【完全版】オール電化 vs ガス併用:初期費用・光熱費・太陽光・蓄電池・20年コスト徹底比較
住宅の光熱費を考えるとき、「オール電化にするべきか」「ガス併用がいいのか」悩みますよね。
光熱費はもちろん、設備の初期費用や20年という長期間のトータルコスト、さらに太陽光発電や蓄電池の導入効果まで含めて総合的に考えたいところです。
今回は、「オール電化」と「ガス併用(都市ガス・プロパン)」の光熱費や初期費用を徹底的に比較。
さらに「太陽光発電あり」「蓄電池あり」のパターンも踏まえ、最終的に20年間のトータルコストを計算しました。
最後に、なぜ多くの人がオール電化を選ぶのか、理由を詳しく解説します。
目次
- 【基本編】オール電化とガス併用の光熱費、初期費用はどれくらい?
- 【太陽光編】太陽光発電を導入した場合の費用と効果を正確に計算する
- 【20年シミュレーション】トータルコストを徹底比較(太陽光なし・あり)
- 【蓄電池編】蓄電池を導入した場合のコストと節約効果をシミュレーション
- 【なぜオール電化が選ばれる?】光熱費以外の選択理由
- 【まとめ】あなたの住宅に合った選択のヒント
1. 【基本編】オール電化とガス併用の光熱費、初期費用はどれくらい?
1-1. 初期設備費用の比較
住宅でのエネルギーインフラ構築にかかる初期費用は、非常に大きな金額です。
オール電化とガス併用でどの程度差があるか、一般的な金額をまとめました。
設備 | オール電化 | ガス併用(都市ガス) | ガス併用(プロパン) |
---|---|---|---|
エコキュート(電気給湯器)導入費 | 約40万円 | – | – |
IHクッキングヒーター導入費 | 約15万円 | – | – |
電気配線増設費 | 約20万円 | 約10万円 | 約10万円 |
ガス配管・メーター設置費用 | 0円 | 約25万円 | 約25万円 |
ガス給湯器設置費 | 0円 | 約30万円 | 約30万円 |
合計 | 約75万円 | 約45万円 | 約45万円 |
- オール電化はエコキュートやIHクッキングヒーターなどの設備費がかかり、設備全体の初期費用は高め。
- 都市ガスやプロパンの場合はガス給湯器設置やガス配管が必要だが、電気設備の追加費用は比較的少なめ。
1-2. 年間の光熱費比較(一般的な生活パターン)
オール電化とガス併用の年間光熱費の違いを一般的な住宅で見てみます。
光熱費項目 | オール電化 | 都市ガス併用 | プロパン併用 |
---|---|---|---|
電気代 | 約11万円 | 約9万円 | 約9万円 |
ガス代 | 0円 | 約6.6万円 | 約10.2万円 |
合計 | 約13万円 | 約15.6万円 | 約19.2万円 |
- オール電化は全て電気料金で支払うため、電気料金がやや高くなる。
- 都市ガスは比較的安価なガス料金がメリット。
- プロパンガスは都市ガスより割高で、光熱費がかなり高くなる。
1-3. 設備交換・メンテナンス費用
給湯器などの設備は15〜20年程度で交換が必要になります。
設備交換費用 | オール電化 | 都市ガス | プロパン |
---|---|---|---|
給湯器(エコキュート)交換費用 | 約40万円 | – | – |
ガス給湯器交換費用 | 0円 | 約20万円 | 約20万円 |
- オール電化は電気給湯器の交換費用が高め。
- ガス給湯器は交換費用が比較的安価。
2. 【太陽光編】太陽光発電を導入した場合の費用と効果を正確に計算する
2-1. 太陽光発電の導入コストと発電量
- システム容量:5kW
- 年間発電量:5,500kWh(年間日照や気候条件による)
- 導入費用:130万円程度(補助金を含む場合)
2-2. 自家消費と売電の割合
太陽光で発電した電気は、
- 家庭で使う「自家消費」と
- 電力会社に売る「売電」
に分かれます。
種類 | 割合 | kWh(年間) |
---|---|---|
自家消費 | 30% | 1,650kWh |
売電 | 70% | 3,850kWh |
2-3. 電気料金単価と売電単価
- 電気購入単価:30円/kWh
- 売電単価(FIT):
- 1〜10年目:16円/kWh
- 11〜20年目:10円/kWh
2-4. 年間の節約・売電収入額
項目 | 計算方法 | 金額 |
---|---|---|
自家消費節約 | 1,650kWh × 30円 | 約49,500円 |
売電収入(10年目まで) | 3,850kWh × 16円 | 約61,600円 |
売電収入(11年目以降) | 3,850kWh × 10円 | 約38,500円 |
3. 【20年シミュレーション】トータルコストを徹底比較(太陽光なし・あり)
3-1. 太陽光なしの場合
項目 | オール電化 | 都市ガス併用 | プロパン併用 |
---|---|---|---|
初期設備費用 | 75万円 | 45万円 | 45万円 |
20年光熱費 | 260万円 | 312万円 | 384万円 |
設備交換費用 | 40万円 | 20万円 | 20万円 |
合計 | 375万円 | 377万円 | 449万円 |
3-2. 太陽光ありの場合
太陽光による節約と売電収入を考慮。
- 太陽光の20年間効果合計:約198万円(自家消費+売電収入)
項目 | オール電化 | 都市ガス併用 | プロパン併用 |
---|---|---|---|
初期費用+太陽光 | 205万円 | 175万円 | 175万円 |
光熱費(20年) | 60.9万円 | 112.9万円 | 184.9万円 |
設備交換費用 | 40万円 | 20万円 | 20万円 |
合計 | 305.9万円 | 307.9万円 | 379.9万円 |
4. 【蓄電池編】蓄電池を導入した場合のコストと節約効果をシミュレーション
4-1. 蓄電池の前提条件
- 容量:10kWh
- 導入費用:約130万円(補助金込み想定)
- 15年目に交換費用:約90万円
- 自家消費率が30%から70%にアップ(3,850kWh自家消費、1,650kWh売電)
4-2. 蓄電池ありでの年間節約・売電収入
項目 | 計算 | 年間額 |
---|---|---|
自家消費節約 | 3,850kWh × 30円 | 115,500円 |
売電収入(10年) | 1,650kWh × 16円 | 26,400円 |
売電収入(11年〜20年) | 1,650kWh × 10円 | 16,500円 |
4-3. 20年間の節約効果合計
項目 | 金額 |
---|---|
自家消費節約 | 231万円 |
売電収入合計 | 42.9万円 |
合計 | 273.9万円 |
4-4. 20年間のトータルコスト(太陽光+蓄電池)
条件 | オール電化 | 都市ガス併用 | プロパン併用 |
---|---|---|---|
初期費用+太陽光 | 205万円 | 175万円 | 175万円 |
光熱費(20年) | 260万円 | 312万円 | 384万円 |
太陽光+蓄電池効果差引 | −273.9万円 | −273.9万円 | −273.9万円 |
給湯設備交換 | 40万円 | 20万円 | 20万円 |
蓄電池導入・交換費用 | 220万円 | 220万円 | 220万円 |
合計 | 451.1万円 | 453.1万円 | 525.1万円 |
蓄電池を入れると初期費用や設備費用がぐっと増えて、単純な光熱費節約だけを見ると「損じゃない?」と思う人も多いはず。
でも、それでも蓄電池を導入する人が多い理由は、光熱費以外の価値やメリットがあるからなんです。具体的にはこんなポイントがあります:
停電時の安心・防災性能が大きい
- 蓄電池は万が一の停電時に、一定時間電気を使い続けられる「非常用電源」になります。
- 最近の自然災害の増加や大規模停電リスクを考えると、生活の安心感はかなり大きい。
- 特に医療機器や冷蔵庫、通信機器を使う必要がある家庭では命綱になることも。
電気の自給自足率アップによる環境意識
- 蓄電池を使うと、太陽光発電で作った電気を無駄なく貯めて夜間にも使える。
- 自家消費率が大幅にアップし、電力会社からの購入を減らせるため、環境負荷低減に寄与。
- 再生可能エネルギーを最大限活用したいという意識が高い人に好まれる。
電気料金のピークシフト・節約効果
- 蓄電池は電気料金が高い時間帯に蓄えた電気を使い、安い時間帯に充電することで料金を最適化できる。
- これにより「電気代のピークカット」や「時間帯別料金プランの活用」が可能になる。
- ただし料金プランや地域によって効果の大きさは変わる。
長期的な資産価値・補助金や税制優遇の活用
- 最近は国や自治体の補助金、税制優遇が拡充されていることも多く、導入コストが一部補助される場合がある。
- 蓄電池導入により住宅の資産価値が上がり、中古住宅としての魅力になるケースも。
- 将来の電気代上昇リスクへの備えとして長期的に見ればメリットと考える人もいる。
スマートハウス・先進的ライフスタイルへの憧れ
- 蓄電池はスマートハウス化の重要な要素で、IoTやHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)と連携して高度な省エネ管理ができる。
- 新しいテクノロジーを使った快適・便利な暮らしへの憧れや満足感も導入動機になる。
まとめると:
理由 | 詳細 |
---|---|
停電時の安心 | 非常時に電気が使える防災性能が重要 |
環境意識 | 再生可能エネルギーの最大活用 |
電気代節約 | ピークシフトで電気料金の最適化 |
補助金・資産価値 | 補助金活用+住宅価値アップ |
先進的ライフスタイル | スマートハウス化や快適性追求 |
つまり、**「光熱費だけでなく、安心や環境意識、生活の質を高める投資」**として蓄電池を導入しているんですね。
5. 【なぜオール電化が選ばれる?】光熱費以外の選択理由
5-1. 住宅設備との相性
- オール電化は「エコキュート」や「IHクッキングヒーター」など、省エネ・安全な設備がセットで導入されやすい。
- ガス配管が不要なため、住宅の配線がシンプルになるメリットがある。
5-2. 夜間電力の割安プラン
- オール電化専用の深夜電力プランを使えば、夜間の電気料金が安くなる。
- 深夜にお湯を沸かすエコキュートは、こうした料金プランと非常に相性が良い。
5-3. 火を使わない安全性
- IHクッキングヒーターは火を使わないため、ガス漏れや火災のリスクが減る。
- 小さなお子さんや高齢者のいる家庭に安心感がある。
5-4. メンテナンスの簡素化
- 電気だけのインフラなので、メンテナンスが一本化できて楽。
- プロパンガスのように料金が高い・不透明になるリスクも少ない。
5-5. 太陽光発電との親和性
- 電気を多く使う設備が多いため、太陽光発電で作った電気を自家消費しやすい。
- 発電した電気を無駄にせず節約効果が高まる。
5-6. 住宅メーカーの提案力
- 新築住宅の営業や設計で「オール電化」を標準提案にしているケースが多い。
- 最新の省エネ設備をセットで導入しやすいことも理由。
6. 【まとめ】あなたの住宅に合った選択のヒント
- 初期費用はオール電化の方がやや高め。ガス併用は比較的安価。
- しかし、20年単位の光熱費や設備交換費を含めると、オール電化の方が総合的に安くなる可能性が高い。
- 太陽光発電を導入すれば、オール電化の節約効果がより顕著に。
- 蓄電池を組み合わせるとさらに自家消費率が上がり、節約効果がアップするが、初期費用も高額。
- 安全性やメンテナンス面での利便性も考慮すれば、オール電化は非常に魅力的な選択肢。
- ただし、地域の電力単価やガス料金、生活スタイル、住宅の条件によって最適解は変わります。