株主優待目当てで株を買ってはいけない理由
今回は分かりやすい事例をもとに優待目当てで株を買ってはいけない理由を説明します。
今回は、大人気優待株オリエンタルランドについて紹介します。
オリエンタルランド(Oriental Land Co., Ltd.)は、日本のレジャー・サービス企業で、東京ディズニーリゾート(東京ディズニーランド・東京ディズニーシー)を運営しています。本社は千葉県浦安市にあり、ウォルト・ディズニー・カンパニーとライセンス契約を結び、日本でのディズニーパーク運営を担っています。
主な事業は以下の通りです:
- テーマパーク事業(東京ディズニーリゾートの運営)
- ホテル事業(ディズニーホテルやオフィシャルホテルの運営)
- その他の事業(商業施設運営など)
要約すると、オリエンタルランドは、ディズニーリゾートを中心とした観光・エンタメ事業の大手企業です。
最近株価が低迷していたのですが、「創業65周年」の記念株主優待を実施することを、2025年4月28日の16時に発表しました。
決算自体は赤字だったのですが、2025年9月時点で100株保有すれば、ディズニーランドかシーで使えるワンデーパスポートを1枚進呈するというものです。実は、2025年度の利益予想は前年比赤字となっており、決して良い決算ではなかったのですが、優待に釣られて、決算後の夜間PTSでは、3145円の終値から3400円の高値まで急上昇しました。
掲示板の反応は、2極に分かれておりましたが、多数派は「記念優待ほしい。今買わないと。絶対上がるでしょ。」という意見が多数でした。冷静な投資家は、「決算内容は良くない。記念優待で個人投資家にアピールして、株価を上げようとしているのではないか。」という趣旨の意見を出しておりました。
今回のように、記念優待などの株主優待を拡充する時は注意が必要です。オリエンタルランドの優待は特に人気で、通常の株主優待は、100株を3年以上所有しないともらえないので、今回のように半年足らずの所有でパスポートがもらえるとなれば、個人投資家はほしいと思うはずです。しかしながら、このような株主優待は外国人投資家や機関投資家にはあまり影響しないことがほとんどです。むしろ、株価に影響を与えるのは業績見通しです。
今回の決算は、業績見通しが悪いというマイナス要素と、株主優待拡充というプラスの要素が混在していたため、株価がどちらに動くのか予測が難しかったですが、結果は以下のとおりとなりました。

夜間PTSは主に個人投資家の売買場所ですので、個人投資家の評価はプラスで大きく上昇しておりました。私の率直な感想は、どちらに動くか分からなかったので静観しておりました。
そして4月30日9時に東証が開き、売買が始まると、一気に売られ、一時2940円の安値まで落ちました。引けにかけて幾分戻し、3030円程度になりましたが、前日の終値より100円以上安い下落となりました。
今回の件で分かることは、株主優待に釣られ、安易な売買だけは絶対にしないようにすべきということです。
ワンデーパスポートの価値はせいぜい1万円程度です。つまり100株所有していれば、100円の下落でワンデーパスポートの価格以上に損失が出るということです。今回は1日にしてパスポート以上の損失が出たことになります。
もちろん今後の株価は誰にも分からないですが、参考に過去30年のオリエンタルランドのチャートを見てください。

出所:https://www.sbisec.co.jp/ETGate
2010年頃の株価は500円程度と大きく下落した本日の株価の6分の1程度です。つまり今後も下落をするとすれば今よりもっと下がる可能性もあります。優待目当てで飛びつき大きく含み損をかかえる可能性もあります。
株の売買は、あくまでも企業業績等のファンダメンタルやチャートの動き、信用残などの指標をもとに判断するようにしてください。
なんとなく、優待が良いから買うというのは、明らかに素人の判断で、投資のプロの餌食になります。絶対ではないですが、素人にとっての買い材料は、機関投資家にとっての売り材料になることも多々あります。
機関投資家は、個人が優待目当てで飛びつくことを知っています。つまり、個人が優待に飛びつき、株価が高値になったところを狙って、一気に売ってくるかもしれません。優待目当ての素人は、急な下落に狼狽し、狼狽売りをして株価が一気に下がったところを機関投資家に買い漁られるかもしれません。
今後の株価は分からないですが、少なくとも優待だけで売買することだけはやめましょう。