高断熱リフォームの代表格である内窓の省エネ効果を我が家の実例で紹介します。
内窓設置前後の各月の電気使用量を比較して、ほぼ同じ条件でエアコンを冷暖房使用しておりましたが、どれくらい電気使用量の削減があったのかお知らせします。
世間では、電気代の比較をしておりますが、電気代って地域によっても、契約しているプランによっても、燃料費調整額などによっても、かなり変動するので、電気代比較では、万人の比較ができません。内窓による具体的な電気使用量の削減量が分かれば、万人にとっての参考になると思い、基本的には使用量の推移を比較しています。
内窓設置の目的には色々とあると思いますが、一番の目的は、断熱性能を上げて光熱費を削減することだと思います。
副次効果として、防音性能の向上、結露防止、室温の安定化、気密性能の向上などの様々なものがありますが、まずは設置するかどうかの判断基準として、どれくらい年間の電気代が節約できそうかを私のシミュレーションから算出してみてください。
シミュレーションの条件
①冷暖房は、日中(午前7時~午後10時頃まで)、夜間(午前10時~7時)に人がいるところだけ運転する。
②家族は5人で夫婦と子供3人
③家の坪数は34坪程度、内窓設置前のUa値0.62,設置後Ua値0.49、C値不明
④断熱性能の目安。外気温0度程度の夜間に午後11時頃エアコンを消し、無暖房で朝6時頃の時点で室温が20度から13度程度まで低下する。
⑤ほぼ24時間誰かが在住している状態。
⑥内窓設置前は、かなりシビアにエアコンの電気代を気にしていたが、内窓設置後は、気にせず使用。
⑦夏は室温27℃以下、冬は室温20℃以上を基準にしている。
内窓設置前は、エアコンの性能不足で、夏は28℃、冬は18℃までしか室温を保てなかったが、内窓設置後は、同じエアコンで夏は27℃、冬は20℃まで室温を維持することができた。
⑧窓面積の合計は25平米くらいで、全窓アルミ樹脂の複層ガラス(LowEなし・乾燥空気)です。そこに全窓樹脂LowEの複層ガラス(乾燥空気)を設置しています。窓の性能はダブルLowEの樹脂トリプルガラスと同等になっています。
⑨エアコン性能は1階が10畳用ダイキンエアコン(APF6.4)、2階が10畳用三菱霧ヶ峰(APF5.8)の計2台。但し、中古住宅のため、ダイキンエアコンは既に10年経過しており、劣化により性能は下がっている。
※我が家のルームツアーはこちら
2020 最高気温平均(以下最高と表記)35℃、最低気温平均(以下最低と表記)25℃
2021 最高31.5℃、最低23.5℃
※生活における変更点
・2020年は日中LDK16帖のみ冷房、夜間は寝室14畳のみ冷房
・2021年は日中1階全体約30畳冷房、夜間は寝室14畳のみ冷房
・2020年は、設定温度27度で、夜間はタイマーなどを使ってケチケチ間欠運転
・2021年は、設定温度26度で、日中も夜間も連続運転
※総評
圧倒的に内窓の影響で快適性が良くなり、省エネも良くなりました。平均気温が2021のほうが低いため、昼間の使用電力は下がっています。夜間の使用電力が上がっているのは、冷房を連続運転した影響です。
注目すべきは、家族が1人増えたこと、1階の冷房範囲を約2倍にしていることから、本来ならば、大幅な電力使用量の増加が見込まれますが、内窓のおかげでほぼ2020と同様の電気使用量に抑えられているところです。
同じ条件でシミュレーションするとしたら、冷暖房をほぼ使っていない2020年10月の昼間電気使用量が184で、冷房により127キロワット増えているので、もし冷房範囲を2倍にして、さらに設定温度を1度低くしていることを考えれば、気温が下がっているという要素を含めても少なくともさらに100キロワットほどはかかっていたことが予想される。
結論冷房時期である真夏は月に100キロワットほどは内窓により削減効果がある。
2020 最高28.9℃、最低20.6℃
2021 最高28.2℃、最低20.8℃
※生活における変更点
・2020年は日中LDK16帖のみ冷房、夜間は寝室14畳のみ冷房
・2021年は日中1階全体約30畳冷房、夜間は寝室14畳のみ冷房
・2020年は、設定温度27度で、夜間はタイマーなどを使ってケチケチ間欠運転
・2021年は、設定温度26度で、日中も夜間も連続運転
※総評
気温がほぼ同じためか、8月に比べ、気温による減少効果が少なくなったため、2021年のほうが電気使用量が増えております。但し、もし2020年に1階を同じ広さで冷房していたら、確実に2020年の電気使用量は増えています。
10月のエアコン等の空調を使用していない月で比較すると分かりやすいですが、家族が1人増えた影響で、10月の電気使用量も約30キロワット増えている。つまり、9月の約30キロワットの違いも、エアコンによるものではなく、生活で使う電気の増加量と考えられる。
つまり、1階を約2倍の広さ冷房しても、電気使用量が変わらないと考えられるので8月同様に試算すると、20キロワットくらいは削減効果があると思われる。
2020 最高21.8℃、最低13.3℃
2021 最高24.1℃、最低14.5℃
総評:2021の方が最高気温の平均が高いことから、10月前半は何日か冷房が必要であったと分かる。2021は1日の使用量が約12を超えている日が前半に5日間程度はあり、冷房費が余分にかかっている。また多くの日の平均使用量を見ると、2020は大方8キロワット付近が多いのに対し、2021は9キロワット付近が多い。1日当たり、家族が増えたことで、1キロワット多く使っていると解釈できる。結果として冷房以外の通常使用の増加分である30キロワットの増加で収まっている。
内窓効果により、例え2020と比べて多く冷房を使っていても、その使用増加量を帳消しにできるくらいの効果がある。
2020 最高17.8℃、最低9.2℃
2021 最高17.7℃、最低8℃
※生活における変更点
・2020年の11月から家族が増えているので、基本的な冷暖房以外の使用量は同じになっている。
・2020年は日中LDK16帖のみ暖房、夜間は寝室14畳のみ暖房
・2021年は日中1階LDK及び和室の約21畳冷房、夜間は寝室14畳のみ冷房
総評:内窓効果は冬にあり!と言われるとおり、如実に節電効果が出ています。
使用量は30キロワット弱下がっており、暖房範囲を広げたにもかかわらず、減っていることは驚きです。ちなみに冬場の保温効果が劇的に上がっており、無暖房でもかなり快適になっており、実際11月はほぼ無暖房で過ごせるようになりました。この快適性については、数字で表せないのが残念です。
2020 最高10.4℃、最低3.3℃
2021 最高10.9℃、最低4.3℃
総評:12月は、ほぼ毎日暖房になるので、本当に目に見える効果が出てきました。注目すべきは夜間の電気使用量で203→138と約65キロワットも下がっています。これは内窓の保温効果が素晴らしく、日中で太陽光で暖まった部屋の熱が夜になっても内窓のおかげで逃げないので、ほぼ暖房なしで過ごせる時間が長くなるためです。日中も30キロワット程度は下がっており、合計で100キロワットくらい減っています。もちろん1階の暖房範囲が6畳増えていることも考慮すると、さらに減っていることは明らかです。
2021 最高11.3℃、最低4.6℃
2022 最高7.5℃、最低1.2℃
総評:1月が1年で最も電気使用量が増える月です。ここをいかに低く抑えるかが高断熱住宅の腕の見せ所です。2020に比べ2021は相当寒かったことが平均気温からも分かります。結果12月同様に100キロワット減っています。これだけ気温が低く、暖房範囲も6畳の和室分増えたのに100キロワット減っているのは快挙です。12月同様に夜間の削減が70程度、日中が30程度なので、気温が下がる夜間に保温する効果が高いことが読み取れます。
全体の結論:電力会社を変更したことから、データが残っていない部分が多く、平等な比較ができない月が多く、8月~1月の比較のみとなっておりましたが、内窓による冷暖房費の差がでる夏と冬のピークをカバーしているので、大方年間の電気使用量の削減量が分かります。
冷房ピークは凡そ7月~9月のうちの2か月間、暖房のピークは12月~2月の3か月間の計5か月間と考えます。
その5か月において毎月100キロワットの削減が見込めるので、年間500キロワットの節電効果があることが分かります。
平時だと、1キロワットが25円程度、現在のような高騰時だと、35円程度は覚悟しなければならないので、平時で25×500=12500円、高騰時だと17500円となります。
つまり、私のように全館24時間冷暖房ではなく、在室する部屋と時間のみエアコンを使用する場合は、これくらいの削減が見込めます。
今後も電気代高騰が続くことを考え、キロワット単価を35円として、毎年17500円の節約ができると考えて、今後30年は暮らすことを考えたら525000円の節約が見込めます。
業者に相見積もりを取れば、結構安く設置が可能で、内窓は国からの補助金も豊富なので、実質の金額は結構安くできます。
私の場合、総額30万円弱で全部屋の内窓を設置したので、17年程度でもとが取れる計算になります。少なくとも30年、できれば死ぬまで住みたいと思っているので、17年以降は、毎年17500円の収入となります。
さらに、防音や室温の安定化などはかなりのメリットがあります。特にお子さんがおられる家庭では、夜間に大声を出しても、内窓のおかげで外に響かなくなりました。また、子供部屋などは不在時は冷暖房していないのですが、内窓設置後は無暖房時も温度の変化がかなり少なくなり、真夏でも、ギリギリエアコンなしで扇風機で過ごせるくらいの室温になりましたし、冬も極端に外気温が下がらない限り無暖房でもいけるくらいになりました。ほぼ無暖房の2階子供部屋が、真夏、内窓設置前だと33度まで上がっていたのが、内窓設置後は、29度ほどになりました。
真冬も内窓設置前は0度下回る寒い日は、10度くらいまで下がっていたのが、13度くらいになりました。
結局、家中の断熱性能を上げることで、全館冷暖房しなくても、家じゅうの温度が快適になるのはかなりメリットが大きいですし、コスト面で考えても設置のメリットは十分にあります。
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