高断熱住宅ではエアコン不要!?誤解が誤解を生む悪循環を断つ!

電気代高騰の時代に、冷暖房費の負担はかなり大きいですよね。

こんな時代だからこそ昨今の住宅購入者が重視する項目の1つに断熱性能があるようです。

誤解されている方が本当に多いので、改めて説明しておきますが、断熱性能が高い家だから、勝手に暖まるわけではないです。よく高断熱の家に住めばエアコンなしで冬暖かく、夏は涼しいと誤解されている方が多数いらっしゃいますが、断熱性能が高いというのは、冬でいうと、暖まった部屋の空気を長い時間維持することができる能力が高いということです。

水筒でイメージしてもらえば分かりやすいと思います。水筒は家よりもずっと断熱性能が高いです。朝熱いお湯を入れておけば夜になっても熱いままです。もし普通のコップに入れていれば、冬場の屋外なら10分もせず冷めるでしょう。高断熱の家が水筒に近く、無断熱の昔の家がコップです。例え水筒の方が断熱性能が高くても、朝入れた冷たい水が、真冬の屋外に水筒を一日中置いておいても、夜暖かくなることは決してないということはお分かりいただけると思います。

ではなぜ、高断熱の家がエアコン不要と誤解されているのでしょうか?これは高断熱住宅とパッシブ設計の住宅を混同しているためだと思います。パッシブ設計とは、主に太陽の光や熱、風通しなどを利用して、家の中を電気やガスの力に頼らずに自然の力で快適にするように設計されたことを言います。つまり、南面の冬に太陽が差し込む箇所をすべて大きな一面の窓にして、冬場の太陽光を最大限に取り込み、太陽の熱だけで家を暖め、暖房を不要にして、逆に夏場は、窓の上に庇等を設けて、上からの太陽光をすべて遮断し、室内に光や熱を取り込まないようにして、涼しいところから室内に風を取り入れるようにしています。例えば換気の管を地面の深いところを経由して屋外に出せば、夏場は外から取り込んだ暑い空気が、地下の涼しいところを通って室内に来るので、涼しい風が入ってきますし、冬場は逆に地下の暖かいところを通るので暖かい風が室内に入ってきます。

水筒で例えるなら、水筒の一部に透明な部分がついていて、そこに向かって真冬でも一日中太陽光を当てていれば、中の水は暖かくなると思います。パッシブ設計のイメージはこれです。別に熱を作っているわけではなく、外から入ってくる太陽熱を高断熱で外に逃がさないようにしているだけです。単なる高断熱で、太陽光が入ってこない場合は、太陽の代わりにエアコンで暖めるということです。

低断熱の家ならば、エアコンで暖めても、同時に屋外に暖かい空気が出て行ってしまうので、エアコンが常にフル稼働で運転し、電気代が高くなるわけです。高断熱は逆に暖めた空気を維持するので、エアコンの運転がほぼ必要なくなり、電気代を抑えられるというわけです。

さらに大きな誤解を生むのが、高断熱住宅は設計の段階から、快適性を追求しているため、冷暖房を全館24時間使用することを想定しております。つまり、同じ広さの部屋で同じ時間だけ使用する場合は、昔の家に比べ圧倒的に電気代が安くなるのですが、高断熱の家で全館24時間冷暖房するのと、昔の家でリビングだけ、最低限の時間で冷暖房するのを比べたら、電気代だけだと、昔の家の場合の方が安くなることも多々あります。この電気代だけを比べて折角高いお金払って高断熱の家に住んだのにちっとも電気代が安くならないと不満を抱く人もいます。実際、ほぼ同じ電気代で廊下やお風呂、トイレも含め、家じゅうが快適って最高なんだと思いますが、人によっては高断熱住宅に住んでもケチって、リビングだけ居る時間だけ冷暖房する方も一定数いますが、非常にもったいないです。このような使い方をすると電気代は格段に安くなりますが、家中高断熱仕様なのに、リビング以外は全く意味がなくなるからです。良くある話ですが、良いものを購入しても使わないということです。高断熱の家は購入費で1000万円分くらい余分に払います。この分を電気代の差額に使うべきですが、リビングだけの電気代の差額だとたいした差にはならないです。そもそも高断熱住宅の最大のメリットは、昔の家では実現できない全館24時間冷暖房を安く実現できることにあるのです。もし昔の家でやろうと思ったら年間50万円くらいかかるところを10万円程度の電気代でできるというのが魅力なわけです。これなら電気代で40万円の差額が生じ、30年で1200万円の差額になり、初期費用以上にお得になるというわけです。これをリビングで最小限の冷暖房にすると、差額は5万円程度になり、30年での差額も150万円程度と微々たるものになってしまいます。これでは折角1000万円余分に払って高断熱住宅を買っても無意味なわけです。

絶対に覚えておいていただきたいことは、高断熱住宅であってもエアコンは必須であり、高断熱住宅に暮らす最大の目的は光熱費削減ではなく、快適性追求ということです。

もし、高断熱住宅に暮らせばエアコン代がいらないし、快適だしお得と思っているようだったら、高断熱住宅に住めば、今までと同じ位の光熱費で今までにないくらい快適な暮らしが手に入るという理解に変えてもらえればと思います。

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