多くの人がエアコンの使い方を間違っています。特に冷房に関してはかなりの高頻度でONOFFを繰り返し、無駄に高い電気代を払っている例もあれば、エアコンはつけっぱなしが良いという情報を鵜呑みにして、不在時も気にせずにエアコンを連続運転し、翌月電気代の請求に驚くというのもよくあります。
エアコンの使い方って生活の快適性や電気代にかなりの影響を及ぼすのに、皆さん知らないことが多すぎます。
今回はエアコンメーカーNO1のダイキン工業さんが行った実験結果から効率の良いエアコンの運転方法についてお伝えします。
設定はいたってシンプルで、真夏の36度のワンルームで冷房26度運転を連続運転した場合と30分毎にONとOFFを繰り返す運転をしたときの電気使用量の変化と室温や湿度の推移を示しています。
左のグラフがそれぞれの場合の消費電力の推移ですが、30分毎に切ったりつけたりする場合は、30分0でその後30分急激に消費電力が増えています。切っている間に室温が上昇するので、つけた時に強運転で一気に室温を下げているためと思われます。つけっぱなしの場合も同様に急に消費電力が上がる局面が定期的にありますが、基本エアコンは設定温度になると送風運転や弱冷房運転に切り替わり、消費電力を抑え、室温が上がると強運転で室温を下げます。エアコンをつけていると、急に冷たい風が出ることがあったり、なんとなく部屋が暑くなってきたりすると思いますが、つけっぱなしでも運転を強めたり、弱めたりを使い分けています。但し夜間はつけっぱなしの場合、ほぼ消費電力が増える局面がないです。これは日没後は日射が入ることもなく、室温が急激に上がる要因もないので、送風や弱冷房運転のみで室温をほぼ設定温度にキープできるためです。
対して30分消す場合は消している間に室温が上昇するので、日中と同様に強運転で一気に冷やす局面が定期的に生じます。
右のグラフは、室温と湿度の変化です。つけっぱなしの室温はほぼ26度付近を推移しています。運転が送風などになっている時に、消費電力も下がりますが、室温が徐々に上昇し、26度を超えてくると、冷房を強め、26度を下回ると、また送風などの運転に切り替わるという作業を自動で行っているため、室温はほぼ一定になっています。湿度についても定期的に冷房で空気中の水分を取っているため、ある程度上がっても冷房が作動すると下がっています。
対して、30分毎にONOFFを繰り返す場合だと、消している間に大きく室温は上昇し、つけている間に大きく室温を下げるという乱高下を繰り返します。また湿度のほうが面白いですが、つけている30分はかなり強い運転になっておりますので、急激に水分を取り、湿度を一気に下げております。しかしながら消した瞬間にエアコン内に残っている水分ももう一度室内に戻っていくためつける前と同じくらいまで湿度が上がり、再度ONにしたときに急激に水分を取るため、下がるということを繰り返します。
結論、快適性を追求するなら一般的にはつけっぱなしの方が良いと思われます。これは完全に好みの問題かもしれませんが、私は室温や湿度の乱高下がある環境も好きです。まるでサウナと水風呂を交互に行き来するように感じます。つまり、室温が上がってから冷房をつけ急激に室温が下がると気持ちいいんです。暑いところに急に冷気が出てくる感じが私は好きです。そのような方って他にもおられますかね。
日中と夜間で両者の光熱費の推移を見ています。こまめに消す場合、日中は、消している間は電気を消費しないので横線になっているが、稼働中はほぼフルパワーになるので急激に消費しています。特に正午以降の暑い時間帯の消費電力が凄まじいです。車に例えるなら、しばらくストップした後に、大急ぎで目的地に向かわないといけなくなり、アクセル全開でエンジンふかしながら進んでいるようなものです。無駄にガソリン消費するのと同様に無駄に電気を消費しています。結果日中に関してはつけっぱなしの方が消費電力が少ないです。次は夜間を見てみます。夜間は日中と異なり外気温が低めなので、エアコンを消しても、室温があまり下がらないです。よって稼働した時もそこまで頑張らないで良いので消している時間がある分こまめに消したほうが合計の消費電力は少なくて済みます。結果的に夜間の場合は、こまめに消した方が消費電気量は少ないです。
これって実際の感覚と逆な気がします。暑ければ暑いほど、エアコンがフル稼働しているので、少しでも消した方が良いのではないかと思い、こまめに消すようになるが、実際は、消した後どうせすぐにつけるなら、再度つけた時に本当にフル稼働で消費電力が跳ね上がるので、結果的につけっぱなしの方がまだ電気代が安いということです。
夜間はつけっぱなしにしていると、室温が設定温度に達した時に送風運転になるのですが、この時間が長い、つまり無駄に運転する時間が長くなるため、ちょこちょこ消した方が無駄がなくなり、消費電力も少なくて済むのだと思います。
この結果を見る限り、昼間は35分以上外出等で不在にする場合は消し、夜間は18分以上不在にするときは消すというルールが正解のようです。
今回の実験結果は非常に有益なものでエアコンの使い方で悩まれている方は絶対参考にすべきだと思います。
ほとんどの方が、エアコンをつけっぱなしにすることは無駄遣いと考えているか、つけっぱなしにするほうがむしろお得と考えているかのどちらかだろう。大半の方が前者で、断熱などを勉強されている方の一部が後者という感じだろうか。本当にエアコンや住宅性能を深く理解されている方はどちらも正解ではなく適宜使い分ける必要があると理解しているはずだ。
今回の実験で最も重要なことは、エアコンはフルパワー運転で最もエネルギー効率が悪くなるが、弱運転の時もエネルギー効率が悪いということだ。車と同じで急発進急加速が燃費が悪いことと同様に、渋滞時などの低速長時間運転もエネルギー効率が悪いのです。
要は、普通の運転を長時間続けるか、弱運転で十分なくらいに外が涼しくなってきたら適宜消して、少しでも無駄な電力を減らすかです。
車に例えるなら、長距離運転が必要なら、できるだけ早めに出発し、車をとめることなく一定の60~80キロ程度の速度で連続運転することが最も燃費をよくする。逆に時間がない中で、急発進急加速急ブレーキを繰り返すような運転は最も燃費を悪くする。
逆に街中の短距離運転ならば、渋滞時にだらだら移動するよりも夜間などの空いている時間に一気に運転し、できるだけ運転時間を短くすべきだ。
エアコン運転でも同様に日中のように気温が上がる時間は室温の下げ幅が大きいので、なるべく時間をかけて普通運転でゆっくり室温を下げていくのが最もエネルギー効率が良くなる。暑くなってからフルパワーで一気に室温を下げて、またエアコンをとめて室温が上がってからフルパワーで下げることを繰り返せば最も効率が悪くなる。
夜間のようにたいして室温を下げる必要がない時にエアコンを連続運転すればパワーを持て余し、弱運転でだらだら運転するのでエネルギー効率が悪い。短時間つけて室温が下がったら消して、また上がってきたらつけて短時間で消すのがよい。夜間なら短時間でも普通運転で十分室温を下げられるのでエネルギー効率が良い。
このようにエアコン運転は、常にエアコンのエネルギー効率を考えながら操作すると良い。さらに住んでいる家の断熱性能や気密性能を考え、さらにきめ細かい運転ができれば、光熱費を最も抑えられる運転ができる。
まず、最初にできることは、日中不在時はある程度時間が空くなら、消しておく。夜間は結構短い時間でも不在にするなら消しておくというルールのみでも十分省エネになる。
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