家の快適性は断熱性能・気密性能の数値だけでは測れない!過信禁物!

日本人は数字が大好き!私も大好きです!

家を買うにしても、購入費の見積もり、ローン金利比較、光熱費比較、太陽光の売電収入比較、メンテなどの維持費比較、住宅性能を数値したうえでの各会社の性能比較などと枚挙に暇がありません。

もちろん金銭面、性能面の比較をするうえで、数字化することが一番わかりやすいので、この方法に間違いはないです。

しかしながら、特に断熱性能に関しては、疑問に思うことがあります。

断熱性能はUa値という数字であらわしますが、この数字は住宅に使う断熱材、窓・玄関の素材、換気の仕組みなどで決まります。

誰がどのように建てようと、同じものを使っていれば、同じUa値になります。

そして世間では、Ua値が低ければ低いほど、夏涼しく、冬暖かい家という法則がありますので、みなさんが快適な家を求めるがためにUa値が低い家を求めるようになります。

住宅会社もUa値を低くすることに注力することになります。

ここでの落とし穴は以下の2点です。

1.同じ断熱性能の素材を使っていたとしても施工方法で実際の快適性は全く異なる。

2.Ua値の計算に含まれない日当たりや床材などの影響により家の快適性は全く異なる。

壁の断熱材など顕著ですが、下手な大工が施工すれば、新築時ですでにずれ落ちていたりする例があります。どんなに良い断熱材でもずれていれば、壁に隙間ができていて、全く性能を発揮しません。

特に壁の断熱材は隠れているので、住んでいる人も気づきません。例え新築時に綺麗に施工されていたとしても、ビスの打ち方が雑だったりで、ずれたり、吹付断熱の場合、場所によって厚みが違ったりすることもあり、実際思っていたUa値より断熱性能が悪い家も山ほどあります。

吹付断熱材の場合、場所によっては膨らみすぎて、おさまりきらなくなり、でっぱり部分を切り落としたりすることがありますが、防湿機能が損なわれ、年数が経つにつれて、壁内結露で断熱材がかびたり、腐ったりして、断熱性能が著しく下がることがあります。

厄介なのは、壁内の結露によるかびは目に見えないことです。まだまだ新しい家でも、入った瞬間にかびくさい家って結構あります。ほぼ間違いなく壁内結露が原因です。

このようなことから、Ua値というのは家に使われている断熱材の種類や厚み、窓の種類などから、機械的に算出されるものですが、施工方法の違いや劣化などによって、実際のUa値と大きく乖離することはままあります。

Ua値って目に見えないので、自分の家の断熱性能を測る方法がないのが厄介です。

外気温や室温などから推測するしかないですが、Ua値以外にも影響を与える要素が多すぎて調べようがないです。

実際、冬に日当たりの悪いUa値が抜群に高い高断熱の家よりも、日当たりの良い断熱性能が低い家のほうが快適で光熱費も安いこともあります。

また床の断熱性能が高いシートフローリングの家より、床の断熱性能が低くてもひのきなどの無垢床の家のほうが床が暖かいこともよくあります。

いくらでもシミュレーションが出てきますが、真冬の日射は最強の暖房で、日当たりの悪い高断熱の家より日当たりの良い無断熱の家のほうが、冬場の昼間は暖かくなることもあります。

よくある相談で、高断熱住宅を購入したのに冬寒いというものです。

皆さん本当に良く誤解をされますが、高断熱住宅は自ら勝手に暖まることは絶対にないです。

一度暖めた熱をできるだけ長く保持できる家だと思ってください。

つまり、何らかの方法で家を暖める必要があるのですね。もちろん第一はエアコンなどの暖房器具です。断熱性能の低い家に比べれば、熱を逃がさないので、すぐに暖まり、電気代もかからないです。

これがもし、日当たりの良い家であれば、太陽熱により無償で家を暖めることができます。

一番の理想は、高断熱かつ日当たりの良い家なのですが、世の中中々うまくはいかず、日当たりの良い土地って、流通量が少ないですし取引価格が高いのです。しかも、冬に日当たりを良くしようと思うと、南面の窓前に何もないことが条件になります。

真夏と違って真冬の日差しで、かなり低い位置からほぼ真っすぐに部屋の奥に向かって入ってきます。つまり南面の目の前に家が建っていれば、ほぼ日差しは入ってこないのです。逆に真夏はほぼ真上から降り注ぐので、目の前に家があっても入ってきます。

ちなみに冬の日差しが、標準的に1つの窓に当たると、1時間で600W程度の熱が入ってくるという試算があります。

つまり、全部で4か所南面に窓があると1時間で2400Wの熱が得られ、午前10~午後4時頃の6時間ずっと、この熱を享受できれば、14400W,つまり14KWほどの熱を得ることができるのです。エアコンで同じ熱を得るためには、高性能エアコンでも3KWほどの電力はかかるでしょう。今どき1KWは40円程度するので、日当たりが悪いと120円程度余分な光熱費がかかることになります。

ここまでの違いがあるので、Ua値が高くても、日当たりが悪いと、Ua値が低い、日当たりが良い家よりも寒くなることは容易に想像できます。

またシートフローリングも表面は冷たいシートなので、触れた瞬間にひやっと感じます。こればっかりはどんなに断熱性能高めても解消しないです。床暖房などで床を暖めるか、暖房で相当部屋を暖める必要があります。

これがもし無垢床なら、表面が暖かく感じるので、床の断熱性能が低くても冬暖かいです。

このような例からも、住宅購入する際は、Ua値という機械的な数字を鵜吞みにしてはいけません。私も含め日本人は基本的にランキングなどの数字が大好きです。Ua値だけが一人歩きして、Ua値が低ければ、断熱性能が高い=夏涼しく、冬暖かい=光熱費が安いという構図が出来上がっていますが、いくらUa値が低くて高断熱と言われていても、日当たりが悪ければ冬の暖房費は高くなりますし、単に断熱性能が高いだけで、床が安物だと足元はひんやりします。

確かに断熱性能が高ければ、冬暖かいのですが、断熱性能が低い家でも高出力のエアコンや石油ストーブなどを使えば暖かくなります。

高断熱=暖かいではなく、高断熱=低コストで暖かくできるが正解です。

逆に低断熱=寒いではなく、低断熱=低コストでは寒いということです。

低断熱でもコストをかければ暖かい家にできます。

つまり、高断熱の家を3000万円で買って、30年間で100万円の光熱費で快適性を手に入れるか、低断熱の家を2500万円で買って、30年間で500万円の光熱費をかけて快適性を手に入れるかの違いになります。

一般的には、同じ快適性を手に入れるなら30年程度のスパンで見れば、低断熱の家の方が総額は安く済む傾向にあります。

しかしながら高断熱の家の方が、売却時に高く売れるとか、長く住めば住むほど光熱費でお得になるなどの条件で高断熱の方がお得になることもあります。

しかしながら低断熱の家でも日当たりが抜群に良いと冬の光熱費を大幅に削減でき、30年で300万円程度に抑えられるかもしれません。そうなれば、長く住んでも低断熱の家で暖房しっかり使ったほうが総額は安く済むこともあります。

断熱性能もある一定の性能までは断熱材の種類をよくすることや厚みを増やすことで上げられますが、いる一定以上になると、付加断熱といって、外側の外壁の内側に断熱材を設置する必要が出てくるので大がかりな工事が必要となります。内側の断熱材は壁の中に充填するだけで良いので比較的簡単なのですが、外側は、すべて貼り付けないといけないので、手間と技術が必要となります。窓枠の部分などもうまく設置する必要があるので、追加で300万円程度はかかるけど、その分年間の光熱費がどれだけ削減できるかは疑問です。

結局Ua値や断熱材などにすべて頼るよりも日射などの無料でずっと得られる恩恵を重視するほうが優先順位は高そうです。

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