株式市場においてPTSがあてにならない典型例 資生堂とコーセー

2025年11月10日から11日にかけての資生堂とコーセーの決算後のPTSの値動きとザラ場の値動きは非常に面白い動きをしており、特にNISA初心者には見ていただきたいと思い記事にしました。

両者は同じ化粧品関連会社であり、今回どちらも決算内容が良くなく、決算後の株価も似たような動きになると予想していたが、結果が異なっていたため、参考のため取り上げております。

まず両者の決算内容をまとめます。

資生堂の決算内容

資生堂の当第3四半期連結累計期間は、売上高が前年比4.0%減の6,938億円、コア営業利益が9.7%増の301億円となりました。しかし、米州事業ののれん減損損失468億円により、440億円の四半期損失を計上。通期予想を下方修正し、売上高9,650億円、520億円の当期損失を見込んでいます。

主な事業セグメント

資生堂は、化粧品を主に製造・販売しており、5つの地域(日本、中国・トラベルリテール、アジアパシフィック、米州、欧州)を報告セグメントとしています。各地域の責任者が幅広い権限と売上・利益への責任を持ち、機動的な意思決定を行っています。

当決算における事業や経営成績の主な変化

当第3四半期連結累計期間の売上高は前年比4.0%減の6,938億円となりました。実質ベースでは前年比2.9%減で、中国・トラベルリテール事業や米州事業を中心に減収となりました。コア営業利益は前年比9.7%増の301億円となりましたが、米州事業ののれん減損損失468億円を計上し、親会社の所有者に帰属する四半期損失は440億円となりました。

貸借対照表の変化

資産合計は前連結会計年度末比9.2%減の1兆2,089億円となりました。のれんの減少、円高による資産換算額の減少、現金及び現金同等物の減少などが主な要因です。負債は前連結会計年度末比7.9%減の6,235億円、資本は前連結会計年度末比10.6%減の5,854億円となりました。

キャッシュフローの変化

営業活動によるキャッシュ・フローは615億円の収入となり、前年同期比185億円増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは299億円の支出で、前年同期比417億円支出が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは509億円の支出となり、前年同期比583億円支出が増加しました。

今年度、来年度の業績見通しの変化

通期連結業績予想を下方修正し、売上高は9,650億円(前回予想比3.0%減)、コア営業利益は365億円(変更なし)を見込んでいます。営業損失420億円、税引前損失420億円、親会社の所有者に帰属する当期損失520億円を予想しています。売上高の下方修正は、日本のインバウンド消費減速や米国市場の減速が主な要因です。

株主還元

2025年12月期の配当予想に変更はなく、中間配当20円(実施済)、期末配当20円の年間40円を予定しています。

出所:https://finance.yahoo.co.jp/quote/4911.T/financials

コーセーの決算内容

株式会社コーセーの第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が微増の2,405.1億円となりましたが、営業利益は27.8%減の135.75億円、経常利益は34.5%減の135.43億円と大幅な減益となりました。化粧品事業は増収、コスメタリー事業は減収となり、販管費の増加や為替差損が利益を圧迫しています。

主な事業セグメント

株式会社コーセーの主な事業セグメントは、化粧品事業とコスメタリー事業です。化粧品事業はハイプレステージとプレステージブランドを展開し、コスメタリー事業はセルフメイクアップやヘアケア製品を提供しています。

当決算における事業や経営成績の主な変化

当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比0.7%増の2,405.1億円となりました。化粧品事業は1.3%増、コスメタリー事業は2.1%減となっています。営業利益は27.8%減の135.75億円、経常利益は34.5%減の135.43億円となりました。減益の主な要因は、販売費及び一般管理費の増加や為替差損の増加です。

貸借対照表の変化

総資産は前期末比3.3%減の3,739.99億円となりました。主な変動として、現金及び預金が24.3%減少し862.49億円となった一方、建設仮勘定が82.3%増加し220.54億円となりました。負債は前期末比11.5%減の836.73億円、純資産は前期末比0.7%減の2,903.25億円となりました。

キャッシュフローの変化

キャッシュ・フロー計算書は作成されていませんが、減価償却費は前年同期の67.68億円から79.17億円に増加し、のれんの償却額も8.27億円から12.53億円に増加しています。これらの増加は、キャッシュ・フローにマイナスの影響を与えていると考えられます。

今年度、来年度の業績見通しの変化

2025年12月期の通期連結業績予想は変更なく、売上高3,360億円(前期比4.1%増)、営業利益200億円(同15.2%増)、経常利益207億円(同4.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益138億円(同83.7%増)を見込んでいます。

株主還元

配当金については、2025年12月期の中間配当として1株当たり70円が支払われました。期末配当予想は1株当たり70円で、年間配当予想は140円となっています。前期と同額の配当が予定されています。

出所:https://finance.yahoo.co.jp/quote/4922.T/financials

夜間PTSの反応と翌日の結果

決算は、株の投資家にとって大きな試練の1つなのです。決算後は株価が大きく動くことが多いです。例え無難な決算でも、市場予想と違えば暴騰や暴落も起こります。むしろ一番厄介なのが、好決算後に暴落する例です。これは例え好決算でも市場が既にそのことを織り込んでいた場合や、もっと好決算を予想していた場合に起こります。逆に大赤字の最悪決算でも、市場の予想ほどの悪さでもなければ暴騰することもあります。要は、素人の個人に分かるわけがない決算ギャンブルなわけです。

つまり、このギャンブルに巻き込まれたくない人は、持っている場合は一旦売るか、持っていない場合は決算後に買うか悩むわけです。逆にギャンブルしたくて売買する人も多数いるわけですが。

大抵決算はザラ場の株式市場が終わる15時30分以降に発表される例がほとんどです。そうすると夜間PTSが先に来ますので、多くの投資家が夜間PTSを参考に翌日の株価予想をします。

PTSとは「Proprietary Trading System」の略称で、投資家が証券取引所を経由せずに有価証券を売買できる電子的な取引システムを指します。1998年12月の証券取引法改正によって、取引所での売買集中義務が廃止され、上場銘柄の取引所外取引が可能になりました。PTSでは、証券取引所の取引時間外、特に夜間でも売買が行えます。ただし、PTS取引を取り扱う証券会社は(2025年1月時点で)一部に限られており、取引量も比較的少ないのが現状です。

多くの場合、夜間PTSと翌日のザラ場の株価は似たような動きをしますが、まれに全く逆の動きをしたり、過剰に反応したりする例があるので注意が必要です。これは、PTSの主役が主に個人投資家で、大金を投入する機関投資家が積極的に入ってきていないことが主な原因となります。

では早速両者の夜間PTSを見てみましょう。

【資生堂】

【コーセー】

両者の決算は素人から見ると、どちらもあまり良くはないが、資生堂の方が悪いというのが多くの人の見方でした。実際株の掲示板等を確認しても決算直後の反応は明らかに資生堂の方が悪いという声が多数でした。実際に資生堂は、夜間PTSで大きく下げたのちにザラ場に向けて上がっており、ザラ場では、前日比プラスになるまで大きく上昇しています。

反対にコーセーは、言うほど悪い決算ではないので、多少下げるか、場合によっては少し上げるかという意見もあるくらい夜間PTSでは大きく下落せず、ザラ場に向けて緩やかに下落し、ザラ場開始直後にストップ安付近まで一気に叩き落されました。

決算直後では全く予測できない動きですね。個人的な意見を言わせてもらえば、この中で売買するのは完全にギャンブルだと思います。もはや理屈では説明できないです。少なくとも夜間PTSで資生堂を売却した人やコーセーを買った人は後悔しているはずです。

まとめ

株をやっていると、常時株価が気になるものですが、決算や良いニュース、悪いニュースが流れると翌日の株価にどのように影響を与えるかが気になり、参考となる夜間PTSを見るのが普通だと思います。

多くの方は、夜間PTSの株価=翌日の株価くらいに考えていると思いますが、今回のようにあてにならないことも多いので、参考情報程度にとどめておくようにしましょう。

よくあるのが、掲示板やYoutubeなどで、夜間PTSが下落しているから翌日はストップ安になる、今のうちに売却をしておくべきと発信している方がいますが、安易に信じるのは危険です。

実は夜間PTSは取引量が少ない場合も多く、大口の株主がある程度株価を操作することも可能なんです。もしYoutubeなどの発信者が敢えて夜間PTSで多めの売り注文を出して、株価を下げた後で、このような売り煽りの発信をして、多くの人が損切して株価が暴落した後に買い戻していたらどうでしょうか。このやりとりは翌日の株価に何も影響を与えないことですよね。実は下落しないどころか上昇するような決算でも、夜間PTSでは、大暴落する可能性もあるということです。今回の資生堂、コーセーは、まさにPTSとザラ場が異なる動きをした良い例でした。

最後に一言:株は儲けるためではなく、長期で資産を築くための1つの手段としましょう。そして、投資額は、全額失っても生活にも精神にも影響しないお小遣いの範疇でやりましょう。私は、日々のお菓子や無駄遣いを減らして生じた余剰金で株をやるようにしています。

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