要注意な土地の見抜き方

実は住宅購入で最も失敗の多い項目の1つが土地購入です。

中古住宅や建売住宅では見落としがちになり、建物にばかり目が行きますが、重要なのは建物よりも土地になります。建物の欠点ってほとんどの場合、購入後でも対策ができますが、土地の問題はその土地を手放さない限り一生つきまといます。

不動産は1に立地、2に立地、3、4がなくて5に立地です。

立地がほぼすべてが決まると言っても過言ではありません。

たまに格安の中古や建売が売り出されていて思わず食いついてしまいます。

不動産って価格設定が本当に良くできていて、理由もなく安いものは存在しません。相場より安いことには訳があります。売主もボランティアではないので、取れる利益は最大限に取るようにします。もちろん買う側も最大限の安さを求めます。そのせめぎあいの中で価格が決まり、相場ができていくのです。相場とはだれかが決めるものではなく、不特定多数の売る側、買う側の意思によって決まるので、例外はほぼないです。つまり、相場より安い分だけ何か悪い理由があります。売る側も価格をつけるときに、相場では売れないから下げているわけで、逆に価格を見るだけで訳アリか見抜くことができるわけです。

反対に相場より高い物件は山ほどあります。というより、ほぼすべての物件が相場より高いです。売る側は業者が多く、不動産業者も売る側の味方をする例が多いので、中古住宅の取引などは売主有利で進むことが多いです。素人の購入者はほぼすべてが割高な物件を買わされるわけです。ただ購入者も無知ではないため、露骨に高いだけの物件は敬遠されます。つまり、一見欠陥が分からない物件を他の物件に近い価格で売り付ける例が最も厄介なわけです。そして、素人が最も知識のない土地で、その手法を使ってきます。ここでは、代表的な要注意の土地の見抜き方をお伝えすることで、土地購入で致命的な過ちを防ぐことができ、なおかつ知識をフルに活用することで、むしろお得に購入できるようになるわけです。

では、要注意な土地の見分け方を紹介します。

1.市街化調整区域の土地

圧倒的によく遭遇するパターンです。不動産情報を見ているとたまに築年数のわりに安い物件が出てきます。建売は特に分かりやすく、場合によっては500万円程度安かったりします。購入時に特段大きな損失が出る話ではないですが、将来売却する時に泣きを見るかもしれません。まず、市街化調整区域は都市開発を今後行わないエリアなので、近隣環境がどんどん廃れていきますし、商業施設や病院、学校なども近くにないため、日々の生活も不便であり、今後増々不便になることがほぼ確実なエリアとなります。相場より安いとかではなく、もともと土地の価値がほぼないので、購入時も安く買えるわけです。一番のデメリットは建て替えが将来できない可能性が高いということです。

現時点でも市街化調整区域に家を建てる場合は、自治体に許可申請を出し、許可をもらう必要があります。今は、まだ許可が出やすいようですが、今後人口も減っていき、市街地のエリアを縮小していく動きが強まれば、許可が出にくくなります。

コンパクトシティ構想といいますが、例えば救急車などは、どんな場所にも出動しなければなりません。ほぼ全員が市街地に住んでいる中で、1人だけ市街化調整区域に住んでいたら、その人のためだけに救急車を遠方まで出動させなければならないし、水道や電線などもすべてその人のためだけに遠方まで伸ばす必要があります。つまり少数の世帯のためだけに市区町村は多大な設備投資と維持管理費がかかるわけです。このような市街化調整区域に住む人たちを将来的には減らして、なくして、できるだけ狭いエリアに密集して暮らしてもらえれば、すべての設備や維持費も最小限にできるわけです。そのために発展していないエリアは現在も市街化調整区域とされており、現在は多数人が住んでいるため、比較的建築許可も出やすいですが、将来的にこれらのエリアが衰退していけば、建築許可も出なくなるかもしれません。つまり、このようなリスクのある土地を敢えて買う人は少なく、将来売り出す時も二束三文にしかならない可能性があります。

購入時にお金が出せるなら安さだけにとらわれずに、市街化区域の土地を買うべきです。

2.旗竿地の土地

このように旗のような形の土地を旗竿地といいます。奥に細長い土地がある場合、手前の土地と奥の土地に分けて売り出すのですが、奥の土地は道路から出入りするための細い道をつけて売り出されます。

旗竿地は、坪単価が安くなる傾向があります。細い道路分土地が広くなるのに、坪単価が安いため手前の土地より安く買える例も多いです。一見お得そうですが、デメリットも多いです。まず建築コストが高くつきます。重機などの出入りがしずらいためです。また道路などの広い空間に面していなく、周りが家に囲まれている例が多いため日当たりは悪いです。道路から見て奥まったところにあるので、周りをすべて住宅で囲まれる可能性があります。圧迫感が半端ないです。道路から伸びている細長い部分は基本車の通行用ですが、雪が降るエリアだと大変です。自分の土地なので、すべて雪かきも自分でしなければなりません。また毎日狭い道路を駐車のたびに出入りするのは時間もかかるしストレスです。

3.目の前の道路が私道

一番厄介なのが、その道路に接している土地の所有者で共有している場合です。さらに大きい道路から枝別れしており、その私道の末端に土地があり、その土地を購入する場合です。よく不動産会社が、大きな土地を手に入れた場合、その土地を6つくらいの土地に分けて、その6つの土地の真ん中に道路を作って、売り出すことがあります。その真ん中の道路は誰かが管理すべきで、不動産会社が所有することもありますが、大抵の場合、この6つの土地の所有者が共同で所有します。初めの時は、不動産会社が仲介するのでトラブルはないですが、将来的にこれらの土地が売買される時が厄介です。例えば、私道のことを気にせず、土地を購入すると、土地の購入時に別途、この私道の所有権移転の手続きが出てきますが、全員の同意がいるため、司法書士に依頼する手数料も高くなりますし、トラブルが出てくる可能性もあります。最もトラブルになる可能性があるのが、ガス管や水道管を引く場合などに道路を掘削する時です。奥にある家の場合、新築や改築時に目の前の道路からガス管や水道管を引いたり、そもそも修繕する場合などもよくあります。この場合、勝手に他人の道路を掘削するわけにはいかないので、所有者皆さんの同意が必要になるのですが、嫌がらせをして同意をしない人がいる可能性があります。特にその中に不動産会社が混じっているとさらに厄介で、悪徳なところだとゴネればお金が入ることを知っていて敢えて同意しないこともあります。結局掘削の同意のために数十万円余分にかかったり、時間がかかり工期が遅れ余分な費用がかかる可能性もあるため、購入時に共同所有の私道に面した土地だと分かれば避けたほうが良いかもしれません。もちろん面していても、角地で別の道路にも面していれば、トラブルは少ない可能性があります。

もちろん除雪車も入りませんので私道は共有者で雪かきなどの管理が必要となります。

4.ハザードリスクがある土地

注意すべきなのは、土砂災害、浸水、津波です。すべて命に関わる問題ですし、何か起こった場合、家がだめになるだけでなく、命を奪われるので、本当に慎重に確認してください。市区町村のHPなどでハザードマップが確認できますので、気になる土地が見つかった場合は、急いでハザードマップを確認してみてください。すべて程度によりますが、少しでもリスクを避けたいなら一切ハザードがないエリアの土地を選ぶべきです。但し、浸水などは、広い範囲で該当する場合があり、浸水のリスクの程度も違うので、多少の場合は、妥協も必要です。但し土砂と津波は一発アウトのリスクがあるので、必ず避けましょう。特に中古住宅で土砂災害特別警戒エリアに建っている場合は要注意です。将来建て替えをするときにこのエリアの場合原則建築許可が出ないので、二束三文の土地になってしまいます。

5.嫌悪施設の近くの土地

ゴミ焼却場やガス会社のガスタンク、高圧線鉄塔、ガソリンスタンド、下水処理場、火薬類貯蔵所、悪臭・騒音・振動などを発生させる工場、危険物を取扱う工場、火葬場、墓地など枚挙にいとまがありませんが、毎日のことなので地味にきついです。特に製紙工場などの煙は健康被害の原因にもなりますし、匂いがきついので、窓が開けられなくなります。高圧線鉄塔は常時電磁波にさらされることになり、それを起因とした病気に罹る確率が上がります。精神的にも健康的にも長期間に渡って影響を及ぼすので例え地価が数百万円安かったとしても絶対避けるべきです。

6.お隣との距離が異様に近い土地

特に中古住宅や建売などでよくありますが、建物同士がすれすれで立地しているケースです。まるでアパートの隣の部屋のように互いの声がよく聞こえますし、窓を開けることができないです。日当たりも最悪で、互いに狭い部分に湿気がたまりやすく家が早く傷みます。将来外壁塗装などのリフォームをする際にスペースが狭いのでかなり苦労しますし、取り壊すことになったときは、隣を気にしながら工事することになるので、解体費用が相当高くなります。

他にも要注意な土地というのは山ほどありますが、ざっくり良くあるケースを説明してみました。特に価格が安い時は、土地に問題があるケースが多いので、すぐに疑ってみてください。土地に詳しくなると不動産に詳しくなります。

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