実は家電の中で正しく、賢く利用するのが最も難しいのがエアコンです。特に冷房運転です。幼少期から当たり前に使っている人も多く、イメージだけで勘違いして使っている方も多いようです。
前置きとしてよくある誤解を2つ述べておきます。
・運転中は、外気を取り入れて、同時に換気をしていると思っていた。
・設定温度を下げれば下げるほど冷たい風が出ると思っていた。
ドキっとした方がおられるなら、この記事を作った意味がこの時点でございます。
まれに換気機能がついたエアコンもございますが、基本的に冷暖房運転では、室内の空気を取り込み、その空気を冷やしたり、暖めたりして室内に戻すので、空気の温湿度を変えるだけで、空気自体は変わりません。なので、二酸化炭素濃度も空気中の有害物質なども変わらない点は注意してください。
さらに厄介なのが、すぐに部屋を冷やしたい時に設定温度を下げる行為です。設定温度を下げてもエアコンの運転強度が強くなるわけではないです。あくまで、その設定温度になるまで運転を続けるだけです。例えば、室温が30度で設定温度27度ならば、室温が27度になるまで運転を続け、27度になると送風運転に切り替わります。もし設定温度を25度にすれば、引き続き室温が25度になるまで運転するだけです。
私も昔誤解をしておりましたが、室温が30度の時に、早く室温を下げたい、もっと冷たい風を出してほしいとの一心で、設定温度を18度にしていたものです。
さて本題に移りましょう。
多くの方が冷房運転で誤った設定をしており、不快な冷房運転をしております。
皆さん、冷房の究極目的はなんですか?
最近は、省エネ、省エネばかりになっており、本来の目的なある快適な住環境の実現を忘れております。省エネが気になるなら、いっそのこと冷房消して扇風機にしたほうがましなくらいです。実際熱中症のリスクが高まるので冷房は必須ですが・・・・・
テレビやネットなどで省エネのために冷房の設定温度を28度にしましょうと言いますが、皆さん肝心なことが抜け落ちています。
同じ28度でも湿度によって快適性は全く異なることです。
室温=体感温度ではないのです。まずは以下の表をご覧ください。

出所:https://www.daikin.co.jp/air/life/laboratory/heatstroke
表の数字は暑さ指数となっており、25未満であれば、ある程度の快適性が実現できます。人によって暑がりや寒がりがあるので、一概には言えないですが、ほとんどの方が25以上になると不快に感じるようです。私は最低でも23以下でないと少々不快に感じるので23を実現するための条件を考えてみましょう。
この暑さ指数は、室温だけでなく、湿度によってもかなり影響を受けることが分かります。例として暑さ指数23になる時の室温・湿度の組み合わせを見てみましょう。
室温30度、湿度40%
室温28度、湿度50%
室温27度、湿度55%
室温26度、湿度65%
室温25度、湿度75%
室温24度、湿度85%
理論上、これらすべての組み合わせで体感温度は同じになります。
いかに湿度のコントロールが重要か分かっていただけますでしょうか。そして日本の天気予報が気温ばかり強調するので、多くの方が気温だけで暑さを判断するようになっています。
例えば、5月の乾燥した晴れ渡った日に気温30度、湿度40%であれば、室内と外で単純比較できないですが、暑さ指数23程度になります。これが6月の梅雨時になり、気温26度、湿度85%となれば、暑さ指数は25になり暑く感じるのです。梅雨時は、気温は低くなりますが、蒸し暑く感じるのは湿度が原因です。
私は、高気密高断熱を売りにする某大手工務店のモデルハウスを見学した時に、この問題に直面しました。
入った瞬間に不快に感じたのです。理由は簡単で冷房の設定温度を26度のすることで室温は26度になっておりましたが、湿度がなんと75%になっていたのです。暑さ指数で言えば24となり、暑くはないのですが、私にとっては快適ではなかったです。この話って高気密高断熱住宅ではよく起こることなんです。
つまり、断熱性能が高い=冷房つけるとすぐに冷えて設定温度に達する=除湿する時間がないので、室温だけ下がって、湿度は下がらない
湿度を下げるには、冷えた熱交換器に長時間室内の空気が触れて結露して、その結露水を外に流す作業が必要です。
しかしながら、高断熱住宅だと短時間で室温が下がり、送風運転に切り替わるので、室温だけ下がり湿度の高い空間になるのです。
特に高断熱住宅でなくても、設定温度28度にすると、すぐに室温が28度になり送風運転になるため、湿度は下がらず不快な空間になります。
友人宅などでよく経験しますが、室温28度、湿度75%になっていることがあります。暑さ指数は26なので、室温32度、湿度45%と同等の暑さになってしまいます。もちろんですが、暑くて扇風機併用していますが、暑さを我慢して過ごしているようです。
どちらのケースでも冷房運転を最小限にできるので電気代は抑えられます。でも重要なのは快適空間を実現することですよね。
確かに電気代削減も重要ですが、快適空間を実現したうえで、次に達成すべき目標です。
つまり冷房の究極目的は、湿度を下げることなんです。
なぜならば湿度を下げる過程で必ず室温は下がります。よって湿度を下げる運転方法を達成できれば快適な空間をつくることができるのです。
但し注意が必要で、例えば湿度を下げるために除湿運転を長時間続けると、室温が下がりすぎて寒くなったり、電気代が思った以上に高くなることがあります。
設定温度を20度とか、極端に下げれば湿度は下がりますが、同時に室温も下がり、電気代も極端に高くなるので、理想は、室温27度程度に保ち、湿度を50%程度にすることです。暑さ指数は22もしくは23になり、かなり快適な空間になりますし、設定温度27度でしたら電気代も許容範囲内で低く抑えられると思います。
一般論になりますが、どの家でも実践してほしい湿度を下げる冷房の運転方法についてみていきましょう。
1.エアコンの設置位置を考えて冷房する空間全部の空気を循環できるようにする
壁掛けのエアコンは、一般的に室内の空気を上部から吸引し、吹き出し口から出しており、それを繰り返しております。上部から吸い取る空気の温度を温度計が感知し、その空気が設定温度になっていれば運転を送風に切り替える仕様になっているのです。つまり、狭い空間で空気が循環するような場所に設置すると、自分が出した冷たい空気を吸い取り、すぐに設定温度になったと勘違いして送風運転になってしまいます。
吹き出し口から出る空気が遠方の部屋の端まで行くようにすれば、吸い取る空気が冷えるまでに時間がかかり、部屋全体が冷え切るまで運転を続けます。
つまり、冷房空間の中でエアコンから最も離れた場所に吹き出し口の空気が行くような場所にエアコンを設置するのが良いです。大きい空間の場合は、サーキュレーターを併用すると良いです。
2.場合によっては、設定温度を理想の室温よりも少し低めに設定しておく
理想室温が27度の場合、設定温度を27度にすると、早々に運転が送風に切り替わり、湿度が下がらない場合があります。設定温度を26度にすると、設定温度まで下げようとより長時間冷房運転が続けられ、湿度がより下がる傾向にあります。
この後は、各家庭の設置エアコンの性能や断熱性能にも起因するので、答えがないのですが、もし設定温度を下げた時に、室温も下がりすぎて寒い場合は、次の手を考えましょう。
3.風量を強や自動ではなく、弱に切り替える
世間一般では弱運転は省エネにならないと言われ、推奨されません、もちろん同じ設定温度にするなら風量を自動にして、強運転で一気に室温下げて、その後弱運転で送風や冷房を繰り返し室温を維持するのが電気代を最も安くする方法だと理解しています。但し、これでは湿度が下がらないんですね。
今回の究極目的は湿度を下げることなので、運転開始から風量を弱にして長時間冷房します。この過程で風量が弱いので、徐々にしか室温を下げることができず、その間ずっと除湿できるので、湿度を効率的に下げることができます。さらに設定温度を少し低めにしておくと、理想の室温になった後も冷房運転を続けるので除湿を続けます。そして室温は下がろうとするが、外気の影響もあり、外の暑さにより室温が上がろうとする力と、冷房の室温を下げようとする力が拮抗する温度のらへんで、室温が動かなくなり、それでも冷房運転で下げようとするので、エアコンは送風にならずに、一定の弱い運転で冷房を続けます。
この状態を作ることができれば、室温をある程度理想の温度にしながら、湿度を効率的に下げることができます。
送風運転にならない分、ずっと冷房をしているので、電気代は多くかかりますが、すごく微弱な冷房で長時間一定の強さで運転するので、効率よく運転でき、思った以上に電気代がかからないです。
我が家を例にすると、三菱霧ヶ峰Zシリーズの14畳用で30畳近くの空間を冷房しています。
以前は、設定温度26度で自動運転で夜間以外はほぼつけっぱなしにしていたところ、電気代が8月の暑い時期一か月で5000円程度でした。
その後運転方法を見直し、設定温度27度で弱運転でつけるようにしたところ、電気代が6000円になりました。
約1000円高くなってしまいましたが、住環境は劇的に良くなったのです。
改善前:室温26度、湿度75%、暑さ指数24
改善語:室温27度、湿度50%、暑さ指数22
湿度が劇的に改善したおかげで暑さ指数が2も下がりました。
暑さ指数22は、室温25度、湿度70%と同等になるので、冷房運転をうまくできていない方が設定温度をやみくもに下げ、湿度が下がらず室温下げた状態と同様になります。
少なくとも私の感覚では、暑さ指数が同じなら湿度が低い方が快適だと感じます。多分ほとんどの方がそう思うと思います。注目すべきは設定温度25度にすれば、ほぼ間違いなく、設定温度27度で弱運転するより電気代がかかるということです。
高気密高断熱住宅は電気代がかからないとメリットが独り歩きしていますが、施主が冷房運転の特性を理解しないまま、快適性を追求するため、湿度を下げずに設定温度を下げて冷房をしていると、快適性も実現できず、電気代もかかるといった問題に直面するかもしれません。
今回の方法を実践のうえ、是非快適な冷房環境を実現してみてください。


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