【悲劇】空売りで命まで?2019年サンバイオ事件に学ぶ信用取引の大失敗とは

こんにちは。日本株投資において、空売りと信用買いは利益を狙う上で重要な戦略ですが、同時に大きなリスクも伴います。特に個人投資家の皆さんは、このリスクを理解しないまま取引を進めてしまうと、想定外の損失を被ることがあります。

本記事では、空売りの仕組みとリスク、信用買いが多い銘柄の危険性、空売り規制、そして2019年に話題となったサンバイオ事件をケーススタディとして、これらのポイントを丁寧に解説します。


1. 機関投資家はなぜ空売りを仕掛けるのか?

空売りとは、実際に株を持たずに市場で売り注文を出し、株価が下がったところで買い戻して利益を得る取引手法です。機関投資家(証券会社、投資ファンドなど)が空売りを行う理由は主に以下の通りです。

  • 割高銘柄の調整狙い
    株価が過剰に上昇していると判断した銘柄に対して、利益確定や価格調整を促すために空売りを仕掛ける。
  • ヘッジ(リスク回避)目的
    保有株の価格下落リスクに備えて空売りポジションを持ち、損失を限定する。
  • 市場全体の下落局面で利益獲得
    景気悪化や悪材料で市場が下落する場合、空売りで利益を狙う。

空売りは利益の可能性と同時に大きなリスクもありますが、機関投資家は情報・資金・リスク管理体制が整っているため、この手法を使いこなしています。


2. 信用買いが多い銘柄は空売りによって焼かれるのか?

信用買いとは「自己資金よりも多い金額で株を買う」ために証券会社からお金や株を借りて取引すること。信用買い残が多い銘柄は、市場で多くの投資家が「株価上昇」を期待していることを意味します。

空売り筋が焼かれるケース(ショートスクイーズ)

  • ショートスクイーズとは?
    空売りポジションを持つ投資家が株価上昇により損失を出すと、損失拡大を防ぐために慌てて買い戻しをします。
  • この買い戻し注文がさらに株価を押し上げ、空売り筋の損失を膨らませる悪循環が起こります。
  • 信用買いが多く買い圧力が強い銘柄は、こうした現象が特に起きやすいです。

つまり、信用買いが多い銘柄で無理に空売りを仕掛けると、予想に反して株価が上昇し「空売りが焼かれる」ことがあります。


3. 空売り規制がかかるのはどんな場合?

日本の金融市場では、株価の急激な変動を抑えるために空売りに対して規制が設けられています。主な空売り規制のケースは、

  • 株価が短期間に大幅下落した場合
    特定銘柄の株価が大幅に下落すると、市場の過剰な悲観やパニック売りを防ぐために規制が入ることがある。
  • 市場全体の急激な下落時
    日経平均など指数が急落した場合、金融庁や取引所が空売りを一時制限し、市場の安定化を図る。
  • 貸株の不足や流動性低下
    貸株が不足すると空売りが成立しにくくなり、その影響で規制が入ることがある。

規制がかかると、空売りできる数量や価格帯が制限されるため、空売り戦略が困難になります。


4. 個人投資家が空売りを仕掛けるリスクとは?

空売りは理論上、損失が無限大になる非常にリスクの高い取引です。特に資金や情報に制約のある個人投資家は以下のリスクに注意しなければなりません。

空売りのリスク

  • 損失の上限がない
    株価が上がれば上がるほど損失は増え、理論上は無限大。例えば1,000円で空売りした株が5,000円になれば4,000円の損失。
  • 追証(追加保証金)リスク
    株価上昇に伴い証券会社から追加の保証金を求められる。払えなければ強制ロスカット。
  • ショートスクイーズに巻き込まれる
    買い戻しが殺到し株価が急騰、損失が一気に拡大する。
  • ストップ高で買い戻せなくなる可能性
    ストップ高状態だと買い注文が出ず、損失が膨らみ続ける最悪の状況に。
  • 情報不足・判断ミス
    市場の動きや材料の読み違いで大きな損失を被る可能性が高い。

5. ストップ高で買い戻しできない場合の個人の損失

空売りしている株がストップ高(その日の株価上昇限度)になってしまうと、

  • 空売りの買い戻しができず含み損が膨らみ続ける。
  • 証券会社は保証金維持率割れで追証請求を繰り返すが、買い戻せないためロスカットも成立しない。
  • 追証を支払えない場合、口座凍結や法的手続きに発展することもある。
  • 理論上は損失が青天井で増え続ける非常に危険な状態になる。

6. 「売りは命まで、買いは家まで」の意味

この日本の投資の格言は、

  • 空売り(売り)は損失の上限がなく、命(=大きな資産・生命)に関わるほどリスクが高い
  • 買いは最大損失が株価0までで限定され、家(=資産)を失う程度の損失で済む

という空売りの危険性を象徴的に表しています。


7. 【ケーススタディ】2019年のサンバイオ事件から学ぶ空売りと信用買いのリスク

サンバイオの背景

  • 再生医療を手掛けるバイオベンチャー。治験の成功期待で2018年末〜2019年前半にかけて株価急騰。
  • 個人投資家中心に信用買い残が急増。
  • 出来高も増加し、過熱感が強まった。

何が起きたのか?

  • 機関投資家が調整目的で空売りを仕掛けたが、株価上昇の勢いが強く、空売りは買い戻しを強いられる場面も。
  • 2019年6月、治験データに重大な問題が発表されると株価は一気に暴落。
  • 信用買い勢は損失確定のため投げ売りを加速、株価はさらに下落。
  • 空売り勢も乱高下に翻弄され、一部は損失拡大。

事件の教訓

  • 信用買い残が膨らみ過ぎた銘柄は急落リスクが大きい。
  • 空売りはタイミングが非常に難しく、踏み上げリスクもある。
  • 突然の悪材料は相場を大きく揺らし、信用買い・空売り双方が焼かれることがある。
  • 投資家心理の急変と損切り連鎖が相場の激しい動きを生む。

まとめ

  • 空売りは大きな利益を狙える一方、損失リスクも際限なく大きい。
  • 信用買い過多の銘柄は、逆に急落時に大きく焼かれる危険がある。
  • ストップ高による買い戻し不能状態は空売りにとって最悪の状況。
  • 「売りは命まで、買いは家まで」という格言は空売りの危険性を端的に示している。
  • 2019年サンバイオ事件は信用買いと空売りのリスクの典型例であり、投資家にとって大きな教訓。

投資はリスクとリターンのバランスが重要です。特に空売りはリスク管理と情報収集が命。
今回の内容を参考に、慎重に取引を進めてくださいね。 

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