住宅に住んでいて一番怖いのは、災害により命を失ったり、大怪我をすることや家を失うことです。もちろん防げない事故というのも存在しますが、それ以上に防げる事故や災害も多いです。津波の危険性のあるエリアに住んでいて、津波で命を落とせば悔やんでも悔やみきれません。どんなに便利な立地に高性能な家を建てていても、津波で流されれば一瞬ですべて失われますし、土砂災害に巻き込まれれば一瞬で命を失う可能性だってあります。住宅を購入する時は、何よりまず災害ハザードエリアを確認しましょう。災害ハザードエリアは「災害レッドゾーン」と「浸水ハザードエリア等」に分けることができます。
1.災害レッドゾーン災害危険区域と土砂災害特別警戒区域と地すべり防止区域と急傾斜地崩壊危険区域と津波災害特別警戒区域に指定された区域に分けることができます。
災害危険区域:津波や高潮、出水(大雨で河川の水があふれだすこと)などによる危険の 著しい区域として指定された区域
土砂災害特別警戒区域:急傾斜地の崩壊等が発生した場合に建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生ずる恐れがあると認められた区域
地すべり防止区域:斜面の土地の一部もしくは全部が地下水の影響と重力によってすべる現象、またはこれに伴って移動する現象である地すべりを防止する必要のある区域
急傾斜地崩壊危険区域:崩壊するおそれがある急傾斜地で崩壊すると相当数の居住者などに危害が生ずるおそれがあるところで、急傾斜地の崩壊を助長・誘発する行為を制限する区域
津波災害特別警戒区域:最大級の津波が発生した場合に建築物に損壊が生じるか浸水し、住民の生命または身体に著しい危害が生じるおそれがある区域
すごく学術的な記載が続きましたが、すべてに共有することは、海や川や山の近くに存在する土地や急な斜面にある土地であり、自然災害が起きた時に、命の危険がある土地で、本当に危ない土地だということです。また、これらの土地は国や地方自治体から建築や使用の制限がかかっていて、基本家を建てることは困難だということです。中古住宅がこのような土地に立地していることがありますが、将来的に建て直しができない土地となれば土地の価値はほぼ0ですし、危険な土地にお金出して住む必要は一切ないので、絶対に検討しないでください。
また、まれに新築建売がこのような土地に建っていることがありますが、たまたま国などから建築の許可が出て売り出している例がほとんどで、建築するために擁壁などの別工事をしているが、これらも将来的に負債になるので本当に注意してください。災害レッドゾーンに関する内容は契約書に明記し、契約時に説明をしなければならないため、やけに安い中古住宅などがあれば、これらの特記事項がないか初回の問い合わせの時に確認すべきです。何度も言いますが、これらに該当する物件の場合は、絶対に手を出さないほうが無難です。確かにお得な物件がゴロゴロ転がっていますが、かなり玄人向きで、素人が安易に手を出すとほぼ間違いなくやけどします。
2.浸水ハザードエリア等浸水想定区域と土砂災害警戒区域と都市洪水想定区域・都市浸水想定区域と津波浸水想定区域・津波災害警戒区域に指定された区域に分けることができます。
浸水想定区域:河川などの氾濫により水が溢れ、住宅が浸水する危険がある区域
土砂災害警戒区域:崖崩れや土石流などの土砂災害が発生した場合には、住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれのあると認められる土地の区域
※土砂災害警戒区域をイエロー区域、土砂災害特別警戒区域をレッド区域と呼びます。 危害の度合でより命に関わる危険が高いのがレッド区域です。
都市洪水想定区域・都市浸水想定区域:地方と違い都市部では、人口が集中しており、土地がないので、本来なら危険な河川付近の土地も住宅を建てたりします。河川には堤防を作り、河川より低い土地にも水が流れないように降雨などで河川の水位が上昇しても防いでおりますが、大雨が続き、堤防以上の高さまで水位が上がりますと、水が溢れ、付近の低い土地は浸水します。また、下水や雨水用の水も降雨などで許容量を超えると地下から溢れてきます。このような水の被害を受ける区域
津波浸水想定区域・津波災害警戒区域:津波災害のおそれがある区域で、津波が発生した時に建物の損壊が起こる可能性や浸水の想定がある地域
※津波災害警戒区域をイエロー区域と呼び、津波災害特別警戒区域をレッド区域と呼びます。土砂と同様に度合の問題でレッド区域の方が断然危険度が上がります。
以上で大きく2つのカテゴリーのそれぞれの区域について説明しました。ざっくりまとめると災害レッドゾーンの土地は、海の付近とか、山のふもとで目の前に崖があったり、本当に山の崖の部分にある土地だったりと素人から見ても明らかに危険に見える土地で、建築などにも制限がかけられており、利用価値が低い土地で命の危険がある土地です。建築に制限がかかる可能性がある土地は、将来的に使い物にならず利用価値が0どころか売れなくて税金だけかかる負動産になる可能性が高いです。浸水ハザードエリア等に該当する土地は、実は結構存在します。現実問題として、この問題は結構多くの人が直面すると思います。
程度にもよりますが、川が近くにあれば浸水区域、山が近くにあれば土砂災害警戒区域、海が近くにあれば津波警戒区域となる可能性が高いので、地域によっては、ほぼすべての土地が該当することもあります。ここで問題なのは、同じ区域でも危険度は全く異なるということです。例えば土砂災害警戒区域(イエロー区域)でも、土砂災害特別警戒区域(レッド区域)の隣の土地ならば、ぎりぎりイエロー区域だが、限りなくレッドに近い土地ということになります。逆に隣が何の災害リスクのない土地であるならばイエロー区域でも限りなくリスクが低いエリアとなります。イエロー区域というのは、建築の制限もないため、土地価格にも大きな影響を与えません。しかしレッドになった瞬間に建築制限がかかり皆さんが敬遠するので、価格が大きく下落します。レッドに近いイエロー区域を購入するような場合が色んな意味で損します。つまり購入時はレッドに近い危険な土地なのにイエローなので、高めの価格で買うことになり、災害時はレッドに近いリスクを背負うことになります。また区分の見直しの際に、レッドに変更されるリスクもあります。こうなると、土地価格が大きく目減りし、評価損を喰らいますし、将来建替えもできなくなります。
また、現在は浸水ハザードエリア等に該当する土地の価格は、他の土地とほぼ同水準の価格で取引されていますが、最近は大雨や風災などの災害も多発しており、人々が災害対策を重視しておりますので、近い将来は災害リスクがある土地というだけで、土地価格が大きく下落する可能性があります。敢えて災害リスクがある土地を買うメリットはほぼ0ですので、中古住宅を見つけた際は、まずは災害リスクのある土地かどうかを調べてください。
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