住宅の断熱性能を示すUa値を分かりやすく説明します!

1-6.断熱性能・気密性能関係

私は、大学と大学院で工学、経済学、経営学を勉強してきました。経済学という学問は言うならば国語の文章を数学を使って読んでいくような学問だと思いました。

つまり、数字を使わなくても、言葉でも説明できるが、数字を使った方がより深く、精緻に解釈ができるというものです。

住宅性能を示すUa値も本当は数学的な観点からの説明をすれば、明快に理解できるのでしょうが、中々数字を並べられて説明されてもいまいち理解できない方が多いのだと思います。

そもそもが断熱性能と気密性能の違いもしっかり説明できる人は、素人ではかなり少ないと思います。

※断熱性能と気密性能の違いはこちら

本当に多くの記事で「機密性能」と言っている方がいますが、しっかり理解できていないことの顕れだと思います。

どこに機密性があるのか?と聞きたくなります。仕事では機密文書の取り扱いとかありますがね。

では、多くの住宅購入者が分かっているようで分かっていない断熱性能を示すUa値を説明します。

まずU値=熱貫流率という数値があります。

これは、1平方メートルから逃げる熱の量です。1平方メートルは61インチのテレビ位の大きさのようです。

窓を例に取ると非常に分かりやすいです。

窓の熱貫流率は、外と室内の温度差が1度の時、1平方メートル当たりで1時間に移動する熱の量をワットで表したものです。

ワットは良く使う熱の量を示す単位です。

例えばこたつを1時間使えば600ワット程度使います。電気ストーブを1時間強で使用すれば1200ワットほどかかります。つまり1時間でこれだけの熱を作っているということです。

窓には様々な性能の窓があり、一番性能の低いアルミサッシの単板ガラス(3m)だと熱貫流率は6.2程度です。

つまり、この窓からは1時間に外と室内の温度差が1度の時、1平方メートル当たりから移動する熱の量は6.2ワットとなります。

少し算数の話を入れざるを得ません。簡単なのでついてきてください。

今縦横それぞれ2メートルの大きめの掃き出し窓の冬場の熱の移動を考えます。

この窓は2×2=4平方メートルの大きさがあり、今室内は暖房していて、20度、外が0度だとすると、20度の温度差が発生しています。

1時間当たりの熱の移動量は、もちろん暖かい室内から外に向かって熱が逃げていくわけですが、広さが4倍になったので、6.2×4=24.8ワット逃げることになります。

さらに温度差が20度あるので、24.8×20=496Wの熱が1時間に室内から逃げることになります。

1キロワット=1000ワットが電気料金の単価となりますが、最近電気代は高騰しているのですが、少なく見積もって30円としましょう。

つまりこの掃き出し窓からは、1時間に1000ワットの半分である500ワットの熱が逃げているわけですから、15円分常時垂れ流していることになります。24時間で360円の電気代が失われています。

この掃き出し窓が2つあれば、1時間ごとに1000ワット熱が失われるわけです。1000ワットの電気ストーブを1時間つけると、窓から出ていく熱の量と同等の量が電気ストーブから供給されるので、室内の温度は同じに保たれます。

恐ろしいことですよね。真冬に電気ストーブをつけていても掃き出し窓2つがある限り永遠に暖かくならないのですから。

実際は、アルミサッシの単板ガラスを使用しているような低断熱の家で、室温を20度に保ち続けることは、相当無駄遣いであり、電気ストーブでは太刀打ちできないので、石油ストーブで対応せざるを得ないを思います。石油ストーブは1時間に4000ワット分くらいの熱量を作り出すので、窓から熱が逃げても、関係ないくらいに暖まります。

実は、壁や床や天井からも熱は逃げます。

昔の家だと、どの箇所も熱貫流率は1ぐらいあります。窓に比べたら6分の1程度ですが、窓よりもずっと面積が大きいので、影響が計りしれないです。

私の家をモデルに考えると、床55平米、天井55平米、壁140平米ぐらいなので、全部合わせると250平米あります。

窓と同じように失われるワット数を調べると1×250=250ワットが1度差の時に失われ、もし20度あれば20倍失われ5000ワットが1時間ごとに失われます。

窓も掃き出し窓などを含め、我が家の場合、合計25平米あるので、すべてアルミサッシの単板ガラスならば、6.2×25=155となり、さらに20度の差であれば20倍失われるので、3100ワット失われます。

すべて併せて8100ワット分の熱が毎時間失われるので、もし全館を20度保とうと考えるのでしたら、石油ストーブを2台24時間フル稼働させる必要があります。

って書いてますけど無理ですね。燃料代だけで家計が破綻します。

なので、古い家では、リビングなどの狭い範囲のみ石油ストーブで局所暖房しているわけです。

壁や窓などの各箇所の熱貫流率(U値)が出てくれば、その平均がUa値です。aはアベレージ(平均)のことです。

各箇所の熱貫流率にその箇所の平米数を掛け算したものを全体の平米数で割ってください。それで平均が出ます。

壁・床・天井:1×250=250

窓     :6.2×25=155

Ua値=(250+155)÷275=1.47

つまりこの昔ながらの家のUa値は1.47となります。

世間ではこのUa値だと低断熱と言われます。

皆さんも聞いたことがあるかもしれないですが、今現在の新築はほぼすべてが次世代省エネ基準という基準を満たしております。

数値を公表していない住宅会社がほとんどですが、次世代省エネ基準達成と書いてあれば、ほとんどの場合、Ua値=0.87を下回る程度と考えてください。

0.87以下が基準です。

高断熱を謳う〇条工務店だと0.23ぐらいです。

では、これらの住宅の実際の熱の流出量をワットで計算してみましょう。

まずUa値=0.87レベルだと

窓のU値=3.3

壁のU値=0.5

天井のU値=0.5

床のU値=0.8

程度なはずです。

そして、窓の面積合計=30

    壁・天井合計=200

    床合計=50

となり、U値の合計が3.3×30+0.5×200+0.8×50=239

    Ua値は239÷280=0.86

なのでこのぐらいのグレードになります。

真冬に室温20℃で、外気温0度ならば、1時間当たり

窓から2000ワット

壁と天井から2000ワット

床から800ワット

で合計4800ワットの熱が外に流出します。

低断熱の家は8100ワット逃げるので、だいぶ抑えられます。

体感としては全く違いますし、4800ワットならば、大きめのエアコンを24時間運転すれば、同等の熱量をエアコンから得られるので全館暖房が可能になります。

詳細は以下のエアコンの電気使用量の考え方についての記事を見てもらえればと思いますが、エアコンはヒートポンプの力で、1Wの電気を使って、高性能だと平均6ぐらいは熱を作ることができるので、毎時間800Wの電力で家じゅう20度を保つことができます。

ただし24時間運転すると、20キロワットぐらい電気を使うので、毎日600円ぐらいは電気代がかかり、月に18000円はエアコン代だけでかかります。

低断熱な家ならば、33キロワットぐらい必要になるので、毎日1000円ぐらいかかり、月に30000円の電気代がエアコンだけでかかります。

最後に〇条工務店のU値とUa値を見てましょう。

Ua値=0.23レベルだと

窓のU値=0.8

壁のU値=0.15

天井のU値=0.15

床のU値=0.2

程度なはずです。

そして、窓の面積合計=30

    壁・天井合計=200

    床合計=50

となり、U値の合計が0.8×30+0.15×200+0.2×50=64

    Ua値は64÷280=0.23

なのでこのぐらいのグレードになります。

真冬に室温20℃で、外気温0度ならば、1時間当たり

窓から480ワット

壁と天井から600ワット

床から200ワット

で合計1280ワットの熱が外に流出します。

エアコンなら1280ワット相当の熱を220ワット程度で作れるので、24時間暖房しても

一日5キロワット程度の使用になり、電気代は1日150円となり、月に4500円となります。

めちゃくちゃ安いですよね。家じゅうを常に冬場毎日20度に保って月4500円ですよ。

今時のローコストにするとUa値=0.87なので、月に18000円で差額は13500円になります。

実際、ずっと0度のエリアなんて中々ないでしょうし、24時間ずっと20度に保たずに、不在時はエアコンOFFの方が多いでしょうから、あくまでも極端な場合の比較ですが、

Ua値の違いにより真冬の電気代にここまで差が出ることが具体的に理解できる良い方法だと思います。

まとめると、

築古の低断熱住宅だと、Ua値が1.47程度で、外気温0度の時に常に室温20℃キープを実現しようとすると、月に30000円のエアコン代がかかる。

これが今のローコストの新築だと18000円まで下がり、〇条工務店のような高気密高断熱住宅だと4500円まで下げることができます。

最後に感覚で話しますが、ほとんどの人のエアコンの使い方である、家にいる時、いる部屋だけ暖房するやり方だと、月の電気代は、大きく差がつきません。

ローコストと〇条工務店だとピークの月で5000円程度の差になるはずです。

年間で見ても私の経験則だと2万円程度の差額です。

よく電気代抑えるために高気密高断熱住宅を500万円くらい上乗せして建築する方がいますが、24時間全館冷暖房しても年間の差額は10万円いかないくらいなので、少なくとも回収に50年かかります。

使うときだけ最小限に使うやり方だと250年回収にかかります。

光熱費と建築コストの兼ね合いで考えたら、ローコストの方が確実に安く済むというのが

残念ながらの結論になります。

今後の電気代の上昇により答えが変わってくる可能性も0ではないですが、太陽光も加味すると増々ローコストに軍配が上がります。

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