株主優待が本当にお得か検証!

新NISAも始まり、多くの個人投資家が誕生している2024年。

様々な方法で皆さんが投資をしておりますが、日本の個別株に投資をする方が増々増えているのが現状です。

YoutubeやSNSなどでも人気があるのが高配当株投資や株主優待投資です。

株から得られる利益には大きく以下の3つがあります。

・株価自体の値上がりによるキャピタルゲイン

・株を保有することで定期的に支払われる配当等のインカムゲイン

・株を保有することで、条件(100株以上等)の条件を満たすともらえる株主優待

個人投資家は少額で投資することが多く、所有するだけでもらえる株主優待はかなり魅力的に見えます。

本記事では、有名な企業が提供する株主優待について説明し、本当にお得か検証してみます。

ここでは、株主優待にまつわる大きな誤解2つを説明します。

1.持っていれば無料でもらえるわけではない。

株主優待や配当は、各企業毎に、権利確定日という日があります。つまり、その日に所有していれば配当や株主優待がもらえるわけです。もし、株価が変動しないと仮定すれば、毎回権利確定日に株を購入し、翌日に売れば、ただで配当や株主優待がもらえるわけです。しかしながら現実はそんなに甘くなく、この権利確定日の翌日は大抵の場合、株価が下落します。それも配当金や株主優待の価値に応じてある程度連動して下落することもよくあります。

例えば、1株配当金50円、100株所有で株主優待3000円相当の株を権利確定日に1株4000円で買ったとしましょう。100株で40万円の取引です。この40万円の購入で配当金5000円と株主優待3000円相当がもらえるので、40万円の投資に対して8000円相当の利益です。しかしながら多くの場合、翌日に株価が下落するので、もし翌日売れば損失が出ます。例えばですが、翌日株価が下落し、1株3940円になったとしましょう。その場合、100株売っても39万4000円にしかならないので6000円損失が出ます。結局配当と株主優待で8000円相当儲かっても、6000円損失が出るので、2000円相当の利益しか残りません。

絶対に下がるというわけはなく、権利確定日翌日にさらに株価が上がったり、変わらない時もあります。これは、相場が良いときや、その企業自体の株が上昇傾向にある時がほとんどです。

何もない時は配当落ちとか株主優待落ちと言って株価は下がるのが普通です。場合によっては、権利確定日の株価が高いので、そこで売って翌日買い戻せば、差額分儲かると考える人もいるくらいです。

もちろん長期で保有すれば企業は平均すれば成長していくので、株価自体も上がりながら配当や優待をもらうこともできる可能性が高いです。もちろん絶対ではないので、長期で低迷する株を買えば、もらった配当金や株主優待を加味しても赤字になることもあります。

実際の推移をハーバー研究所という会社のチャートで見てみましょう。

出所:https://finance.yahoo.co.jp/quote/4925.T/chart?styl=cndl&frm=dly&scl=stndrd&trm=6m&evnts=volume&ovrIndctr=sma%2Cmma%2Clma&addIndctr=

2024年3月終わりのところで、大きく下落しているのが分かりますか?この時は1日で1株100円程度値下がりしました。つまり持っていれば優待と配当がもらえる権利確定日と翌日の権利落ち日の株価の違いです。100株で1万円程度値下がりしたことになります。

ハーバー研究所は、3月の権利確定日で100株持っていると、4000円の配当と1万円の自社製品購入に使えるクーポンをもらえます。このクーポンはオークションで5000円程度で買えるので、実質9000円相当の配当金と株主優待をもらうかわりに、1万円の株価下落の損失を被ることになります。

極端な話、優待や配当目当てに株を買うと、翌日に優待や配当以上の損失を喰らう可能性もあるということです。この下落を避けるために、権利確定日に敢えて売って、権利落ち日に買いなおす人もいるぐらいです。今回のハーバー研究所の例で言えば、結果論ですが、優待を使わない人からすれば、権利確定日の高い時に売って、安い時に買いなおした方がお得だったかもしれません。

注意点としては、新NISA枠で売買しないと売買の差益が生じた場合、その20%近くは税金で持っていかれます。つまり1万円の利益ではなく8000円の利益になるので、配当及び優待のほうが価値が出てきます。新NISA枠なら税金かからないですが、枠がなくなってしまうので、新NISA枠がもったいないです。

2.株主優待の価値は実際よりも多額になっている

これは実際の株主優待を価値を探る方法があります。

多くの株主優待は、メルカリなどで転売されているので、その価格を見ればある程度の実際の価値が分かります。

ここでは代表的な企業であるライオン、明治ホールディングス、楽天の3社で見てみましょう。

まずライオンですが、

出所:https://www.lion.co.jp/ja/ir/shareholders/privilege/

例えばこれが3000円相当の商品詰め合わせだと言われますが、実際のメルカリでの取引価格を見てみると、

このような価格で取引されています。

例え、ネットなどで株主優待の価値が3000円相当と言っていても、実際は1399円払えば、メルカリで手に入るわけです。

多くの場合、もらえる商品を定価で見ているか送料込みで見ています。送料が高めに設定されているか、そもそも洗剤などはホームセンターで格安で売られているので、定価で買う方はほとんどいません。

もちろんコンビニですべて買えば3000円相当になるかもしれませんが、格安で買えば半額以下で手に入るわけです。さらに実際に株主優待の価値は~円相当などと表記され、あたかもその価値があるように勘違いしてしまいますが、実際の価値はメルカリなどで売買されている価格になります。つまり、ライオンの株主優待は1399円ということになります。ちなみに2024年5月2日のLIONの終値の株価は1株1408円ですので、株主優待をもらうために100株投資をすれば140800円必要となります。2023年度は配当金が1株26円で、100株で2600円もらえますので、実際の配当と株主優待の価値は3999円です。利回りは3999円÷140800円=2.84%となります。

定期預金に比べれば十分に高い利回りですが、このくらいの金額でしたら場合によっては1日で株価が下がって消えてしまいます。

以下が過去1年のLIONの株価の推移です。

出所:https://www.sbisec.co.jp/ETGate/?_ControlID=WPLETsiR001Control&_DataStoreID=DSWPLETsiR001Control&_PageID=WPLETsiR001Idtl10&getFlg=on&_ActionID=getInfoByTime&s_rkbn=&s_btype=&i_stock_sec=&i_dom_flg=1&i_exchange_code=&i_output_type=&stock_sec_code_mul=4912&exchange_code=TKY&ref_from=1&ref_to=20&wstm4130_sort_id=&wstm4130_sort_kbn=&qr_keyword=&qr_suggest=&qr_sort=&PER=5

過去1年で見ても、一番高い時は16万円近くですし、一番安い時は12万円付近まで下がっています。つまり、1年間で4万円程度の変動があるわけですね。もし万が一一番高い16万円で買って、12万円に下落すれば、株主優待どころではない損失です。

テレビなどでは株主優待の価値を魅力的に伝えますが、現実はこのような株価の変動リスクを背負った上で、享受できるもの、そして実売価格は、テレビや雑誌などで言う相当額より随分低いことが多いです。

次に明治ホールディングスですが、100株保有で年1回3月に1500円相当の自社製品がもらえるとのことです。

2023年の商品は

こんな内容になっております。

銀座カリー中辛 178円
アポロ 98円
ミルクチョコレート 98円 
チョコレート効果 178円
きのこの山 148円
アーモンドチョコレート 168円

価格はすべて私の家の近くのディスカウントストアで売られている価格です。市場で買うと、868円で買えてしまいます。しかもメルカリでは

で販売されているので、1500円の価値は絶対にありません。実際700円出せば送料込みでメルカリで買えてしまいます。

ライオン同様に~円相当は全くあてになりません。

しかも実際もらうと分かるのですが、日用品とかお菓子って好みがありますよね。使わないものはほぼ無価値です。私がライオンの優待もらった時は、歯磨き粉が普段使わないものなので、結局家族にあげました。お菓子も私はきのこの山ではなくたけのこの里派なので、食べれなくはないですが、正直普段の安売りの価格でも買わないので価値は市場価格よりさらに低いです。

結局優待って、QUOカードのように現金に近いものが一番価値があるように思えます。たまにお米を優待にしている会社もあり、お得感がありますが、送料の関係もあるのか、2キロ2000円相当だったり、5キロ5000円相当だったりと、市場価格との乖離が凄まじいです。私の家の近くのスーパーならば5キロ1800円で買えるので、5キロの米の価値は1800円です。

最後に楽天は珍しい優待を今年から実施しております。

なんと毎月音声通話+30ギガを1年間無料で使えるSIMカードをプレゼントしているのです。

普通に契約すると毎月3000円かかるので、年間36000円相当が無料ということでかなり話題になりました。このSIMカードについてもヤフーオークションで多数出品されています。

価格はなんと4500円~10000円の間くらいです。安い時は4500円程度で落札されておりました。

ではなぜこんなに安いのか考えてみますと、実は楽天は新規入会者に20000ポイントプレゼントなど、かなり大盤振る舞いをしており、毎月音声+3ギガプランを契約しても980円と破格の価格設定です。実際多くの人は、毎月3ギガ以内の利用で済むので、実は無料でSIMもらうより、年間980円×12か月の12000円程度払ってでも20000ポイントもらったほうが8000円相当手元に残るためお得になるのです。これもキャンペーンを知っている人であまり毎月のギガを使わない人からすれば、結構常識で、無料よりもお得なので、株主優待に魅力を感じないわけです。

世間で言われる株主優待の価値を鵜呑みにせず、しっかり実勢価格を調べるようにしましょう。

株の本来の目的は、将来的に成長する企業や安定して配当金を出す企業に長く投資するもので、株主優待目当てに株を購入すると大抵損することが多いです。株主優待はおまけでいただける程度の認識が良いのかもしれません。

 

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