新築時ってどの家も綺麗に見えますよね。
素人の方にとっては、高い家も安い家も大きな違いが分からないし、安い方がお得だからとローコスト住宅を購入する傾向があります。
買った時点では、どの家も同様にきれいなのですが、数年経つと、徐々に変化が見られます。顕著に違いが出てくるのが、床、壁、水回り、外壁です。順番に見ていきましょう。
床は、ローコストの場合、ほぼ間違いなくシートフローリングを使っています。
合板の上に木目調のシールを貼っているだけです。質感は完全にシールなので、つるつるしていますし、夏は足の裏の汗を吸収しないのでべとべとします。日々踏まれ続けるので、徐々に表面のシールが劣化していき、破れたりします。
こうなってしまうともう直せないです。完全に破れて、中の合板が出ているので、張り替えるしかないです。安いフローリングになると5年~10年でこのような状態になるので、非常にストレスがたまると思います。
反対に長持ちする家は無垢材を使用しています。
こんな感じで多数の凹みや傷があっても
湿らせた布の上からアイロンを当てるだけで素人でも補修できます。
つまり何年使っても床が劣化しないんですね。張り替えも不要ですし、アイロンをあてたり、やすりで削ったりすることで補修できることは大きいですね。
次に壁です。
ローコストの壁紙は、大抵最安値のものを現在で急いで張っているため、品質も悪ければ、施工精度も低くなりがちです。
数年で家の様々な場所がこのようになることがあります。これって壁紙が安物で施工が良くないのももちろんあるんですが、もっと大きな問題を抱えていることも多いです。壁紙が剥がれる原因で最も多いのが壁内結露です。つまり、室内の湿気が、クロスの隙間などから壁内部に侵入し、壁内部が結露することで、クロスの接触部分がふやけて剥がれてくるわけです。見た目分からないですが、クロスの施工が適当だったり、気密対策ができていない場合は起こりえます。
良い家だとそもそも天然素材のぬりかべだったりします。
ぬりかべはそれ自体が湿気を吸ってくれる作用もありますし、剥がれることはないです。将来的に劣化してくれば、上から再度塗るだけでよいので楽ですね。
何年住んでも劣化しない壁を手に入れることができます。
次は水回りで、汚れが目立つキッチンを比較しましょう。
まず、ローコストで採用されるような安いキッチンの経年劣化はこうです。
天板の汚れとか、表面の傷などが目立ちますね。こうなると買い替えたくなると思います。
続いて上級キッチンの経年劣化です。
安物と同様に経年劣化は進んでおりますが、綺麗なことに気づくと思います。
安物だとシミがついていたり、表面に傷みがあったりと見た目が悪いですが、上級キッチンになると10年以上使っていても劣化をしないんですね。何十年も綺麗に使えます。
最後に外壁を見てみましょう。
20年経過した安物サイディングの外壁です。
次は、高性能住宅で使用されるタイル外壁です。
比べれば一目瞭然ですが、タイルはほぼ劣化していないですね。
築20年時点で、ローコスト住宅は床も壁もキッチンなどの水回りも、外壁もボロボロになっていきます。すべてリフォームしようと思うと、500万円程度かかることも。
対して高性能住宅は20年経過してもほぼ劣化なしです。床もやすりで削ったり、アイロンあてれば、また新品のようにできますし、壁も塗ってしまえば再度新品に戻ります。
キッチンなども綺麗な状態を保てますし、外壁もそのまま使えます。50万円もかからず、また新築のようにきれいな状態にできます。
新築時は素材の違いを意識しないと思いますが、良い家と安物の家では劣化スピードが全く異なりますので是非覚えておいてください。
家と一言で言えば1つの商品ですが、実際は様々な商品の複合体を組み合わせたものになります。家を買うという行為は、無数の消耗品と技術料を買うということに等しいのです。
同様のもので言えば、カラーボックスが近いと思います。
高級なものは
出所:https://www.hinoki-furniture.com/box/box3.html
お手頃な価格のものになると
アマゾンなどで1500円程度で売られています。
家もこれと全く同じで、見た目は同じようなものでも、中身は全く異なります。
4万円のボックスは、素材は天然のひのきで、プロが組み立てたうえで発送してくれます。逆にネットで買える最安のボックスは、素材は安物合板に木目調のカラープリントをした板が発送され、素人が組み立てる仕組みになっています。
組み立て経験がある方は分かると思いますが、組み立てた時点からガタついたり、角の部分が既に傷んでいたりすることが多々あります。安物は数年使うと、傷みが目で見ても分かるようになり、ガタが来て、数年で処分することが多いと思います。まさに消耗品ですね。
逆に高級なボックスは、素材が良いので、劣化しません。例え傷がついても無垢なので、削れば新品になりますし、傷がつくことで逆に味がでてきます。しかもプロが組み立てているので頑丈で何十年使ってもガタつきが起きないです。
何が言いたいのかというと、1500円のボックスを2年おきに買い替えていたら、その都度処分費500円払って、組み立てに1時間かけて、時給1000円としても、2年おきに3000円の負担になります。30年続ければ、45000円の負担になるわけです。
ひのきのボックスは余裕で30年以上使用できる代物ですので、30年使うならひのきの高級ボックスの方が安く済みます。しかも、30年間良いものを使用できるので満足度も高く、さらに30年後に購入時より高く売れる可能性もあります。高級な家具は劣化をしないため、価値が落ちにくく、インフレが続く現代において、現在4万円の家具が30年後に10万円程度になっていてもおかしくありません。
もし高級ボックスの新品が30年後に10万円になっていれば、30年落ちの状態の良いボックスが5万円程度で売れる可能性も高いです。
つまり、30年良いものを使ったうえに、30年後に1万円のおつりがくる可能性もあるくらいコスパの良い投資になります。
家も全く同じで、購入時は似たようなものに見えても、使っている素材と技術力が違えば、全く異なった商品になります。
構造体の木材の質、外壁、屋根の素材の質、床材、内装材、水回り設備の質などで素材の寿命は全く異なってきますし、一流の設計士、大工の建てる家と、3流の設計士、大工の建てる家では細かい部分の気配りなどが全く異なるため耐久性も全く違った家になります。
ローコストでよくある施工が、本来よりも釘の数が少なく耐震性や耐久性が弱くなったり、壁紙などの施工が雑で剥がれてきたり、隙間が多く、気密が悪くなっているせいで、壁内結露などが発生し、家にカビが広がったり、ドアや窓の施工が雑で、まっすぐでないため、開閉が困難になったり、隙間風が生じたりと、住んでいくにつれて、技術の違いが生活の快適性や家の寿命に大きく結びつきます。
もちろんカラーボックス同様に安物の床と無垢床では、耐久性が全く異なり、安物は数年で表面の塗装が剥がれ、見た目が悪く、機能面でも使い物にならなくなってきますが、無垢床は傷んでも、それ自体に味がでたり、削るなりで新品のようによみがえることもできます。
カラーボックス同様に、素材と施工技術がしっかりした住宅は、30年経過しても劣化をしません。もちろん消耗品ですので、水回り設備や壁紙など壊れたり、耐用年数が過ぎていくものについては交換が必要ですが、躯体がしっかりしているので、メンテのみで劣化せずに使用できます。現在3000万円で購入した住宅が、30年度に2000万円程度で売れる可能性もあります。
逆に現在1800万円程度で購入できるローコスト住宅は、30年後、躯体も含め傷みが出ている可能性が高く、どんなにメンテ費用をかけても、劣化がひどく売り物にもならない可能性があります。そうなると土地値で売ることになり、逆に解体費用を取られるのでマイナスになる可能性もあります。
購入時は1200万円も安く買えてお得と思っても、30年後には2000万円以上安くなる可能性もあるのです。
しかも、高性能住宅は光熱費も安く済み、メンテもほとんどかからないので、維持費が安く、快適な暮らしもできるため、金銭面でも快適性でもメリットが多すぎるのです。
これから住宅を購入する方は、この事実を絶対に理解したうえで、住宅を購入するようにしてください。
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