私は、家にある家電で最も万能な割に安価で買える家電がエアコンだと確信しております。
2人以上世帯の平均所有台数が三台以上ということなので、1人1台以上持っていることになります。必需家電である冷蔵庫や洗濯機でも基本一家に1台でしょうから、最も普及している家電と言っても過言ではないです。
規模の経済性と言って、たくさん販売されればされるほど価格は低下します。
つまり、エアコンは性能の割に最も安く買える家電の1つなのです。
結構高性能なエアコンでも10万円程度で買え、冷房、暖房、除湿、場合によっては加湿や空気清浄及び換気まで行えるのですから万能すぎます。
部屋の温度を下げる冷房機能を備える家電は基本エアコン以外にないので、夏のためにみなさん必ず購入します。
その他の機能については、別の家電で代用可能なため、エアコン以外を使っている場合が
多いですが、はっきり申し上げると暖房と除湿についてもエアコンが最も安い電気代で同じ効果を発揮します。
ヒートポンプという機能をご存じでしょうか。
夏場のエアコンは、他に選択肢がないので良いのですが、暖房に関しては、電気ストーブや石油ストーブの方が部屋が暖まるし、光熱費も安いと考えている人がかなりいます。
彼らの言い分は、エアコンは暖まりにくい、なんとなく電気代が高そう!です。
この2点については、ヒートポンプの仕組みを理解すれば、容易に謎が解けるはずです。
まず、大前提として空気の温度というのはどのように決まるのかから説明しましょう。簡単に言うと、大気中には無数の原子がイオンの状態で存在し、太陽などの外的な熱エネルギーによって暖められると熱エネルギーを蓄えて、高速で動き始めます。そしてその空気が暑くなるのです。夏など日なたは暑い理由が分かります。そしてもちろんですが、暑い空気と寒い空気が混ざると、両方の内部にある原子が行き来するので、温度は均等になっていきます。さらにこれらの原子は、空気が圧縮されると、より狭い空間に多くの原子が押しつぶされて、今まで広いところを伸び伸び飛んでいたのが、非常に狭いところで、ひしめき合って動き回るので、その空間の温度が急上昇します。そして、もし圧力がなくなり、広い空間に戻ると、またのびのび動けるので、温度は低下します。この原理を理解したうえで、説明します。エアコンというのは電気の力を利用して熱交換器という機械を使って、空気を圧縮します。圧縮された空気は50~60度と非常に暖かくなります。そして室内にその空気を発散し、室内の冷たい空気を取りこみます。その後、一気に圧力を下げて、その空気をマイナス10度とかにします。その空気を室外機から外に放出し、同時に室外の5度くらいの空気を取りこみます。再度その5度の空気を圧縮し、50度位にして室内に放出します。また室内の15度程度の空気を取りこみ、圧力を下げ、一気にマイナス10度くらいにして室外機から外に放出することを繰り返します。これがヒートポンプというシステムで、エアコンは熱を作り出していません。この原理で、暖房の時は、外の空気から熱を奪い、室内に放出させているだけです。この空気の循環を起こさせるために、熱交換器が空気に圧力をかける必要がありますが、ここで電気を使っているのです。もちろんですが、室内が暖まるのと引き換えに室外の熱が奪われていますので、室外はより冷えます。まあ室外は室内と比較して無限に近い広さですので、ほとんど影響ないですが・・・・
夏場の都内などは、逆に皆さんが冷房を使って、室内の熱を奪って、室外に放出していますので、あまりにビルや建物が密集している場所だと外気温の上昇に繋がります。
つまりエアコンは、少ないエネルギーで熱移動を行うので、1のエネルギーで6くらいの熱エネルギーを室内に送り込むことができます。
残念ながら、電気ストーブは、1の電気エネルギーを1の熱エネルギーに変換しているだけ(エネルギー保存の法則)なので、エアコンと同じ電気代を払っても6分の1程度しか室内に熱ができません。石油ストーブだと、凡そ現在は1の電気エネルギーと同じ値段の灯油を用いて、2~3の熱エネルギーを生み出すと言われていますので、電気ストーブよりは効率がいいですが、エアコンほどではないです。
エアコンの凄さがお分かりいただけたでしょうか。
しかし、暖房のエアコンにも欠点があります。まず短時間で一気に温めるのが苦手です。
少しずつ屋外の熱を室内に移動させるので、吹き出し口の風は熱くはなく生ぬるく、少しずつ室温を上昇させます。断熱性能が低く、壁や床、天井から同時に熱が逃げていったり、気密性が低く、隙間風などが多い古い家だと、エアコンで暖めると同時に、外気が入ってくるので、いつまでも部屋が暖まらない場合があります。これは、エアコンを諦めることよりも
エアコンで家が暖まるように断熱改修をすべきです。長い目で見れば、光熱費などで元が取れます。
次に、あまりに外気が寒いと機能しません。
極端な話外気がマイナス20度とかだと、一般性能のエアコンは、熱交換器の力でマイナス10度くらいにしか温度を下げれないので、外気から熱エネルギーを奪うことができず、全く機能しなくなります。この場合、寒冷地用のエアコンを買って、高性能な熱交換器で温度をマイナス30度とかまで下げれれば、マイナス20度の外気と合わさったときに熱エネルギーを奪うことができますが、5の熱エネルギーを移動させるのに、6の電気エネルギーが必要なくらいに効率が悪くなることがあるので、いっそのこと電気ストーブや石油ストーブのほうが効率が良くなります。実際北海道などではエアコンは暖房としてあまり利用されていないようです。
エアコンは外気温が7度くらいまでが最も効率的に機能するようなので、日本の中でも積雪のない比較的温暖な地域で重宝されるようです。しかし、それでもなお、東北より北の地域以外は、依然としてエアコンが最も省エネな暖房機器であるはずです。
エアコンが暖まりにくいと感じていたり、電気代が高いと思い込んでいる人は、性能の低い家で、全然暖まらない割に、フル回転しているエアコンのせいで電気代が上がっている場合がほとんどだと思います。家に一定以上の断熱性能があれば、エアコン一択になるはずです。
次にエアコンの中でも省エネエアコンというのがあります。
極端な話、最安値のエアコンは1エネルギーで5の熱を生み出すところ、省エネエアコンは1エネルギーで8近くの熱エネルギーを生み出します。1.5倍位の能力があります。
これは熱交換器の性能が高いので、圧縮力が強く、1度により多くの熱エネルギーを移動させることができるため、より電気代が安くなります。
もちろん高性能な熱交換器などの機器を搭載しているので本体価格が高くなりますが、
10年以上使うことが考えたらメインのリビングなどで長時間使用する場合、電気代の節約額のほうが、購入金額の増加分より大きくなることがほとんどです。このような省エネエアコンは型落ちになると価格が急落しますので、この時に必ず購入してください。
他の暖房機器と違ってエアコンだけがこのヒートポンプという仕組みを用いて効率的に熱を利用しています。ヒートポンプは他にもエコキュートという給湯器やドラム式洗濯機などにも使われています。エアコンの唯一の欠点は、精密機器のため、他の暖房器具に比べ壊れやすいことと、技術進歩が激しいので、数年前のモデルが性能が悪くなることでしょうか。
極端な話、電気ストーブは30年前のものを使っている例もありますからね。
エアコンは凡そ10年で買い替えとなります。しかし、夏と冬に多用することを考えたら、光熱費も安く抑えられますし、初期費用払ってもお得です。
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