家の購入において最も難易度が高いのは土地探しです。
実は最も失敗しやすく、最も取返しのつかないのが土地です。
家自体の失敗も必ず多数出てくるのですが、家の失敗で致命的なものは結構少ないです。
よほど築古の中古を買うか、欠陥住宅を買わない限りは、似たり寄ったりが多いです。
家で良くあるのが、間取りを失敗したとか、収納が足りないとか、暑い寒いなどの問題ですが、将来的にリフォーム・リノベーションで大体解決します。
しかし、土地の問題は引っ越さない限り解消しません。
他のウェブサイトなどでは、デメリットを列挙している例がありますが、素人がそれを読んでも理解できず、結局失敗する例が後を絶ちません。
家探しを始めた方の目線で、実際に遭遇するであろう事例をもとに注意点を解説していきます。
【ケース1:新規の分譲地を土地、もしくは建売で購入する場合】
難易度が最も低いケースです。
土地自体に問題があることはほとんどないです。分譲地を作る時に、工事業者がしっかり地盤なども現在の建築基準法を満たすように地盤改良しておりますし、埋没しているものなども調査し、地質調査などもしっかりしています。
基本形も整形なものが多いので、まさに立地のみに注意しましょう。
まずは、一般的に分譲地は大型なものなら数百、小規模なら数個の土地が売り出されますが、その分譲地をひとまとめにして、立地を見てください。主要道路へのアクセスはどうか、近隣にスーパーや病院などの施設はあるか、将来的に発展しそうなエリアか、子供の学校や職場へのアクセスはどうかなどの近隣エリアとの関係を見てください。
次に分譲地内のどの土地にするかですが、大きな注意点は、
1.日当たり
2.分譲地内のアクセスの良さ
3.価格
4.ゴミステーションなどの嫌悪施設との距離
5.両隣や向かいの人との相性
だいたいは、このへんを理解しておけばよいです。
分譲地は人気エリアで売り出された場合、大抵南向きの土地から売れていきます。
一番人気は、南東向きの角地で分譲地入口からアクセスが良く、なるべく家前の往来が少ない場所で、ゴミステーションなどの嫌悪施設から離れた土地です。間違いなく一番人気が一番価格も高いですが、最初に買っていくのはお金に余裕がある人達なので、金に糸目をつけず、良い土地を買っていきます。
少し時間が経つと、似たり寄ったりの土地が残っていき、このような分譲地の場合、大抵ハウスメーカーが先に土地を買っておき、その土地を自社の顧客に転売する流れになるので、そのハウスメーカー内の客にどんどん売っていき、一気になくなっていきます。
残るのは北向きの角地でない土地やゴミステーション前の土地や分譲地の一番奥の端などで、アクセスの悪いところ、丁度分譲地内の多くの人が通る道路の前などの立地が悪いところが残っていきます。しかし売れ残りの土地は安いです。
どのタイミングで買うかですが、これもどれが正解か分からないです。
本当に良い土地が欲しければ、一番最初に最も良い土地を一番高い価格で買うのが正解です。
同じ分譲地の場合、最も立地の良い土地が最も価格が高いです。
価格決めは不動産のプロが行っていますので、一番高い価格の土地は世間一般で最も良い土地ということになります。但し、一番最初に土地を買うと大きなデメリットがあります。
それは、近隣がどのような大きさや向きで家を建てるか分からない点です。
良くある失敗例は先に家を建てて、南向きの日差しが冬にしっかり入るように設計したが、南向きの土地が自分の敷地近くに高めの家を建て日差しが入らなくなることです。
これも購入した土地が、南東角地で目の前に大きな道路があれば、道路が塞がれることはないので、心配不要ですが、日当たり以外でも、両隣や向かいの家が建てる時に窓の位置を丁度向かい合わせにされたり、ベランダが丁度向かい合うようにされ、出入りがしにくいなどの問題があります。
何においても後で建てる方が既存の家を見て、自身にとって有利に建築できるので、この点では、一番最後に建てる人が最も有利になります。
但し、最後に建てる人は、建築時に近隣に配慮をしないと嫌われるリスクも高いので、結局ある程度近隣の不都合等も考慮せざるを得ない場合も多く、難しいところです。
また、最初に建てると近隣の人を選ぶことができません。クレーマーなどが隣になるリスクもあります。
後で購入となれば、状況を確認のうえ購入できます。
最後に新規の分譲地では例が少ないですが、ハザードマップは必ず調べてください。
土砂災害危険もしくは警戒区域や浸水など、リスクはあります。軽度の浸水ぐらいなら含まれている可能性もあります。ハザードマップに含まれていないのがベストですが、軽度なものの場合、許容できる場合もございますので市町村などに相談し、過去の災害履歴などを調べておくのが良いです。
エリアによっては、ほぼすべてが浸水警戒エリアになっていることもあります。
【ケース2 単発で売り出されている土地を購入する】
多くが、遺産相続で相続した土地がいらないから売り出したり、子供と同居する親が家付で土地を売り出したりする例が多いです。
この場合は分譲地よりも格段に難易度が上がります。
まずは、土地が市街化区域に含まれているか確認してください。また、上下水道が通っているか、地盤改良は必要になる可能性がどうか、土地の形状はどうか、所有権や境界でトラブルになりそうな可能性はないか、擁壁などの上にないか、土壌汚染はないか、周りよりも低い場所ではないか、雪が降るエリアなら積雪時の除雪車は目の前の道路を通るか、車を使う場合、出入りは楽か、目の前の道路が私道ではないか、日当たりはどうか、近隣住民はどんな人か、商業施設などが付近にあるか、ハザードマップはどうかなどの分譲地を購入する時に注意する点をほぼ網羅したうえで、他にも沢山気にする点が出てきます。
さらに購入価格も要注意です。
土地こそ相場があります。基本土地に問題がなければ相場通りで売り出され相場通りで売買されることがほとんどです。
もしあなたが検討している土地の坪単価が近隣の成約事例より安価な場合、99%以上で何か問題があるため安くなっていると考えましょう。
本当に稀な例ですが、土地を売り急いでいる場合があり、相場より下げていることもあります。
逆に言えば、地価が相場通りなら大きな問題を抱えていない可能性が高いでしょう。
ここでは、実際私が遭遇した問題ありの土地を2例紹介します。
1.旗竿地かつ地盤改良が必要な土地
坪20万円のエリアで50坪で700万円でした。300万円安いです。この土地には他にも何点か気になる点がありました。まず、目の前の道路が私道で共同所有でした。将来のトラブルのもとです。また付近に大きな工場があり、排ガスや騒音の心配がありました。
地盤改良費は100万円程度とのことで、旗竿地のため、敷地に無駄な面積が多く、実質40坪の土地と同じような家しか建てられません。
よって坪20万円のエリアで40坪の土地が800万円になるので、それより100万円安いが、地盤改良費でトントンになるので、旗竿地かつ地盤改良が必要な土地という理由で300万円安いことが理解できました。
さらにデメリットも多かったため断念しました。
2.市街化調整区域の土地
50坪で600万円でした。
相場より400万円も安いです。理由は明確で将来再建築不可の可能性が高いからです。
一般的に市街化調整区域は今後都市開発のエリアでなくなるところなので、再建築をさせてもらえません。しかしいくつかの条件をクリアして建築できることもあります。
このようなエリアで稀に分譲地が売り出されたりしますが。相場より安くても将来土地を売ることになれば二束三文にしかならないので、お得ではないです。
今50坪600万円で買っても将来土地を手放す時には200万円位になってしまいます。
相場通りの市街化区域の土地を買えば、50坪1000万円が将来になっても多少長期トレンドで下落する可能性を加味しても900万円くらいでは売れると見込めます。
そもそも、市街化区域の土地が大きく下落するようなエリアであれば市街化調整区域の土地はタダでもいらない事態になり、半永久的に固定資産税がかかる負動産になってしまいます。
賢い人は市街化調整区域には手を出しません。
【ケース3:中古住宅の購入】
これが間違いなく一番難易度が高いです。
中古住宅って住宅のことについてもかなり見極めの知識が必要で、同時に土地に関しても調べないといけないため、迅速に検討を進める必要があります。
さらに良い中古住宅ほどすぐに売り切れるため、即決する勢いでないと買えません。
極端な話、不動産サイトに掲載された日に不動産屋に行き、物件を1回見ただけで申込をしなければいけないくらいです。
また相場通りか、それよりも安く魅力的な物件が出ている場合、指値で買付を出していると、後から申し込んだ指値なしの人に取られることもあります。
この場合、本当にお買い得なものを取られることもあれば、重大な欠陥に気付かず、安いと思ってみんなが飛びつき、買った人が被害に遭う例もあります。
なので、見に行った日のうちに内容を確認し、決めないといけないのでかなり難易度が高いです。
なぜ中古物件が土地と比べ、こんなに短期で決めないといけないくらい競争率が高くなるのか?
中古住宅の場合、土地と違って売主が急いでいる例が多いです。
例えば築浅物件で多いのが離婚です。離婚の場合、どちらも住みたくない例が多く、一刻も早く現金化して分けたうえで関係を断ちたいと考えることも多いようです。
その場合、相場より数百万円安くなっても売ってしまう例が多いです。
もちろん相場が2500万円と思われる物件が2300万円で出ていれば、飛びつく人が
多数います。売主側は利益よりも時間を優先しているため、早く買ってくれる人を探しているのです。まさに早い者勝ちです。
しかし、本当に相場が2500万円なのかは見極める必要があります。
実は土地がわけありで、よくよく調べたら土砂災害警戒区域とかで、近隣とのトラブルも抱えているとかだと相場より下がります。また住宅も最低限のローコストかもしれません。
実は2200万円が妥当なので、急いでいるふりをしているだけで、儲けようという魂胆で2300万円で出しているのかもしれません。
私の経験では、昔最大手の築7年の中古住宅が2500万円で売り出されていて、当時建売で3700万円で売り出されていた良い家だと聞いたので、7年で1200万円も値下げしていればお買い得だと思い、聞いたら売主も特別な事情で売り急いでいると聞き、条件が良いので飛びつきそうになりました。
しかし、内見した時に、建具や設備のグレードが低いこと、天井にかびと思われる斑点を見つけたことで、不審に思い、当時の販売状況や最終的な販売価格を調べたのです。
すると、この大手ハウスメーカーは値引きが常套の会社で、この建売も当時1年半売れ残り、最後は900万円値引きして2800万円で売ったとの情報が入りました。
どうもグレードとしては最下級のようで、土地についても築浅物件に意識がいっておりましたが、日当たりは悪く、目の前の道路もかなり狭く、分譲地の端っこのため、かなりアクセスが悪いということに気付き、新築で2800万円の価値しかない大手メーカーが作ったローコストを危うく買うところでした。結局売れ残り最終的に1年後くらいに2300万円で売れておりましたが、正直2000万円が妥当の物件だと思ったので、2300万円で買ったひとも全然お得ではありません。
築浅は建物に目がいくので要注意です。
実際本当にお得な家もあり、新築時は4000万円は間違いなくする家が築2年で3200万円だったり、新築時3500万円の家が築5年で2600万円だったりと相場より明らかに安い家は多数あります。
逆に築古中古の場合は、圧倒的に相続物件が多いです。
県外に出た子供が実家を引き継いだが、住まないし、維持費もかかるし、兄弟で現金化して分けたいから、早く手放す例が一番良くあります。
例えばそもそもの土地値が1000万円の土地に築40年の中古が建っているとします。
本来取り壊しの費用を払って、更地にして1000万円で売れるので、取り壊しを買主に
お願いするというつもりで、中古住宅として、相場より安く700万円で出したりします。
特にリフォームして住みたい人にとっては土地値より安く中古住宅が手に入るのですからすぐに飛びつきます。
築古中古は騙されることはほぼないです。しっかり土地の条件さえ理解して相場通りの土地だと分かれば、必ず相場より安く買えるからです。
中古住宅はおまけなので、万が一重大な欠点があって住めないとしても取り壊して新築を建てることができます。多くの場合、10~20年は住めるので、その中古を使い古した後で建て替えるのも良いです。
土地選びは本当に難しいです。悩みがあればコメントで教えてください。
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