最近の新築では、高気密高断熱住宅などという表記がよく記載されています。多くの方はなんとなく夏涼しくて冬暖かくて、光熱費がかからない家などと思っていると思いますが、具体的ではないですし、そもそも気密と断熱の違いが分かっていない方がほとんどです。医者が教授などの知識豊富の方でも平気で断熱の話をしているのに、気密が良くなるなどと言っておりますし、何千万円の購入に対して中途半端な知識では大きく損をする可能性が高いです。そもそも何に対して高気密高断熱なのか曖昧な場合が多いですし。たまにあるのが、築30年とかの中古住宅に比べれば、最近の新築はほぼ全て高気密高断熱になるので、現在の新築同士で比べればほぼ最低水準の気密、断熱性能の家でも高気密高断熱という表記をする例もあるということです。例えば、2つの新築で悩んでいて、片方は高気密高断熱と書いてあり200万円高いとして、その言葉を信じて購入したが、実際ほぼ性能に違いはなかったという話も良くあります。ちょっとだけ高気密高断熱になったとしても、体感ではほぼ違いはないですし、年間の光熱費も数千円の違いです。気休め程度の高気密高断熱が多いです。
では本題の気密と断熱の違いですが、本当に分かりやすい説明で良くあるのが、セーターとウインドブレーカーです。真冬の寒い時に屋外で過ごす時、どちらも寒いと思います。ウインドブレーカーなら風を全てガードして、服の中の空気が外に漏れないですし、外の空気が服の中に入って来なくなりますので、暖かさを感じます。この空気のやりとりが遮断されている状態を高気密と言います。但し、体内から出てくる熱は服を通じて出ていきますし、風は入ってこなくても、外の冷たい温度と服の中の暖かい温度の交換は行われるので寒さを感じるのです。この熱のやりとりがないことを高断熱と言います。ウインドブレーカーは高気密低断熱です。対してセーターは外気は透き通って服の中に入ってきますが、服の中の暖かい熱を外に出さないようにします。つまり空気は良く通るが、熱は服の中に保たれます。熱は逃げなくても、熱が含まれた空気が逃げていき、熱のない寒い空気が入ってくるので、結果的に寒くなるのです。ウインドブレーカーだと空気は入れ替わらないが、空気の中の熱だけ逃げていく感じですね。よってセーターは低気密高断熱になります。
この解決方法は分かりますか。冬場は皆さん両方の機能を兼ね揃えたダウンジャケットを着ています。つまり表面はウインドブレーカーのように空気を通さない素材にして、中にセーターのようなモコモコを入れて熱が逃げないようにします。結果的に、服の中の暖かい空気は空気の移動も熱の移動も無くなるのでずっと保たれて暖かい状態をキープします。ダウンジャケットは高気密高断熱のわけです。
結構な方が、この家は隙間がなく、隙間風が入らないので高断熱ですね。とか、この家は窓ガラスがトリプルガラスになっているから、高気密ですね。とか言いますが、隙間風が入らないように、家中の隙間がない家は、外の空気と中の空気の行き来がなくなるので、高気密な住宅と言えますし、窓ガラスが3枚になれば、熱が窓から逃げようとする時、3枚のガラスを通過するのに、大変時間がかかるため、熱が逃げにくい構造となり高断熱な家と言えます。
最近の家は、確かに窓も3枚ガラスになっていたり、壁や天井や床に厚みのある高性能な断熱材を使っている例があるので、高断熱だと分かります。断熱性能は、使っている部材の種類や厚みを聞けば、断熱性能を比較して高断熱かどうか分かりますので、比較をしやすいです。
しかし、気密性能は、正直1棟1棟異なるので、個別に気密測定をしなければ高気密かどうか分かりません。見た目一緒でも、建てた大工が片方が杜撰だと、隙間だらけになっている可能性もあります。どんなに良い断熱材を使っていても、隙間だらけの可能性もあります。
大抵建売で販売されている住宅は気密測定などしていないので、高気密と言っていても、本当に高気密である可能性は低いです。
要するに、ほとんどの方が高気密と高断熱の違いを良く理解できていないので、断熱材がしっかり入っており、窓の性能も高ければ、高断熱になるが、セットで高気密高断熱と言っているだけの場合が多いということです。しかも何と比べて高気密なのか高断熱なのか明確になっていないので、騙されている方も圧倒的に多いです。
もし、できるなら検討している新築で高気密高断熱と言っている住宅ともっと安く販売されているローコスト住宅を比較して、壁や天井、床にどのような断熱材を何ミリ使っているか、窓の性能を聞いてみてください。両者の比較はこちらにコメントいただければ、簡単に比較してどれくらい差があり、年間の光熱費にどれくらい影響があるのか、体感に違いがあるほど違うのかお答えします。また、どのような点で他の住宅と比べて高気密なのか聞いてみてください。本当に高気密住宅ならば、設計の段階で隙間がなくなる施工方法を厳密に計画する必要があります。例えば内壁に気密シートを隙間なく施工しているとか、窓サッシを引き違いではなく縦滑りにしていたり、サッシの素材等で隙間がないようにしていたり、換気扇などの設備も気密されているものにしていたりと、気密性能を高めている住宅ならば、しっかり説明できるように設計や設備が全て気密を高めるものになっていないとおかしいです。多分本当に気密を意識している住宅ならばかなりのアピールポイントになりますし、価格もかなり高くなりますので、売り出しの時に販売側からアピールされるはずです。
ローコスト住宅と価格に大差がないのに、高気密高断熱と謳っていれば、ほぼ間違いなくにわかの高気密住宅でしょう。そして高断熱も、気持ち高断熱なだけの例が圧倒的に多いです。
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