寒い風呂よさらば!浴室天井断熱強化で冬でもポカポカお風呂を実現!

1-5-4. 光熱費関係

家の中で最も寒さ対策したい箇所はと聞かれれば、ほとんどの方がお風呂と答えると思います。

それもそのはず!だって他の場所は服着れるけど、お風呂は服着れないですからね。ヒートショックなどの命に関わるリスクもありますし、お風呂が暖かいって、実は家の断熱の中で最も重要なんですよ。もちろんリビングや寝室の断熱も重要なんですが、なぜか新築においてもお風呂の断熱って軽視されているんです。

今の新築のほぼすべてがユニットバスというものを使用しておりますが、これは、家の一区画のスペースに箱を入れているようなものなんです。そしてその箱の上や下は無断熱なものが多いんです。我が家もユニットバスの天井を確認してみたのですが、なんとスタイロフォームという断熱材が20ミリしか施工されておりませんでした。しかもところどころ、施工されていない箇所も多くあり、無断熱箇所多数なので、ほとんど意味をなしていなかったわけです。

天井はこんな感じで気持ち程度の薄い断熱材が敷き詰められており、ところどころ無断熱という状況でした。

お風呂に入っていると気づくと思いますが、浴槽から出る暖かい空気は湯気と一緒に天井に上がっていきます。もし、天井の断熱がしっかりしていれば、上昇する暖気が逃げることなく浴室内にとどまるわけですが、断熱が弱いと、天井を突き抜けて天井裏に暖気が流れて、浴室が寒くなってしまいます。

今回、対策として、天井にロックウールという断熱材を敷き詰めました。素人でもできる方法で施工しましたので、参考にお読みいただけますと幸いです。

まず、施工前の状況を知るために、施工前日のお風呂ためる前、ためた後、家族全員が入り終わった後の浴室内、浴室天井の温度を計測しました。

【断熱材施工前日】

・入浴前

                    リビング内室温

                       ↓

         ↑             ↑             ↑

        浴室天井室温        外気温           浴室内室温

リビング室温:20.2度

外気温:   11.9度

浴室内室温: 19.3度

浴室天井室温:17.8度

・お風呂ためた後

                    リビング内室温

                       ↓

          ↑             ↑             ↑

        浴室天井室温        外気温           浴室内室温

リビング室温:20.3度

外気温:   11.6度

浴室内室温: 21.2度

浴室天井室温:18.3度

お風呂ためる前と比較して、浴室内が1.9度上昇し、天井は0.5度上昇しております。

さすが、断熱材が20ミリ入っているので、多少なりとも熱を伝えることを抑制できているようです。

・家族全員お風呂入った後

                    リビング内室温

                       ↓

         ↑             ↑             ↑

        浴室天井室温        外気温           浴室内室温

リビング室温:20.5度

外気温:   12.7度

浴室内室温: 31.0度

浴室天井室温:22.2度 

お風呂がたまった後と比較して、入浴後は、浴室内室温が一気に31度まで上昇しております。入浴前19.3度と比較して11.3度も上昇しております。それに比較して浴室天井は22.2度まで上昇しており、入浴前17.8度から4.4度も上昇しております。

浴室の室温上昇に伴い、徐々にですが、天井の室温も上昇していることが分かります。これは、浴室内の暖気が天井に伝わっていることを示し、この上昇分だけ、浴室内の熱が逃げていることになるので、浴室は寒くなるわけです。もし、この天井に逃げる暖気をすべて抑えることができれば、浴室内は今より暖かくなり、特に冬場などは、浴室暖房の使用頻度を減らしたり、浴槽の温度を多少下げることができ、省エネにつながります。

さて、いよいよ天井に断熱材を施工することとなります。以下のとおり施工しました。

1.断熱材入荷

ホームセンターでロックウール3坪用を4500円で購入しました。

軽自動車で運べる量でした。熱貫流率は0.038で高性能グラスウール16Kと同程度の性能です。つまり現在の新築建売で使用されている程度の性能の断熱材となります。

ちなみに天井に100ミリ施工すれば浴室天井のUa値は0.38となり、200ミリ施工すればUa値0.19となります。200ミリ施工で浴室天井に関しては、一条工務店以上の高断熱性能になるわけですね。

2.断熱材開封

55ミリの断熱材が20枚程度入っていました。

これで風呂の天井内を100ミリ~240ミリ程度まで厚みともたせて施工してやろうと思います。

ちなみにロックウール240ミリ施工したらUa値は0.15程度までなり、超々高断熱仕様になります。

3.天井に施工

【施工前】

見ての通りスタイロフォームという断熱材が20ミリ施工されているだけでした。大部分の新築もこのような施工になっていると思います。これでは、Ua値が1以上となり、平成初期の住宅なみの断熱性能になってしまいます。

冬凍えるほど風呂が寒くなる理由が分かります。これでは暖気を防ぐことはできません。

【施工中】

カットしてピッタリくっつければいいのですが、狭い天井でかなりの手間になります。ロックウールは用意に折り曲げることができるので端はこのように壁に沿って設置します。

奥のほうから詰めて設置しています。浴室乾燥機などの熱を持つ機械に断熱材が接触すると危ないので、木の板を間に置いて、断熱材と機器との間に距離を置いています。

また、換気ダクトの下に断熱材を敷き詰め、ダクトの上からも被せて、隙間をなくしたうえで断熱材の厚みを確保します。

高さもスペースも確保できるところは4枚重ねました。これでもとのスタイロフォーム20ミリと220ミリのロックウールになるので、併せて240ミリの厚みとなり、超高気密住宅なみの断熱性能となります。

照明機器の周りに断熱材が被ると火災の危険があるので細心の注意を払い、木の板を置いて距離を保ったり、端の部分はロックウールが敷けないのでサンプルでもらった四角の断熱材をテトリスのように埋めました。このようなサンプル材は無料でもらえるので集めておくと、このような時に使えます。

こんな感じで隙間なく断熱材を敷き詰めて、熱の逃げ場をなくします。

ダクト下の狭いスペースにはロックウールが入らないので、サンプルの四角の断熱材をつめて隙間をなくしています。ダクトの上からも被せてダクトをサンドイッチすることでダクトごと断熱を強化しています。

全体を断熱材で埋もれさせて、断熱を強化しています。

照明機器と比較してもらったら分かると思いますが、かなりの高さまで断熱材を敷き詰めています。

最後は蓋の上にもたっぷりと断熱材を乗せた状態でふたを閉めて断熱施工完了です。

【断熱材設置後の温度変化】

・お風呂ためる前

                   リビング内室温

                       ↓

         ↑             ↑             ↑

        浴室天井室温        外気温           浴室内室温

リビング室温:23.8度

外気温:   15.6度

浴室内室温: 22.6度

浴室天井室温:20.5度

前日と比べると天気が良く、外気温も少し高めで、日射熱で室温も上がりました。

・お風呂ためた後

                    リビング内室温

                       ↓

          ↑             ↑             ↑

        浴室天井室温        外気温           浴室内室温

リビング室温:23.9度

外気温:   14.4度

浴室内室温: 29.5度

浴室天井室温:20.3度

この結果には驚きました。まず、浴室の温度上昇が断熱材施工前より早かったです。浴室内室温が22.6度から29.5度と6.9度も上昇しておりますが、浴室天井室温はなんと0.2度下がっています。ありえなくないですか。多分下がった原因は外気温の低下です。つまり、真下の浴室の6.9度の温度上昇の影響は一切受けず、むしろ断熱材75ミリを介した屋外の外気温の影響を受けて浴室天井は室温が下がっているというわけです。

・お風呂入った後

その後家族全員がお風呂に入り終わって、30分程度経過した後の温度はどうなっているのでしょうか。

                    リビング内室温

                       ↓

          ↑             ↑             ↑

        浴室天井室温        外気温           浴室内室温

リビング室温:23.9度

外気温:   14.2度

浴室内室温: 31.6度

浴室天井室温:20.3度

さて長時間浴室内の室温は上昇を続け、お風呂をためる前の22.6度から31.6度まで実に9度も室温は上昇しましたが、天井は一切上がらずむしろ、結果的にお風呂ためる前より0.2度下がった結果となりました。この結果には驚きました。実際お風呂ためる前から1時間程度かけて、浴室内は9度も上昇したのに、その暖気は一切天井には伝わらなかったことになります。普通に考えたらあり得ないですが、断熱材を厚みをつけて施工するとこのようなことが起こるのかと肌で実感できました。

実際お風呂に入った感想ですが、全然違いました。表現が難しいですが、暖気に包まれているような感覚で、とても暖かかったです。これは、浴槽の温度を上げても浴室暖房つけても実現できない、天井の暖かさからくるものだと分かりました。本当は壁も床も強化できればいいのですが、壁は壊さないと不可能なので、残念ながら断念です。

ちなみにこの後浴室暖房をつけてもっと浴室内室温を上げてみました。

                    リビング内室温

                       ↓

          ↑             ↑             ↑

        浴室天井室温        外気温           浴室内室温

さらに浴室内の室温を上げて32.2度にしても天井は20.4度とお風呂をためる前より0.1度下がった状態のままでした。よく考えたら浴室暖房は天井に設置しており、天井の温度をより強く暖めるのですが、その熱でさえほぼ伝わっていなかったということになります。本当に驚きです。

・結論

今回お風呂の天井にロックウールという断熱材を200ミリ程度施工し、既存のスタイロフォームという断熱材20ミリと併せて、220ミリ程度の断熱材を天井に施工しました。

【施工前】

浴室内室温:19.3度→31.0度 11.7度上昇

浴室天井室温:17.8度→22.2度 4.4度上昇

【施工後】

浴室内室温:22.6度→32.2度 9.6度上昇

浴室天井室温:20.5度→20.4度 0.1度低下

つまり、断熱材の施工により、お風呂の暖気は天井へは一切もれなくなったことがこの実験から証明されたことになります。暖気は上に上がる性質があることから、天井への漏れを防ぐことで、お風呂の暖かさが確実に上がることが明らかとなりました。これは体感でも実証済みです。

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