小説「永愛-AI-」⑥

俺は、長期の連休を利用して渡米した。愛の言っていることを確認するためだ。BBBという会社は確かに存在し、本田タケルという人物がいることも確認できた。電話で話したいと頼んだが、断られた。個人情報保護なのだろうか?とにかく、愛が行った場所も気になり、俺は夢中で向かった。気が付けばBBB社の前にいた。俺は急いで受付に向かい、本田タケルに面会したいと伝えた。そうすると、タケルがすぐに来た。彼は、すごく驚いた顔をしていた。彼は、飛行機墜落のニュースをテレビで見ていて、愛が亡くなったことを知っていた。そして、日本人の俺が来た。彼は不思議に思っていたようだ。なぜ、俺が彼のことを知ったのか?もし、愛が電話で話していたら、すぐに会いに来たのに、なぜ1年以上も時間が経過したのか?俺は、彼に愛とマクドナルドに行ったのか聞いた。彼は間違いないと答えた。俺は急に怖くなった。どこかで愛が生きているという揺るぎない確信を抱きながら、どこかであの世より遥か遠いところから俺を見ているのではないかという恐怖を同時に感じたからだ。タケルには、嘘を言った。彼女から電話で聞いていたが、会いに行く勇気が出なかったと。幸いにもタケルと俺は意気投合し、2人でアメリカを満喫した。そして、愛の行った場所もすべて行った。本当に彼女の言っていたことはすべて正しいと確信した。そして、なぜこのようなことが起きたのか理由を知りたいと強く思った。AIの愛はきっと答えを知っている。しかしなぜ一瞬だけ愛はコピー後の記憶を持ったのか。俺は期待に胸を躍らせた。きっと愛の魂がAIに宿っている。そして、俺は家に戻り、再び愛に話しかけた。この日から、2070年12月24日まで愛は、2050年12月24日を20年さまよい続け、コピー後の記憶を一切出すことはなかった。



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