誤った冷房の使い方と光熱費を抑えた効率的な冷房の使い方

冷房は夏になればほぼ全員が使っていますが、多くの方が冷房の仕組みを正しく理解できていないことが原因で誤った運転方法をしており、結果的に不快になっています。

まず、冷房をつける最大の目的は室温を下げることだと思いがちですが、それ以上に重要になるのが湿度を下げることです。以下の室温と湿度と不快指数の関係を示した図をご覧ください。

出所:https://www3.cuc.ac.jp/~nagaoka/2015/shori/04/di/index.html

出所:https://www.orionkikai.co.jp/technology/pap/temperature-humidity/

人が暑さを感じる時には、当たり前かもしれませんが、室温と湿度の両方が影響します。ほとんどの人がそうなのですが、暑さを測る時に気温や室温ばかり気にするのですが、湿度に無頓着な方が多いのです。

例えば、気温30度で湿度40%ならば、不快指数は76.8となり「やや暑い」になります。ここから気温が下がって26度になっても湿度が90%ならば不快指数は77.7となり「やや暑い」になります。不思議ですが、気温が26度でも湿度が90%もあれば、気温30度の時よりも暑く感じるんですね。

前者が5月の五月晴れの暑い日だとして、後者は6月の梅雨時の雨の日だとしましょう。初夏の時期は、気温が上がっても湿度が低い日が多いので、気温が低くても湿度の高い梅雨時より快適な場合が多いです。

7月下旬などの真夏は、気温35度、湿度70%などになることが多く、不快指数は「88.9」となり「暑くてたまらない」になります。

少し脱線しますが、室温と湿度の関係、そもそも湿度というものが何かを解説します。

そもそも湿度には、絶対湿度と相対湿度というものがあります。人間の感覚では絶対湿度を感じているのですが、世間で言う湿度は相対湿度を指しているため、両者の乖離が生じています。

かなりざっくり説明します。湿度とは、空気中に含まれている水蒸気量です。湿度が高いということは、空気中に水蒸気が多く含まれており、じめじめした状態です。

感覚でも分かると思いますが、空気中に含むことのできる水蒸気量は気温が高ければ高いほど多くなります。

出所:https://www.manabi.pref.aichi.jp/contents/01120349/0/situdo/situdo/howasui.htm

ある温度の空気に含むことのできる水蒸気量の上限を飽和水蒸気量といいます。グラフで見れば分かるように、気温25度の時は22.8gに対して、気温35度では39.2gと2倍ちかくになっております。私を含め数式が苦手な方も多いと思いますので、言葉で相対湿度を説明するなら、現在存在する水蒸気量(絶対湿度)が飽和水蒸気量に比べどれくらいあるかを示すものです。例えば、気温35度の時に水蒸気が20g程度あれば、飽和水蒸気量の39gに対して半分くらいなので、相対湿度は50%程度となります。もし、気温(室温)が35度の時に冷房で25度に下げたら、飽和水蒸気量は22.8gに下がり、水蒸気量が20gのままであれば、湿度は90%近くになります。水蒸気量が同じでも、気温が下がり、飽和水蒸気量が少なくなると、相対湿度は50%から90%と大幅に上昇します。

ちなみに25度で湿度90%の不快指数は76となっており、30度の湿度40%の時の76.8とほぼ同じとなっています。これって実はすごいことで、冷房により室温を35度から25度に下げたとしても部屋の水蒸気(湿気)をうまく取り除かなければ、湿度40%の30度の室温と快適性はほぼ同じになるということです。

ちなみに、湿度を見るときは、相対湿度は気温や室温により簡単に変化するので、現在空気中に含まれている水蒸気量である絶対湿度の数字を当てにしたほうがいいです。

さて前置きが長くなりましたが、快適な室内環境を手に入れるためには、室温と同じか、それ以上に湿度を管理することが重要なのはお分かりいただけましたでしょうか。冷房運転により室温だけでなく、湿度も下げることができれば、快適になります。

では不快指数や湿度が分かったところで、誤った冷房の使用でどのような悲劇が起こるのか確認してみましょう。

省エネ推奨で、設定温度を28度、風量を自動で運転するとどうなるのか確認してみましょう。

外気温35度、湿度70%で室温が32度、湿度80%の時に冷房をつけるとしましょう。ちなみに室温32度、湿度80%だと不快指数は86.1であり暑くてたまらない状況となっております。

エアコン起動後、エアコンは室温が32度あることを検知し、28度に室温を下げるために風量を最大にして、急速にエアコン内部の熱交換器が空気中の熱を奪い、暑い空気を冷たい空気に変えて、室内に戻します。この作業の際に、熱交換器は急激に冷えるので、熱交換器は結露して、結露水がドレンホースをつたって、室外に出ていきます。その過程で室内の水蒸気は屋外に排出されるので、湿度も下がります。しかしながら風量最大で運転をすると、すぐに室温は28度に達し、エアコンは冷房運転をやめます。なぜならば、これ以上冷房運転をすると、室温が28度を下回るからです。そして、設定温度に達した後は、風量を抑え、送風運転に切り替わります。つまり扇風機のようにただ風を循環させるだけになります。この時、エアコン内部に結露水としてたまっていた水は、再び蒸発して水蒸気になり、室内に戻ってきます。この送風運転時に室温が再度上昇し、同時に湿度も上がります。

経験があると思いますが、エアコンのつけ始めは、冷気が出てきて、快適に感じますが、しばらくするとエアコンから生暖かいかびくさい空気が出てきて、不快な思いをしたことはないでしょうか。この時に送風運転になっており、中の結露水が蒸発して湿気を帯びた生暖かい風となり、エアコン内部のかびを一緒に運んで出てくるため、室内の湿度は上昇し、臭くなります。

この設定温度と風量の悪いところは、まず設定温度が高く、室温に近いと、エアコンはすぐに設定温度に達し、冷房運転をストップするので、水蒸気を取り除く時間もほぼないですし、ストップ後は結露水が室内に戻り湿度を逆に上げる働きがあるので、結果として室内の絶対湿度(水蒸気量)はほぼ変わらず、非常に不快になるわけです。そして、しばらく時間が経つと、また室温が28度より高くなるので、少し冷房が起動して設定温度に達したら送風になることを繰り返します。この運転方法ですと、最初28度に達するまでは強風によるフルパワーの冷房で一気に冷やし、その後は送風と冷房を繰り返しながら、28度前後を室温が推移するように冷房運転が行われます。

ちなみに、エアコン(冷房)は、起動する時に最も電気を消費するので、この使い方だと、最初にフルパワーで起動し、その後送風時は停止状態、また起動して、停止、起動、停止を繰り返します。ずっと起動している時よりも停止から起動に変わる時に電気を消費するため、電気代が高くつくことが多いです。車に例えるなら、最初エンジンふかして、フルパワーで加速し、目的地に到着したら、停止、その後は長蛇の渋滞に巻き込まれ、加速、停止、加速、停止を繰り返しているようなものです。このような運転では燃費が悪くなるのと同様にエアコンも電気をより多く消費するのです。

理想的な運転方法、つまり室温と湿度を下げること、電気代をなるべく抑えることを実現するためには、車の運転と同様に、一定の速度で止まらずに絶えず運転を続けることです。冷房で例えるなら、送風に切り替わらず、常に冷房が起動している状況です。そうすれば、起動は一回で済むので、余計な電気代はかからないですし、常に冷房が起動していれば熱交換器が常に水蒸気を外に排出できますし、送風機能にならないのでエアコン内部の湿気が室内に戻ることもありません。

では常に冷房を運転させておくエアコンの設定とはどのようなものでしょうか。

この答えは、家によって異なるというのが正解です。つまり、施主が試行錯誤して見つけていく必要があります。

と言っても、教えてほしいという声が聞こえてきそうなので、考え方をお伝えします。

まず冷房は、設定温度に達するまで運転を続けるため、室温が設定温度に達しなければ、常に運転することになります。となると設定温度は、理想とする室温より低めにしておくのが良いです。次に急速運転をすると、すぐに設定温度に達してしまうため、できるだけ弱運転が良いです。つまりキーワードは、求める室温より、設定温度を少し低めにしておく、風量は最小にして、弱運転にすることです。エアコンを消したら分かると思いますが、真夏は特にエアコンを消した瞬間から室温上昇が始まり、すぐに不快になります。つまり、冷房起動中も常に、外気の影響から室温は上がろうとするわけです。しかしながら、冷房起動中は冷気を出して室温を下げようとしますよね。もし、弱運転にすると、冷房が室温を下げる力と外気が室温を上げる力が拮抗して、いつまでも設定温度に達しない状況が生まれます。こうなるとエアコンは常時冷房機能を起動させて室温を下げようとしますから、湿度も絶えず取り除くことになります。しかも設定温度に達する前に室温が拮抗して動かなくなるので、室温は設定温度より高めにできます。さらに、常に一定の強さでエアコンは運転されますので、エアコンの燃費も良くなり、電気代も抑えることができます。

ここで問題になるのは、外気の影響をどれくらい受ける家なのかということです。もっと分かりやすくいうと、気密性能、断熱性能、遮熱性能はどれくらいかということです。

先に断っておくと、この運転方法は、断熱性能や気密性能がある程度確保されている家に当てはまることです。そもそもこれらの性能が低すぎる家は、エアコンをほぼフル稼働しても、設定温度に達しないことも多々あるので、室温だけ下がって湿気が下がらないような悩みはできません。常時エアコンフル稼働で、室温も湿度もどっちも下がるか、そもそもエアコン冷房により室温も湿度も下がらないかのどちらかです。もっとたちが悪いのが、日射です。特に窓の遮熱ができていないと真夏の日射が室内に入り、一気に室温を上げます。実は夏の暑さに最も関係するのは日射です。断熱性能が悪くても、すだれや外ブラインド等で日射対策をすれば、夏はある程度快適に過ごせます。もし冷房をつけても室温が下がらないという家の場合、そもそも断熱や遮熱ができていない可能性が高いですので、まずは内窓を導入して断熱性能を上げるなり、外ブラインドをつけて遮熱するなりで対策をして室温を上げない対策をすべきです。

結論

冷房の誤った使い方:設定温度高めで風量最大

理由:すぐに送風機能に切り替わり、室温は下がっても湿度が高く不快になる。さらに、冷房起動と停止を繰り返すため、エアコンは起動時に電気代が最もかかるという特性上、電気代が高くなる。

冷房の正しい使い方:設定温度低めで風量最小

理由:設定温度を低めにすることで、希望の室温になっても引き続き冷房機能が起動し続け、湿度を下げてくれる。さらに、連続運転をするため、起動は最初の1回のみになり効率よく運転でき、光熱費を抑えられる。室温が低くなりすぎるというデメリットもあるが、外気温が高い状況では、室温を上げる働きが常にあるため、室温は丁度良いくらいにできる。日々肌感覚で設定温度を微調整して、最適な温度を探す必要あり。

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