プロパンガスが都市ガスより高い理由
世間一般ではプロパンガスは都市ガスより高いと言われています。
主な原因として、プロパンガスは都市ガスと比べ、
・各家庭に個別でボンベを設置する必要があるので、その輸送費や設置等の人件費がかかる
・各家庭のボンベの保守・点検の人件費がかかる
・自由料金なので民間企業の利益拡大のため料金が高めに設定される
都市ガスに比べプロパンガスには、このように価格が上がる要因があります。
プロパンガスを都市ガスに切り替えた場合のシミュレーション
では、我が家の場合、現在プロパンガスを使用していますが、都市ガスに変えるとどれくらい料金が変わるのかシミュレーション結果を見てみましょう。

出所:https://www.kyugas.co.jp/gas/calculation/#hikaku
我が家のプロパンガス契約では、エリアにもよりますが、都市ガスより安くなります。つまり、まれな例にはなりますが、都市ガスより安くプロパンガスを使用することも可能です。
プロパンガスと都市ガスの価格の内訳
ここからは、なぜ都市ガスとプロパンガスで価格差が出るのか、価格構造からみていきます。
ガス原料費(仕入れ値)を見てみると

出所:https://pps-net.org/statistics/gas3
このように都市ガスもプロパンガスもガス原価はほぼ同じです。
単純に考えれば、先ほどお伝えしたとおりプロパンガスは個別にボンベを配送する手間がかかるので、仕入れ値が同じなら、プロパンガスの方が最終的な販売価格が高くなるはずです。
しかしながら、もう1点重要な点が抜けています。
都市ガスとプロパンガスでは、1㎥当たりのガスの燃焼量が違います。
都市ガス1㎥当たり:10,750Kcal
プロパンガス1㎥当たり:24,000Kcal
つまり、1㎥当たりプロパンガスは2倍以上燃焼します。給湯や料理などで、同じように使用していれば、ガス使用量は、都市ガスが2倍以上になるはずです。
ということは、1㎥当たりのガス料金がほぼ同じとなると、プロパンガスの方がガス代が安くなるはずです。
分かりやすく言うと、原価(仕入れ値)だけで見れば、都市ガスよりプロパンガスの方が安いが、
・各家庭に個別でボンベを設置する必要があるので、その輸送費や設置等の人件費がかかる
・各家庭のボンベの保守・点検の人件費がかかる
・自由料金なので民間企業の利益拡大のため料金が高めに設定される
これらの要因のせいで、結果的にプロパンガスの方が高くなる例が多いということです。
そもそものプロパンガスの販売価格の内訳は以下のとおりとなっています。

出所:https://www.lpgc.or.jp/aboutlpg/guide/1/4.htm
プロパンガスは仕入れ値から分かるように、ガスの原価は都市ガスと同じくらいですが、その他の人件費や配送費などの諸経費が多くかかります。このような諸経費はガス会社によって大きく違いますので、契約するガス会社によって料金が全く違ってくるわけです。しかも会社の利益をどれくらい上乗せしているのかも不透明なので、相場より高くガスを買っているケースも多いです。
1㎥当たりの金額が2倍以上になることが多く、その代わり1㎥当たりで2倍以上燃焼するので、実際の請求時には、1㎥単価はプロパンガスは2倍以上だが、使用量は半分程度になり、都市ガスと価格差が大きく開かない例があるということです。
異常に高いガス料金の場合、大抵ガス単価に利益が多く乗っていて単価が高くなっています。
対して都市ガスの販売価格の内訳は、以下の表のように総括原価方式という方法で決まっています。

出所:https://selectra.jp/energy/citygas/rate-of-return-regulation
総括原価方式の価格設定は、表のとおり、原料費をはじめとした必要経費をすべて積み上げ、一定額の利益を上乗せしたものを価格にする方法です。
この方式では、原価をすべて適正に計算し積み上げること、利益割合は適正な水準であること、どの利用者にも同じ価格で提供することが原則となっているため、都市ガスは、全国的に同じくらいの価格で割安で提供されているわけです。
プロパンガスと都市ガスの価格差 まとめ
価格の決まり方に大きく違いがあり、要約すると、
プロパンガスは、
・ガス原価は安いが、販売にかかる諸経費が大きい
・自由料金のため、会社ごとの料金が大きく異なる。ボッタクリも起こりやすい
都市ガスは、
・プロパンガスに比べガス原価が高いが、販売にかかる諸経費は安い
・総括原価方式という電気料金に近いほぼ規制料金体制のため、全国どこでも同じような価格で契約でき、ボッタクリが生じる余地がないので、平等の価格で契約できる
ここでのポイントは、プロパンガスも適正な価格で販売しているガス会社で契約できれば、都市ガスと大差ないか、むしろ安くなる場合があるということです。
実際我が家は、シミュレーション結果を見る限り、都市ガスに切り替えると高くなるようです。仕入れ値は都市ガスの方が高く、プロパンガス会社によっては、業務を効率化し、販売諸費を低く設定している会社も多いので、業者選びを間違わなければ、優良なガス会社と価格交渉をして契約すれば、都市ガス並みかそれ以下の価格でプロパンガス契約をすることが可能です。
プロパンガスが高くなる要因3つ
最後にプロパンガスが高くなる原因を3つ紹介しましょう。
1.一切交渉せずに、提示価格のままで契約する
プロパンガス料金って自由価格なので、ガス会社は何も言わない客には高い価格を提示します。一言値引きをお願いしますと言えば大抵の担当者は値引きに応じてくれます。値引きにも段階があり、単なる値引き交渉では、少しの値引きでとどまり、大幅な値引きを要求するためには、競合他社との相見積もりが最も有効です。近隣の大手2社に問い合わせをして各社にプロパンガスの見積をもらい、両者を競合させると驚くほど価格を下げる例が本当に多いです。
2.設備や工事費を無償にする代わりに長期契約をしている
戸建て所有者によくある例ですが、入居時にガス工事やガス設備の購入で50万円程度かかることも多いですが、これらの費用を無償にしていただく代わりに10~15年の長期契約を結んでいるケースです。ガス会社としては、無償にした分をガス料金に上乗せして回収しているだけです。つまり、割高なガス料金を払い続ける必要がありますし、他社に切り替えると、設置にかかった費用を請求されるので身動き取れなくなります。
3.賃貸物件でプロパンガスを使っている
最も最悪なケースです。大家さんが設備や工事費を無償にする代わりに長期契約をしている例がほとんどなので、すべての初期費用をガス料金に上乗せされている可能性が高いです。2025年4月から、ガス料金の透明性のため、この上乗せ分が分かるようになりますが、多分上手に隠しながら、高いガス料金は維持されると思います。
現在プロパンガスを使用している人は、契約しているガス会社へ値引き相談するか、他社への切り替え相談をして価格を下げるようにしてみましょう。どうしても割高なガス料金を解消できない場合は、持ち家ならオール電化へ移行を検討、賃貸ならオール電化か都市ガス物件への引っ越しを検討しましょう。
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