【本当に省エネになるか!?】内窓設置で断熱性能は上がるが日射取得率は下がる

非常にマニアックな話をします。しかしながら、このことは内窓設置を検討している方すべてが必ず理解すべき内容となります。内窓設置の主な目的は冬の寒さ対策です。基本の考え方は、真冬に最も冷える窓部分に断熱性能の高い内窓を設置することで、外気の寒さを室内に伝えない、また室内の暖かい熱を外に逃がさない働きをしてくれます。これが内窓の最大のメリットです。部屋が冷えにくくなるため、エアコンの使用量を減らしてくれ、電気代削減に寄与します。しかしながら同時にデメリットもかかえることとなることに皆様はお気づきでしょうか。

特に南面の窓に言えることなのですが、基本どの家も南面は冬場の日射取得を期待して大きな窓を設置しています。冬場はこの窓にたくさんの日差しが降り注ぐことで、部屋の中が暖かくなります。私の家は非常に日当たりが良く、冬場なら、朝9時の室温が例え15度でも昼の3時頃には22度程度まで上昇することも普通です。もちろんエアコンなしです。ただ残念なことに内窓設置後は、日差しを内窓が防ぐことで、明らかに日射取得量が減り、同じ条件でも15度が18度くらいまでしか上昇しなくなりました。結局内窓設置前なら、昼の3時時点で22度あり、その後も日没までは日射が弱いながらも入ってくるので、夕方5時頃までは21度くらいをキープして夜7時頃までエアコンなしでなんとか20度付近をキープできます。その後、エアコンをつけても1日のエアコン使用量は劇的に減るので、晴れた日は明らかに内窓がない方が光熱費を削減できます。但し、曇りや雨の日、雪の日、また夜間は内窓をつけたほうが断熱性能が向上するので、光熱費は絶対に削減できます。

結局内窓付けた方が光熱費削減できるのか否かは、つけてみないと分からないが結論ですが、ほとんどの家ではつけた方が光熱費は削減できます。少なくとも北面の窓は冬の日射はほぼ皆無なので、絶対につけた方がいいです。東面と西面もほぼ間違いなくつけた方がいいです。東と西は冬至の頃は、ほぼ日差しが入ってこないですが、2月中旬頃から3月中旬頃はまだまだ気温は低くても、太陽高度は上がってきて、朝日が東窓から、西日が西窓からかなり入ってくるようになるので、日射取得が期待できます。ただしそれ以外の時間帯の断熱効果の方が明らかに省エネに寄与するので、結果的に東西北面の窓は内窓をつけた方が良いです。

残る南面の窓につけるべきかどうかが悩みどころです。多くの家では、南面に大きな窓が複数ついていることがほとんどなので、南に内窓を設置しないとなると内窓の断熱効果は大幅に軽減されてしまいます。逆につけると、冬場の日射取得の効果が軽減してしまうのです。

目安としては、南面の冬場の日当たりがそこまで期待できない、雪国等で冬場の晴れ間が少ないなどの理由があれば間違いなく内窓を南面にも設置した方が良いです。

逆に太平洋側で冬場は晴れ間が多く、日当たりも良いとなると、正直つけない方が冬場の光熱費削減に寄与する可能性は高いです。

難しいのは、日当たりもそこそこよく、晴れ間もそこそこある地域です。つけるかどうかの判断が難しいですが、もしすでについている窓が樹脂トリプルなどの高性能窓なら、断熱性能の向上があまり見込めないためつけないほうがいいです。逆にアルミサッシなら絶対つけたほうがいいです。

さらにどの場合でも言えることですが、内窓をつけておいて、晴れた時は内窓を開けるようにすれば、晴れた時は日射が取得できるし、夜や雨の日は閉めておいて断熱性能向上を享受できるのでどちらの良いとこを取るやり方です。

この動画では、内窓を閉めることでいかに日射取得が減るかが分かるようになっております。

また、以下の動画では、内窓を閉めることで室温上昇がどれくらい遮られるか分かります。

正直真冬の日射は本当にありがたい!我が家では、例え外気温が5度程度でも日射があれば、エアコン不要になるくらい室内は暖かくなります。

現在世間では、多額の補助金効果もあり、本来ならば内窓が不要な高性能な家も内窓を設置している傾向にあります。

むしろ逆説的ですが、トリプル樹脂サッシの窓をつけるくらい高性能な家に住むような人ほど、断熱性能に強いこだわりをお持ちで、少しでも断熱性能を上げようと、トリプル樹脂サッシに高性能な内窓を設置することがよくあります。

もちろん内窓を設置することでさらなる断熱性能の向上に貢献しますが、効果は微々たるものです。断熱にこだわる方は家の断熱性能を示すUa値という数字の向上にもこだわりがあり、快適性云々ももちろんありますが、それ以上に持ち家の性能向上に重きを置く節があります。実際、高性能窓に内窓を設置しても断熱性能に大きな改善は見られません。

むしろ日射取得率低下によるエアコン稼働率増加の方が影響が大きく、逆に冬場の電気代が上がる可能性もあります。

窓は一見、断熱から見れば弱点となりますが、一方日射取得による省エネ性から見れば大きなプラスとなります。

窓が多すぎる家は熱損失が大きくなり寒くなりますし、窓が少ない家は日射取得率が下がり寒くなります。

つまり、適切な量の窓で適切な日射取得率を確保することが省エネにとっては最も重要ということになります。

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