家は消耗品ということは絶対に忘れないでください。どんなにきれいに使っても、経年劣化は免れないですし、設備や家電などは、ある程度短いスパンで買い替えが必要です。屋根や外壁もどんなにいいものを使っても、劣化はしてきますし、長持ちすると言っても、やはり傷んできたものにお金をかけるよりも新しいものを買ったほうがよくなります。
技術は日々進化していて、テレビなどは20年前のテレビを修理して使っている人など皆無だと思います。
家も同様で30年前に最高級とされていた外壁なども、現在の普及品に比べれば性能で劣りますし、何より例え壊れなくても、劣化したタイル外壁などに、数百万円かけてメンテするぐらいなら、もう少しお金出して新品に張り替えるか、外壁も含めすべて傷んできたら、建て直すかなどを考えます。
だいたい今現在でも建て直す人の理由として最も多いのは、家全体が傷んできた、設備が全般的に古い、間取りが昔などの理由です。まだまだメンテすれば住めるが、新築並みにお金がかかったり、間取りなどのリフォームでお金がかかったり、そもそも古くなった家に1000万円近くも出すのがばからしいと考えたりで、皆さん建て直しています。
私も築30年の超高級住宅なども見たことがありますが、当時最先端の設備も今では、電気代がすごくかかったり利便性が悪かったりするものばかりで使い物になりません。外装や内装なども当時は最高級だったんでしょうが、今見れば時代遅れのデザインで、経年劣化がひどく見た目が悪いので、好まれないのが現状です。
つまり、今の高気密高断熱住宅を売り出している業者は、高性能な家にすれば、家は劣化せずに、50~100年は暮らせる家になる!長く住めば住むほど、光熱費が安いので、初期費用で高いお金払っても元が取れるなどと言います。確かにこのような高級住宅は劣化しにくいでしょうから、30年後もメンテをすればまだまだ住めるんだと思います。しかし、想像してみてください。30年後、周りは30年後の流行りを取り入れた新築が並びます。多分ですが、今の高気密高断熱住宅よりも30年後のローコスト住宅のほうが高気密高断熱となっており、設備などもずっと高性能な新品がついてきます。またよりメンテナンスフリーの家となっているでしょう。
つまり、家は後になればなるほど、高性能で、流行りの家になっていくということです。
よく高気密高断熱住宅を売り出す人は、50年くらい暮らせば、例え初期費用が高くても、50年後以降は維持費の節約額の影響で、支払総額がローコスト住宅よりも安く済みますとか言いますが、50年かけてやっと投資費用を回収するって、かなり投資効率が悪い商品だと思います。
例えばあなたが今、1000万円を投資したとして、その投資は50年間かけて、出資した1000万円を返し、50年後以降は、毎年10万円維持費を節約できると言われてたらどうしますか?私なら絶対投資しないです。
今ここに2500万円のローコスト住宅と3500万円の高気密高断熱住宅があるとします。
毎年光熱費・維持費の節約で20万円の差が出るとします。50年かけて1000万円の差になるので、50年後は両者が初期費用と維持費・光熱費の支払総額が同じになります。
その後、2500万円の家はボロボロで買い替え必須、3500万円の家は劣化が少ないのでまだまだ暮らせるとしたときに、3500万円の人は住み続けるでしょうか。
50年も経てば、相当高性能な家がローコストで売り出されているでしょうし、見た目のデザインや間取りなども築50年の家は相当使い勝手が悪いと思います。多分ほとんどの人が例え劣化の少ない3500万円の家に住んでいても買い替えか売却か取り壊しを選ぶでしょう。
つまり、現在どんなに高気密高断熱の家を高い価格で買って、長く住もうと決心しても、お金の面では決してお得ではないことを肝に銘じてください。
大抵、お得になるのに30年とか時間を要するものはお得ではありません。また日々劣化して、デザインなども時代遅れになる家にお金をかけるのは大変もったいないです。
家は最安値で買って、できるだけ短いスパンで買い替えて、常に最新のきれいな流行通りで使い勝手の良い間取りの家に暮らすのが最も効率的だと思います。
高気密高断熱住宅は、住宅会社側が高い家を売りたいがために作り出した幻想に近いのかもしれません。
はっきり言いますが、相当の寒がりや暑がりでない限り、最近のローコストの性能でも十分快適かつ安く過ごせます。我が家は築15年、Ua値0.5程度の性能の家で、最近のローコストでも十分に実現できる性能の家に住んでいます。特に冷暖房は我慢せず使っており、全館24時間空調ではないですが、必要な時間に必要な箇所のみ局所暖房しています。それで冷暖房費の年間コストが5万円くらいです。たとえこれが0円になっても、年間5万円、50年で250万円しか節約できません。差額は快適性のために費やしたコストになります。高気密高断熱住宅を購入する方は本当にこの事実に気づいているのでしょうか。特に最近は少子化により子供が2人以下の家庭が圧倒的に多く、子供も自分の部屋を持って過ごすようになるのは中学生、高校生くらいの頃で、多くの子供が大学は下宿することになるので、この子供が中高生の時代以外は、ほぼリビングと寝室しか使わないというご家庭が多いです。しかも今は共働きが主流なので、平日家にいる時間も圧倒的に少なく、土日もお出かけしている家庭が多いと思います。そんな状況で24時間全室を常時冷暖房するメリットはどれくらいあるでしょうか。下手をしたら1週間誰も入らない部屋も空調することになります。全館床暖房を実現している家もありますが、人がいない空間を暖房することほど無駄なことはありません。
ローコストや賃貸で、局所で使う時間だけ冷暖房する電気代と、高気密高断熱住宅で全館24時間冷暖房する光熱費を比べたら後者のほうが高くなることもあります。
このような状況を30年繰り返せば、家は消耗し、50年も経たないうちに建て替える人が多数だと思います。つまり、家族が多くなく、共働きの家庭にとっては、高いお金払って高気密高断熱住宅を買い、使わない部屋も含めて常時冷暖房する生活をして、維持費も結局、節約して使っていた賃貸時代と同じかそれ以上かかって、あまり高気密高断熱住宅のメリットを享受できないまま、家は古くなり建て替えとなる例も多くなると思います。
結局は、このような事実を理解してもなお、お金があるのだから、例え損しても高気密高断熱住宅に住みたいと思える人だけが購入すべきだと思います。
コメント