日本人のほとんどが新築を買います。
あなたの周りで家の買った人の中に中古を買った人はどれくらいいますか?
多分非常に少ないのではないかと思います。
家の購入=新築という考えが日本では一般的です。
日本の税制度を見てもらっても分かると思いますが、家の購入を後押しする政策が
目白押しです。
大抵のサラリーマンは家を買えば、住宅ローン控除で所得税はほぼ0円になり、住民税も
多くが還付されます。
さらに数々の給付金が受けられたりするので、国としてもできるだけ多くの国民に新築を
買ってもらいたいと思っています。
それもごく当たり前のことで、家というのは、個人、特に庶民が消費する物品としては最も大きなものであり、各産業に多額の利益を生むからです。
住宅メーカーを始め、家電メーカーや家具メーカー、キッチンなどの水回り関係、床や壁などの内装など、数えたらきりがないくらい多くの産業の商品の集合体です。
何より住宅メーカーは1棟家が売れるだけで場合によっては1000万円ちかくの利益が出るわけですから、積極的に営業活動をします。
例えば、私の家の近くでは、よく住宅展示場を見学するだけで1万円の商品券などのキャンペーンをやっています。ひやかしで行けば、ものの2時間程度適当に見学して、話を聞くだけで
1万円ゲットです。多分冷やかし客が多数なんでしょうが、その中で購入してくれる人がたま~にいます。そんな営業活動でも十分利益を確保しているということは、相当1棟当たりから利益を取っていることが容易に想像できます。
新築を買うということは、家を作る上で、導入したすべての物品を作るメーカーへの利益の支払いや、このような商品券の費用もすべて負担するということになるのですから、新築を買うのは損だということが分かると思います。
例えば、私の地域の例でみると、ある大手ハウスメーカーの新築建売が4300万円で売りだれており、丁度同じような立地の同じ広さの土地に同じハウスメーカーのほぼ同じ広さの築20年の中古戸建が売り出されていました。価格はなんと1500万円です。他にも築12年のほぼ同じ条件の中古戸建が1900万円で売り出されておりましたので、いかに中古が安いかということが分かると思います。築12年で半額以下ですからね。
多くの人は、中古は劣化もひどいし、住宅性能も低いんでしょ?ってなりますが、大手ハウスメーカーの住宅について10年前と今では多くの場合、大差はないです。この1900万円の物件について言うと、耐震性能は同等で断熱性能が少し劣っていましたが、内窓を100万円で全室つけることを仮定すると、新築建売より断熱性能は良くなりますし、あと10年程度は全く必要ないですが、仮に屋根、外壁、内装、水回りすべてを500万円かけて完璧にリフォームしたとすると、1900+100+500=2500万円で、新築とほぼ同等の中古が手に入ります。差額は1800万円です。
しっかり手入れしていれば、築10年も新築も耐用年数に大差はないです。どちらもあと50年は軽く暮らせます。
新築のメリットって何?最大でも100万円程度多く減税や補助金などのお金がもらえること、新品の家に住めることくらいしか思いつかないですね。
ある程度築浅の中古と比べると、住む人にとってのメリットってこれくらいです。
正直新築買っても数年すれば、立派な中古住宅ですからね。最初の数年綺麗な家に住める代わりに、少なくとも数百万円多く払う覚悟はありますか?
私も驚きましたが、某ローコストメーカーの建売の利益を聞いて驚きました。
彼らは、6棟を同じ分譲地で同時に売り出していて、当初すべて3000万円で売っていました。その時は、当初土地のみで売っていて、すべて900万円でした。6棟一斉に買うという条件で、結構値引きをもらったみたいです。ここでは値引きが最小限だったと仮定して850万円だったとすると、残りは建物や外構費用の原価が分かれば、利益分も見えてきます。設備などから最小限で作っているのは間違いないので、外構100万円、建物1000万円くらいだとすると、凡そ原価が2000万円となります。売り出し当初の利益が1000万円くらい乗っかっているとしましょう。そこから売れ残りは最終的に2500万円くらいで売っていたので、凡そ一棟当たりの平均利益が700万円くらいとすると、2割強くらいの利益は確保しています。決算の数字とも合致していたので、あながち間違っていないようです。
多くの人は、3000万円の家を2500万円で買えたのだから安い、お得だと思うかもしれないですが、そもそもの3000万円の価格が法外で、2500万円だとしても中古と比べるとまだまだ高いです。
例えば、安く買えたと思える2500万円の新築も10年すれば1600万円程度になります。周りにローコストの築10年程度の中古もいくつかありますが、ローコストの中古は見るに堪えません。とにかく劣化がひどいのです。私が注目するのは、窓付近や水回りですが、ローコストの家は隙間も多く、構造体が湿気などで傷んでいる例が多いので、とにかくカビが発生しやすいのです。築10年の時点で既に傷んでいるので、家の寿命も30年くらいの場合が多いです。なので、正直ローコストに限って言えば、新築も中古もお得ではなく、そもそも買うべきではありません。
数回洗濯したら傷んで着れなくなるシャツは新品だろうと中古だろうと買うべきでないのがいい例です。
質の良い家は長く住んでも劣化が少ないので、安くなった中古を買うべきだということです。
極端な話50年住める家が新築で4000万円で売っていて、50年後に土地が1000万円で売れ、50年住める家が築10年で2000万円で売って入れ、50年後に土地が1000万円で売れるとすれば、新築は50年で3000万円支払い、中古は40年で1000万円で住めるとなります。
明らかに中古の方がお得なのが分かるでしょうか。
世の中の多くのものは経済的な観点で動きますが、こと家に限っては、色々な要素が複雑に絡み合っています。
まず、実家の土地などを引きつぐ場合は、建て直しの新築一択の例が多いですし、購入の決定には、親が関与することも良くあります。親世代では、より新築信仰が強いので、中古が良くても、中古は反対され、援助してもらえないなどの事例もあります。また、女性に多いですが、他人の使ったものは嫌という方も結構多いです。
このへんは損得だけで判断できません。
また中古は、手放した理由如何に問わず、縁起が悪いとか、夢がないとかの心理的な要因もかなり関係しているようです。
私の考えは、あくまで経済的な観点のみから見れば、明らかに中古がお得ということです。
世の中こだわりを持つ人が損をするのが鉄則です。
こだわりを持つ人が沢山損をしているおかげで、そのような市場ではお宝が溢れています。
よくある例が、建て直しの例です。事情があって実家に帰る場合や親の介護などで地元に帰る場合などでせっかく建てた新築を築5年程度で手放す例があります。新築信仰の方は引き続き地元などで再度新築を建てようとしますので、築5年の家は早く手放して現金化したいなどの要望を持ちます。本来相場が2500万円だとしても、2300万円くらいに値下げして売ります。例えば新築時に3500万円で買ったとしたらたかが5年住んだだけで、1200万円の損失になるわけです。
この例でも、安い中古を買っていれば、例え5年住んでも、同じような金額で売れますし、次の新居も中古にすれば、お金のやりくりでも急ぐ必要はないので、前の家を空き家にしながら次の家に移り住むこともできます。
例えば、前の住居を5年前に築20年1500万円で買っていたとすると、5年後築25年で手放すとしてもほぼ同じ1400万円程度で売却できる可能性が高いです。
さらに新居も同じような1500万円程度の中古にすれば、金額として合計しても3000万円を下回るので、ダブルで住宅ローンを組める可能性も高く、前の住居も売れるまでに猶予ができます。そうすれば相場の価格で売れますし、損をすることはないです。
新築に拘る場合は、このように損をする例が多々あります。
ちなみに新築の購入相談となれば、各住宅メーカーをはじめ星の数ほどありますが、中古住宅の相談となると、相手が販売元の不動産の例がほとんどで、多くの場合、利害関係が一致していないので、騙されることが多いですし、不動産会社は不動産売買のプロですが、住宅性能等には詳しくない場合がほとんどなので、相場より安くかつ良質な住宅を見つけるのは非常に困難です。
私もプロではないですが、かなり中古住宅には詳しいですので、有料の相談を行っております。
ご興味のある方は問い合わせフォームからご連絡ください。
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