋を無駄に暖房するので電気代がかかる。
順番に説明しましょう。
全館暖房にする場合、基本的に家じゅうの室温をリビングに合わせます。私の場合、リビングの快適温度は22度程度、寝室の快適温度は18度程度とだいぶ乖離があります。寝るときは、布団や毛布を使うことが好きですし、体は布団で暖め、少し冷ための空気を呼吸しながら眠るのが好きなんです。これは完全に好みですが、頭まで温まると逆に眠気がなくなるのです。私が全館暖房の家で宿泊した時は、途中で一定の室温環境の中で眠るのが気持ち悪くなって、寝室の窓を全開にして外気を入れてすっきりしました。結局室温が一定というのも気持ち悪いと、体感して初めて理解できました。
部屋の乾燥については本当に驚きました。
2リットルの加湿器を各部屋に置いていても、半日でなくなります。
つまり複数台の加湿器が毎日フル稼働しているわけで、電気代が結構かかります。但し全館暖房を常にしている限り、室内から湿度は奪われていくばかりですので、常に加湿する日々になります。暖房と加湿両方でかなりの電気代がかかります。
電気代だけで終われば良いのですが、加湿器本体代に設置場所の確保、各部屋の加湿器の水の補充が必要となるため結構労力かかるんです。忙しい時など水の補充忘れて、乾燥したり、定期的に各部屋の加湿器を掃除しないとカビが生えたりと、加湿器の管理は時間もお金も手間もかかりますので結構大変です。
冷房の時と同じですが、使わない部屋を暖房し続けるのは非常にもったいないです。良く消したりつけたりしながら使うよりは、連続運転の方が電気代が安く済むと言いますが、これは、短時間(30分程度)おきに消したりつけたりする場合であって、長時間使用しない場合は消しておいたほうが電気代が安く済むのは間違いないです。
簡単に夏と冬に分けて説明しましたが、今回はデメリットにフォーカスをあてて話しましたが、高気密高断熱住宅のメリットはデメリット以上にあると思います。しかしながら、初期費用がかなり高くなり、全館冷暖房をした時点で、一般的な使い方よりも光熱費も高くつきます。
結局お金出して快適性を手に入れるわけですが、その分今回のようなデメリットも存在しますし、私のようにある程度高性能な家を建売や中古で安く手に入れ、従来の冷暖房の使い方で過ごせば、ある程度満足のいく快適性と安い電気代を実現できます。
我が家も冷暖房代は年間4万円程度で光熱費全体の2割程度の割合なので、そこまで気にしなくてよい額ですし、十分に快適に過ごせています。
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