高気密高断熱住宅における光熱費削減は半分趣味!

住宅会社は高価な住宅を売りたいですから、高気密高断熱住宅のメリットを強調されます。つまり初期費用が500万円高くなっても、光熱費が30年で600万円安くなるから、30年でもとがとれる、さらに快適な暮らしができるというものです。当初私もこの話を真剣に信じており、高気密高断熱住宅に住めば光熱費がかからないと思っておりました。

現実は、ローコストの建売と高気密高断熱住宅で暮らしている家庭のおおよその光熱費の違いを見てみると年間5万円も違わない例が多数のようです。仮に毎年5万円の差額だとすると30年でたったの150万円の違いです。もし3万円の違いなら90万円しか差額が出ません。この差額のために高気密高断熱にしようというかたはいないでしょう。もちろん家じゅう涼しく、暖かくすることができるので快適性の差は歴然です。しかしながら、快適性のために追加で500万円近く払えるほどリッチな方はそう多くはないでしょう。

しかしながら、SNSやYoutubeでは高気密高断熱住宅に住んでいる方の光熱費が公開されていて、めちゃくちゃ安かったりします。この要因は以下の2つです。

1.太陽光や蓄電池を導入していて、自家発電で賄っている分がかなり多い

2.光熱費を公開するほど光熱費削減に力を入れている人は、かなりの知識があり省エネにも心がけているし、そもそも在宅率が低く、家にほとんどいない方も多い

この2点から、光熱費がかなり安くなっているのです。

実際はこの条件を満たせばローコストでもかなり光熱費を抑えることができます。

要は何が言いたいのかというと、

高気密高断熱住宅を建てる人は基本的に所得が高い→実際お金がかかってでも快適性を重視、また余剰金があるので、長期的にお得なら投資をしたい→家の性能を高めて快適性を高める、太陽光や蓄電池を目いっぱい導入して光熱費削減や売電収入を狙う→頭の良い人が多いので、数字の比較や実験のようなことが大好き→光熱費の削減や温度変化の観察などをゲームのように楽しんでいる→このゲームの目的を達成するため、電気代を下げるためにできること(無駄をなくす、省エネ家電に買い替える、夜間電力を有効活用する、計算して太陽光発電中の日中にエコキュートでお湯を沸かしたりする)を最大限努力する→さらに、高所得ということは、夫婦共働きで平日日中はほぼ家にいない、平日に何もできない分休日もお出かけ頻度が高い→これらの要因から電気代が異常に安くなる。

結果だけ見ると、「高気密高断熱住宅に住むと光熱費がすごく安くなる」と解釈できますが、その背景にはこれだけ多くの事情が隠れているわけです。もちろん、普通の方が高気密高断熱住宅を購入し、普通通りの暮らしをしていれば、年間で光熱費が3万円程度やすくなり、今までより快適な暮らしができるなと感じるくらいだと思います。これが結論であり、これ以上でもこれ以下でもありません。初期費用をかけた分だけ毎年の維持費が3万円程度安くなること、快適性が増すことに初期費用として500万円程度多く出せると決断できるかどうかです。

どっちを選ぶかということです。

・毎年3万円光熱費が節約でき、かつ家じゅう一定の室温で快適な暮らしを手に入れるため500万円余分に払う

・賃貸などと比べれば、圧倒的に快適

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