新築購入者の65%が建売購入という統計があるくらい、建売住宅は主流です。
実は、建売住宅って住宅会社が土地仕入から間取りの決定なども含めすべてを行い、同じような家を多数建てるため非常にコスパ良く建てることができます。
そのため、多くの人は安さに惹かれて買ってしまうというわけです。ざっくり500万円くらいは安くできると言われておりますので、相当お得感はあると思います。
デザインも間取りも広さも無難なのである程度満足できるケースが大半ですが、大きな弱点を抱えています。それが断熱性能です。ほとんどの建売は建物に最小限しかお金をかけていない、かつ見学者に魅力的に見せるためにキッチンなどの設備にこだわるため、断熱などの目に見えない部分にかける予算が本当にないのです。
しかしながら、住み始めた後の満足度に最も寄与すると言われているのが断熱性能です。購入前はデザインや使い勝手、広さなどを重視するところから、購入後は断熱性能というわけです。
断熱性能に最も影響を与えるのが、壁、屋根、床の断熱材の種類と厚み、窓の性能になりますが、断熱材は完成後に追加するとなるとかなり大変で費用もかかります。特に最も影響を与える壁の断熱材に関しては、一度すべての壁を壊さないと中に充填できないため、数百万円かけることになります。
現実的に予算をかけずにできる断熱対策は、私が思いつく限りでは、内窓設置と天井断熱材追加になります。後者は、簡単にできるのですが、天井自体の面積が大きくない点と既に断熱材がある場合は、結構な断熱性能をすでに持っている場合がほとんどなのであまり改善しません。
そうなると現実的に残された選択肢は、内窓設置となります。
ここではよくある建売の断熱性能を例に出し、内窓設置でどれくらい断熱性能が改善されるのか確認します。
ここでは分かりやすく、総二階の延床面積100平米の住宅で考えてみます。以下のようなイメージです。
出所:https://myhome-cloud.net/webcad/trial/index.html
ローコスト建売の場合、断熱にあまり力を入れていない印象なので、一般的には以下のような性能です。
壁200平米:グラスウール16K 100ミリ当たり熱貫流率0.38 100ミリ
天井50平米:グラスウール16K 100ミリ当たり熱貫流率0.38 100ミリ
床50平米:ポリスチレンフォーム 100ミリ当たり熱貫流率0.28 50ミリ
窓20平米:アルミ樹脂複合サッシ(LowEアルゴンガス入り) 熱貫流率2.33
Ua値の求め方は、1平米当たりの平均熱貫流率なので、壁などの各箇所の熱貫流率にその箇所の平米数を掛け算したものを足し合わせた合計値を各箇所の平米数で割れば出てきます。
つまり
(200平米×0.38+50平米×0.38+50平米×0.56+20平米×2.33)÷320平米
つまり
169.6÷320=0.53
となります。
世間で言うZEH基準がUa値0.6以下ですので、この家はZEH基準を満たしていると言えます。
ここで、比べてみると一目瞭然なのですが、窓が弱点になっています。
熱貫流率とは熱を通す量なので、窓が2.33と断トツで多く熱を逃がしています。
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